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雑感や書評など

しりあがり寿「弥次喜多 in DEEP 廉価版 (2)」

2005-04-03 11:49:45 | 書評
あぁ分からん


前回、「夢がキーワードか?」と書きましたが、二巻を終わった時点で、自信がなくなりました。
やはり、わけが分かりません。

たとえば、こんな話。
――「東海道ワクワクモンキーランド」という看板の前の弥次さんと喜多さん。
弥次「おっ、モンキーランド」
喜多「おもしろそうだな」
――「東海道ワクワクモンキーランド」に入る二人。しかし、どの檻にもサルどころか、なにもない。不思議がる弥次さんと喜多さん。
喜多「なんだなんだ」
弥次「どのオリもカラじゃないか」
――試しにオリに手を触れる弥次さん。
弥次「戸も開いてるぞ」
――オリに入ってみる弥次さん。
喜多「あっ ヤジさんがオサルに」
――なんとサルに突然変身してしまった弥次さん。
喜多「ははは ここはお客がオサルになるのかい」
弥次「ウッキッキー」
――山の上には月が浮かぶ。オリの中では、サルになった二人が仲良く横になっている。
(しりあがり寿「弥次喜多 in DEEP 廉価版 (2)」65~66頁 エンターブレイン)
この短いストーリーから、なにか意味を削り出せるとしたら、天才というか、なんというか…………。


長短はあれども、すべてこんな不条理なストーリーばかりです。

どこかに作者の深い意味がこめられているのではと勘ぐりたくなりますが、どうのもこうにも取っ掛かりを見つけることができず、いつも突っぱねられてしまいます。


で、ありながらも、おもしろく読めてしまうから、不思議なものです。
引用した「東海道ワクワクモンキーランド」も文字で読むと「なんじゃこりゃ?」としか思えませんが、漫画として読むと、綺麗な画でもないのに、最後の「サルになった二人が仲良く横になっている」シーンでは、ほんのりとあたたかい気分になれます。

ストーリーやら画力やらを超越したところで訴えている力のある漫画です。
「そういうもんだ」と読む前から分かっていれば、楽しめると思います。

しかし、これをどうやって映画化したのか…………。


弥次喜多 in DEEP 廉価版 (2)

エンターブレイン

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