きょうの俳句

癌と闘う自分への応援詩
--志賀たいじ[花冠同人]の俳句ブログ

きょうの俳句  /照紅葉     

2006-10-16 07:11:11 | Weblog
聖堂の鐘ひびく街空澄めり
照紅葉風に返りてまた反す
団栗に小さき獣動きだす

一昨日初霜を見せた気温も上昇し秋日和、道端の蝦夷りんどうも殆どが季を終えてゆく植物に追い付こうと花を大きく開き花粉を運びに来て呉れるのをひたすら待ってる。山の団栗も随分落ちてる筈だが、その割りにない。其処此処で栗鼠などの小動物が姿を見せている、彼らの冬はもう隣まで来ているのだ、越冬用に蓄えてるのだろう。

きょうの俳句 /猫じゃらし     

2006-10-15 08:31:35 | Weblog
通学のいまも近道猫じゃらし
窓拭けば霜けく白き露の草
野分晴れ轍の泥の靴洗う

昨朝は向うの草原の降露が白っぽく見えたのは霜だったのだろう。気象台が初霜を発表した。 湖畔を通って見たが低気圧から一週間にもなるのにキャンプ場や孵化場に上る鮭の見れる魚道も水没のまま、目測でもまだ普段よりも1.5m以上水位が高く周囲40kmの湖なのだから想像を超える雨量だったのだろう。 川も水位が下がらず流れ切らない。山からも湖全体が泥色に濁っていて普段は見られぬ光景だ。

きょうの俳句  /萩 

2006-10-14 07:40:47 | Weblog
触れるもの風のほかなく花芒
遠くゆれ近きにみだる萩褪せて
落ちてより桂紅葉は甘き香に

紅葉を見て歩いていて今までより匂うのに気が付いた。行き交う人に教えられたが桂の葉は落ちてから匂いが強くなるそうな。甘い匂いがする、小さな発見だ。

きょうの俳句  /秋   

2006-10-13 07:52:28 | Weblog
かりそめの時とも知らず露の輝(て)る 
色付いて見らるる草に露むすぶ
虎杖の葉の音枯るる野路の秋

この度の台風並みの低気圧、未だに湖水位が下がらずキャンプ場が水没のまま。沿岸の鮭の定置網の7割が流出するなど、被害が続出した。台風なら陸上げる筈の網を低気圧予報に油断と被害を招いたのだろう。川の増水で畑も家も水没、まだ水位はさがらず平常に戻るには時間が要る様だ。気象用語の低気圧に惑わされぬ本質を見極める事の教訓を残した嵐だった。

俳句雑誌「水煙」10.11月号掲載作品

2006-10-12 14:56:05 | Weblog
俳句雑誌「水煙」11月号掲載作品

[作品7句-----土用なみ]
赤とんぼ触れ合う音のなかりけり
ベランダのシーツの乾き赤とんぼ
揺らしては漁り火崩す土用なみ
蛍火の子の掌に点るとき明かし
鈴鳴らし新涼の風海に向く
麦稈の匂えるかなた藍き海
売られゆく牛の耳標や牧に秋
[水煙作品5句]
風鈴にそれぞれの音暮れなずむ
秋桜の揺れて車窓のわれを追う
終点の降りる独りに夏の蝶
夕焼けのどの灯に帰る子と子犬
祭り夜の眠らぬ明かり散ってゆく


俳句雑誌「水煙」10月号掲載作品

[作品7句-----カムイの森]
木菟が居てカムイの森の海霧晴らす
昃れば青き匂いに椎のはな
風匂うじゃが薯の花の只中に
みどり野を乳房揺らして牛帰る 
葛まんじゅう曇る器に透きてあり
灯しても消してもひとり鉄風鈴
子らの網風の高さに蜻蛉追う

きょうの俳句  /蝦夷りんどう  

2006-10-11 06:53:36 | Weblog
野分去り海鳴り遠くなりにけり
蝦夷りんどう笹生の道の濡れており
タイマ-聞こゆ唐黍の茹であがる

顔見知りの直場所に唐黍を買いに行ったが今日で生食用は終わり、畑には家畜用しか残っていないと言う。規格外だがと食べますかと奥から出して来た10本ほどを無償で戴いた。末生りなのだろうがこの時期にしては実入りの割には柔かく甘い。入歯の私にはベストな歯ざわり、今年も後冷凍物しか地物は食べれないと思うと特別の味がした。考えて見れば閏月があり十五夜が10月だったことも収穫の季節への先入観を歪めたかも知れない。ここにも秋の静かな深まりを感じました。

きょうの俳句  /露の朝

2006-10-10 07:48:15 | Weblog
庭下駄に鼻緒のしまり露の朝
ひとときの万朶に露の輝ける
土つきの馬鈴薯盛られ収穫祭

今朝の気温は今年の最低の6.8℃だそうな。放射冷却もあってか露も多い感じ。葉の露に朝の光りが眩しい。露の玉が葉の揺れで零れて消えてゆく、美しいが儚い光りだ。この秋、初めて朝のうちだけ暖房を入れた。 

きょうの俳句 /小鳥来る  

2006-10-07 07:41:52 | Weblog
小鳥来て落す紅き実二つ三つ
飛んで舞い穂絮秋野に吸い込まる
松茸の狩り一本に炭熾す

山歩きに慣れてる自然派の長男の嫁だが、松茸だけは採った事がなく達人に連れられての挑戦、一日掛りで採れたのは只の一本だったが焼き松茸にし、三人で香りを楽しんだ。

月見チャット句会[前夜の小望月の句]
満月のひかりを攫らう花穂波
月の窓背伸ばし空を丸く拭く
月を待つ荻咲く道の薄明かり

きょうの俳句 /秋雲 

2006-10-03 10:18:20 | Weblog
知床の秋雲傾(なだ)れ海に降り
潮騒や揺れてとまらぬ花すすき
千畳のコスモスはいま花の波

兄の初七日忌が過ぎて身体の疲れはぬけたが心の沈みを察してか、長男の嫁から層雲峡の紅葉と日本一になった旭川旭山動物園へのドライブに妻と誘われる。老人看護医療のケアマネ-ジャ-をしてるのだが、有休をとっての誘いの気持が嬉しい。足に軽い疲れが残ったが心地良い疲れだ。メモを取った句材は徐々に整理しようと思う。