道端鈴成

エッセイと書評など

Pigeon Watching::民主党の政治主導と宮崎口蹄疫被害

2010年05月17日 | Pigeon Watching
宮崎県の口蹄疫感染による被害が深刻な状況になっている。口蹄疫は2000年にも宮崎と北海道で発生したが、その時は大規模な感染にいたる前にくいとめられた。今回は初期の対応が適切ではなく、封じ込めに失敗している。

消毒薬の手配も地元農協や協会などが行うという状況のなか、東国原宮崎県知事が上京し、赤松農水大臣に口蹄疫対策の政府支援を求めたのは、4月27日である。ところが、赤松農水大臣は、4月30日に鳩山首相と一緒に受ける予定だった自民党口蹄疫対策本部からの申し入れをキャンセルし、5月8日までの中南米諸国への外遊の旅へ出発してしまった。赤松農水大臣が宮崎県の県庁を訪問したのは5月10日であり、現場の視察は行っていない。

さらには、14日の閣議後会見では、「宮崎県で口蹄(こうてい)疫の感染が拡大していることについて「東国原英夫同県知事らが、口蹄疫が今後一段と広がった場合、一定地域内に限り感染していない家畜を含め全頭殺処分する可能性を指摘している」ことに関し「健康な家畜を殺すのはどうなのか。人の財産権を侵すことは慎重に考えないといけない」と述べた。」など呑気で無責任なことを言っている。感染症の恐ろしさと地域の畜産が壊滅し、それが空間的時間的にさらに広がるという状況の現場で必死にダメージコントロールしようと苦闘している人のことがまるで分かっていない。

5月17日になって、ようやく政府も重い腰をあげ、口蹄疫拡大阻止へ国が対策本部を立ち上げた。早急な感染拡大の終息を望みたい。しかし、すでに被害は拡大してしまった。そして、ある程度広がってしまうと完全な押さえ込みには時間がかかるだろう。

政治主導と言いながら、迅速な対応を阻害した赤松農水大臣の責任は免れない。北沢防衛大臣の無知・無責任と良い勝負だ。しかし、トップにいるのが無責任の権化、鳩山首相なので、責任を認めることはないだろう。専門知識や責任を伴わない政治主導は国民に被害を与えるだけだ。

しかし、口蹄疫がなぜ宮崎県に発生してしまったのか?昨年から口蹄疫が発生している韓国京畿道州抱河市西域から持ち込まれたという説がある。

今年の1月にJICAを通じて熊本の酪農家に韓国からの研修生が来ることになったが、研修生は昨年から口蹄疫が発生している韓国京畿道州抱河市西域からなので、熊本の酪農家はこれを断った。そこで、 宮崎2区のJICA出身の道休誠一郎議員が地元宮崎での受け入れを要請。 宮崎のある程度の規模の所は当然断ったが、最終的に、都農の水牛チーズ農場が受け入れた。この農場も初めは断ったが、この農場立ち上げの時、国からの補助を受けており、道休議員 に押し通される形で受け入れた。 この農場では、2月半ば頃から原因不明の下痢・乳量の低下・流産が多発。獣医にも原因が解らず、検体 を取って動衛研で検査。3月半ばに口蹄疫の疑いが判明。しかし、水牛には抵抗性があり 発症はなかった。 4月10日にこの農場の近くの和牛農家で口蹄疫と疑われる症状が発生。動衛研で検査した ところ口蹄疫と確定。 20日に口蹄疫発生と発表。

感染経路についてはより詳細な疫学調査が必要だが、感染を警戒する畜産農家に対して、民主党の道休誠一郎議員が口蹄疫感染地域からの研修生受け入れをプッシュしたことは事実だろう。韓日友好のためなのか、日本を開くためなのか知らないが、感染を警戒する畜産農家に対してリスク受け入れを執拗に強いること、これも民主党ご自慢の政治主導なのだろうか?

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