道端鈴成

エッセイと書評など

Tube's dilemma:国民無視の対中配慮

2010年10月11日 | Tube's dilemma
漁船衝突ビデオ 公開先延ばし・責任押し付け…政府、国民無視の対中配慮

 9月30日夜、首相公邸で開かれた首相、仙谷由人官房長官と参院民主党幹部らとの会合では、こんな会話が交わされた。
 川上義博・参院予算委員会理事「ビデオを公開したら大変なことになる。日中関係改善は2、3年遅れる。温存した方がいい」
 仙谷氏「おっしゃる通りだ。ぜひ国会でも国対でもそう言ってください」
 首相「よく分かりました」
 政府・与党内には、明らかに中国側に非があることを示すビデオを公開すれば、国民の「反中感情」をあおることになるという危機感も強いようだ。
 衝突事件にかかわる省庁の政務三役の一人はビデオを見て「あれは公開してはいけない。あれを見たら『中国人ふざけるな』と国民感情が燃え上がってしまう」と感想を漏らした。
 やはりビデオを見た民主党幹部も公開を躊躇(ちゅうちょ)してみせた。「ビデオを出したら国民は激高するだろうな」
 8日の代表質問で首相は、菅内閣が掲げる「主体的外交」に関して、こんな熱弁をふるった。
 「最終的に外交の方向性を決めるのは主権者たる国民だ。一部の専門家だけでなく、国民一人ひとりが自分の問題ととらえ、国民全体で考えることにより、より強い外交を推進できる」
 菅政権では、ビデオを国民の目から隠そうとする「対中配慮」は目立つ。だが、首相が語ったこの理念を実現するために、国民に必要な情報を提供しようという発言は、聞こえてこないのが現実だ。 (産経ニュース 10月8日)


一方の中国は、案の定「ビデオ公開ない間に中国は一方的主張を展開」(産経ニュース、10月11日)ときている。中国は、南沙(スプラトリー)諸島では見え見えの証拠捏造(産経ニュース、10月4日)までして、占有の既成事実化をはかってきた国だ。それを知っていれば、明確な事実を国際社会に発信することがいかに大切かは分かるはずだ。


菅・仙石民主党政権は、民主主義の原則を踏みにじり国民の眼から事実を隠そうとしている。知る権利を強調し、核密約を問題視していたのはどの政党だったのだろうか。一旦、政権の地位についたら(国際社会の現実を知らず、外交の基本を間違え、経済政策ではまともな経済学もふまえられないのに)国民にはよらしむべし、知らしむべからずということなのだろうか。国民や国益を無視した保身だけのご都合主義という他はない。あるいは文革を賛美する全共闘出身の仙石官房長官の頭の中では依然として中国共産党が正義なのかもしれない。(川上義弘参院予算委員会理事はかくれもしない親北朝鮮派だ。)いずれにせよ、彼らの耳には国際社会の常識や論理や事実の言葉は届かず、届くのは世論と支持率の言葉だけのようだから、反中国共産党=反民主党感情と支持率の大幅低下で彼らの耳に非を伝えるしかないだろう。

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