きょうの俳句

癌と闘う自分への応援詩
--志賀たいじ[花冠同人]の俳句ブログ

きょうの俳句 /梅もどき

2006-10-29 07:24:32 | Weblog
朝ごとに色の冴えくる梅もどき
秋気澄み常より近し岬まで
暮早き月ほのぼのと牛曳かる

まだ午後5時過ぎだと言うのにすっかり暮れて弦月が赤く低く丘に掲げてる。 落日ぎりぎりまで野の草を食んでいたのだろう、牛の黒いシルエットが一列に牛舎に向っている、空がうす赤く切絵でも見てる様だ。

きょうの俳句 /色草    

2006-10-28 07:13:33 | Weblog
色草の輝きハンドルを遊ばせて
晩秋の夜汽車「氷点」の街を過ぐ
散るのみの色葉に刻の還らざる

ドラマ「氷点」が人気再来の様だ。札幌と我が町との中間に"故三浦綾子”の舞台、旭川がある。去年の今頃の事だが、JR最終夜行で網走に帰る途中、旭川を過ぎるとめっきり街灯りが減り、そこからは単線に変った為か踏切がやたら多く感ずる。気温も下がったのだろう、急に曇り始めた車窓を拭いて映る点滅する踏切の赤灯と警報音の景のみが特別の事の様に頭に残って居る。それは「氷点」読者世代のイメ-ジが脳裏にあるからだろうか。

きょうの俳句 /がまずみ   

2006-10-26 06:59:51 | Weblog
がまずみやひら仮名似合う無人駅 
単線の枯れ野のいろを慈しむ
霜降の仔牛の角の温くもれる(推敲)
モノクロの遠きを明く鶴の翔ぶ

北海道にはアイヌ語の語源の駅名は多いが、ひら仮名入りの駅名は余り見当たらない。一度「恵み野」と言うの名に惹かれて途中下車した事があるが、先日ぶらりと足の向くまま一両電車に乗った際、ひら仮名読みと景がイメ-ジぴったりの湿原の無人駅に降りると色葉の影の実の赤が鮮やかだった、調べてみて"みやまがまずみ"と解った。遠くの番の丹頂もはっきり見えた、雪が来るまでここに居ついているらしい。

きょうの俳句  /牧閉す        

2006-10-25 06:44:54 | Weblog
黄落の梢のさびし陽のまぶし
チャシ跡に落ちる木の実の音静か
閉牧の草の匂いに牛肥えし

今年の閉牧は見に行く事が出来なかったがTVの放映を見た。岬に近い市営飼育牧場での仔牛や孕牛や馬など小規模農家の負担軽減の為に開かれる放牧だが冬を前に閉鎖される。広い牧場に慣れた100頭ほどの牛馬は中々運搬車に乗りたがらず梃子摺るが何ともいじらしい。150k以上も増えた体重で還る我が家は狭く感ずることだろう。

きょうの俳句 /菱採る      

2006-10-24 07:18:54 | Weblog
荒れし沼菱採ることも幻に
花落ちし萩に縺れの柔わらかく
三代の暖簾を下ろす行く秋に

四年掛ったが自主廃業の清算をやっと終えた。 創業以来会社を支えてきた人達には申訳けないが先代の遺志も戴し誰にも後指さされぬ清算が出来たと安堵している。飾られた世の醜い裏側も、飾らぬ真の誠意と言うものにも触れ得た事は人生に幅が出来た様な気がする。清貧という言葉が身近に感ずるこの頃です。

きょうの俳句 /秋の雨    

2006-10-18 07:16:43 | Weblog
チャシ跡の静かに揺らぐ花すすき
虎杖の枯れて音する秋の雨
朝四時の灯は煌々と秋深む

つい先日まで4時過ぎの夜明けだったが今はは5時近く、夜が長くなった。それでも新聞子は目覚時計の様に4時半に配達に来る。朝寒のバイク音に目覚める私は明けようが、明けまいがせめての思いに新聞を受け取ってから外灯を消す様にしている。そして早朝の新聞に目を通すのが習慣になって仕舞っている。