きょうの俳句【10/31】 2008-10-31 08:59:49 | Weblog 寒くなった。体調も考え、そろそろ年準備も前倒しでと思っていたら、連休明け4日に入院が必要になった。半月位で出れそうだが、何か今年は暮が早く来そうな感じだ。 振り返る僅かに残る秋のいろ 街ぬれて霙るる雨の雫かな 夜雨ともつかぬ霙に秋は逝く 風鐸の冷たく濡るる庇かな
きょうの俳句【10/30】 2008-10-30 09:13:19 | Weblog 低く厚い灰色の空はいつ初雪になっても可笑しくない雨雲。地面を濡らす程の霙も、屋内にいると気つかずいる事もままである。外来で訪れた待合室の大きな窓を叩いたのは紛れもない霰だが、ひと時の出来事、形も色も残さなく、初雪にはならなかった。状差しからはみ出た夕刊の濡れ方に晩秋のひんやり違うものを感じた。 小さな町にも本宮の外に戦没者を祭る護国神社がある。神社の前を通ると榾火が見えた、思わず私も参拝したが、戦後六十有余年、平日の今でも戦没者への絶えぬ祈りに救われるものを感じた。 晩秋の霰ひんやり街濡らす 加湿器の静かに鳴りだす冬隣 浮鴎ことさら丸し霜のあさ <護国神社に> 榾火燃ゆ終りなき祈り御社に
きょうの俳句【10/29】 2008-10-29 13:58:58 | Weblog 同じ野を別の道を来るとこんなにも違うものかと驚く。差し込む光が秋の深まりを訴えてくる様だ。日差しの中を西空には初雪を降らせそうな雨雲が低く流れている。こんな処はまだ秋の空なのだが、昨日同様に最低4℃最高11℃の気温予想は11月下旬である。今日も底冷えの一日になりそう。 白鳥の遥かよりなお遥かより 何時もとは違う道きて濃き秋に 枯葎生の身なれば傷つきぬ うたた寝にひと重膝掛増えてあり 新しきペア-カップに生姜湯
きょうの俳句【10/28】 2008-10-28 08:44:20 | Weblog どうやって迷い入ったのであろうか、窓を開けて外へ追いやるが中々出て行かぬ。各地で初雪の便りも聞く気温、すっかり部屋が冷え切ってしまったが、何となく一件落着、安堵したひと時、でもその後蝿はどうなったのだろうかと気を揉む、人間とは勝手なものである。 霜降や迷いし蝿に窓あけて 澄む水に遥か来しもの羽根休め 夕焼けを螺旋階段猫はしる 団栗を拾いて鳴るなりランドセル
きょうの俳句【10/27】 2008-10-27 08:41:33 | Weblog 風が来て木の実しぐれの子の国に 白露一滴かがやくものに音の無く 鰈干さる骨透く軒の秋夕日 <"水煙"栄えある300号で終刊> 机上に栄う終刊号は秋実る色
きょうの俳句【10/26】 2008-10-26 08:39:58 | Weblog 今朝の冷えは今年一番の低温だろう。山では霜や雪も見られたのではなかろうか。霜降を迎えたばかりだが、旧の暦と北海道の気候の移り変りは比較的に合うのではなかろうか。本当に日が短くなった。 余りこの時期は見られぬ流星が低い夜空に走るのが見られた。星の知識は全く音痴な私だが、見られるそうで、昨夜の星も幻ではなかった事に安堵する。 道なりに残る紅葉たどりゆく 沈む陽をまた引き寄せり紅葉山 昼月の風棲む山や夕すすき 露の夜の靴先の濡れ星流る
きょうの俳句【10/25】 2008-10-25 08:37:52 | Weblog 今年は入院のお蔭で随分と鳥の南下する姿を見たが、シベリヤからの大白鳥の南下が始まり近郊の湖沼は日毎に増えているそうだ。来月には南下と飛来で湖が一番賑わいを見せる。一部の越冬する群れを残して、その殆どが本州へと向うが、その行動には本当に感動させられる。 古書を買う釣瓶落としの軒低し 鳥は雲にわれらに残しゆくものは 撓りては乱れに負えず括る萩
きょうの俳句【10/24】 2008-10-24 07:26:53 | Weblog 吾が老いを爪切る影に秋灯下 秋霖に不意止む虚ろまた降りぬ 驚いて飛び出すごとく草の絮 死の擬態続ける蜘蛛に秋の風 いろ葉付く楓と秋陽濃きの中に
きょうの俳句【~10/23】 2008-10-23 15:10:47 | Weblog 明日退院の予定だったが、点滴のカテ-テルの付近の皮膚が炎症を起したことから、治療のスケジュ-ルが伸び、今日に退院を繰り上げる事になった。今日は暦の上では霜降だが、典型的な秋日和だ。明日あたりから天候が崩れる様だから、繰上げ退院はラッキ-だ。余り天気がよいので暫く訪れていない隣村の牛舎を見て帰宅。 孫の三回目の手術が巧く行った。私の入院で見舞いに行けなかった妻を明朝上京させる事にした。 <退院> 霜降の振向く背なに残る陽よ いつの日も見送る側の花カンナ この先の牛舎に用ありえのこ草 衣擦れに歩み止めたる花芒 咆哮に咆哮応う野は霧に 山葡萄ひけば色づく蔓葉かな 荷を纏むこころは旅人秋の空
きょうの俳句【~10/22】 2008-10-22 13:19:39 | Weblog 24日の退院が決まった、嬉しい。薬を変える時はまた一時入院が必要だろうが、当面は今の薬を継続するので通院治療に切り替えると方針、早速今日の診療後退院後のスケジュ-ルを組む。外出の序でに書き込みもして置く。隣家のご主人の病状が進んで体調が悪いと言う。丹精こめていた薔薇の花も病気なのか、何かいじけておかしい。入院中に母の里から新米がどっさりと届いた。息子の家にも裾分けしたが、この分なら春先まであるのではと妻の弁。亡母のおにぎりは、いつも人一倍大きかった。母を偲ぶよすがになった里の人々の好意は今も続いている、有難い。 汝も病むか育てし主病む秋の薔薇 沈黙のかお吾亦紅は只揺れる 空澄んで枯蔓の行きところなし 秋の山母の結びは大きかり 黄落の走り根確かと地をつかむ 弧を描く鉄路に添いし草紅葉
きょうの俳句【10/19】 2008-10-19 08:37:05 | Weblog 外泊の目覚めの温もりはやはりこの時期は朝の僅かの時間の暖房が、朝の始まりを元気付けてくれる。良くぞ配達員が届けてくれたと思う新米の荷がどっさり母の里から送られた。健康とは言え老妻には梃子摺る重さ、荷分けする迄暫しは玄関先で香りを嗅ぐだけ。 外泊の少し秋炉の目覚めかな 秋時雨ソファに沈む窓を打つ 水澄めり光も影も底に置き 薄っすらと月の影ある秋の風 夕紅葉風の揺れをも染めてゆく 楓葉の枝折るペ-ジに陽を残す 重きゆえ届きし新米の香嗅ぎ
きょうの俳句【~10/18】 2008-10-17 20:33:14 | Weblog 予定は土曜だったが、金曜の夕刻から外泊許可を貰う。 今週いっぱいは紅葉も楽しめそうだが、日中の日差しに比べ、朝夕の冷え込みで紅葉のピ-クは越えた様だ。外出の時、タクシ-の運転手が雪虫の見たという道を自宅へ迂回したが、僅かしか見えなかった。昨年自宅の近所に見た雪虫に思いを重ねた。ワタムシの害虫の一種だそうだが北国では寒さを知らせる天使として只ひと時を美しく飛ぶ様に季節を感じ取る。この日同病院に入院中の知合いの若者が逝った、切ない一日になった。テレビでは北海道の大雪山連峰のロ-プウエイの紅葉の一変した雪景色が報ぜられていた。 秋空のひと日の風に葉の軽ろき 白樺の色葉散る散る通学路 ひと時を舞う雪虫と陽の中に 散りはじむ楓に誘わる夕ごころ 一村をたなびく煙り草紅葉 露けさに遠き灯りも霞みけり 雪虫よ逆縁の死を知りえしか
きょうの俳句【~10/16】 2008-10-16 14:00:03 | Weblog 血液検査結果の数値の低下と口内の荒れが目立つが他の副作用が少ないことから許容範囲との事で予定通りの化学療法を行う。今回の経緯をみて通院治療にきりかえるか、どうかの判断をする由。もうひと息頑張ろう。今日は外出許可、土曜は一日外泊許可が貰えそう。思いの外日中は温かいが明日辺りから朝夕の冷え込みがきつくなるらしい。その前触れか雪虫があちこちで見えた。今回は取敢えずの入力をして置く。 照紅葉風にかえりてまた返る 峪紅葉きらきら反り目に痛し 散る色葉衆生の縁(えにし)触れてゆく ななかまど紅き葉影に実のいろも 露霜の行間を輝る草もみじ 遠山に影をのこして鳥渡る 四方の風集めてくの字鳥わたる 朝露の裾にまといし草の絮
きょうの俳句【10/11】 2008-10-11 18:18:19 | Weblog 外泊の四日間もあっという時間、明日には病棟に戻る。その短い時間なのに、十三夜の句会にも参加出来るなんて、何とラッキ-なことか。 海外出張前にと昨日長男が2日間の帰省して行った、私の病状を気にしてのことだろうが、心配はない。この次、帰宅の頃は北国ではもう初冬の装いだろう。それまでには何としても退院したい。夕方に思わぬ驟雨、あれは何だったのだろう、去ったあとは風は強いのだが、趣きのある十三夜の月が昏れなずむ時間から中空に昇っていた。 控え目に灯してふたり後の月 遡る魚影(うおかげ)を追う十三夜 地に帰るいろを深めて照紅葉 秋霖の雫の軒に夕日落つ 瀬の音の尽きることなき十三夜
きょうの俳句【10/10】 2008-10-10 08:09:38 | Weblog 久し振りに近郊を車を走らせて貰う。病棟のガラス越しに見ている野山とは随分と違う、景色が生きている。遠く緑に黒ずんで見えた野山は黄葉が混じり、既に紅葉に入っている。この処の低温や露霜で一気に進んでいるのだろう。一句と思いつつ余りの変化に中々句にならずに居る。湖や湿地には南下して来た雁やいろいろの鳥たちが羽を休めて、更なる飛行に備えている様にみえた。 雁飛来はや暮れ空に発つ群れも 南飛行昏れゆく雁の声反し どの屋根もしたたる露の輝る朝に 鳥がゆく地も靡きにけり芒原