きょうの俳句

癌と闘う自分への応援詩
--志賀たいじ[花冠同人]の俳句ブログ

きょうの俳句【9/15-27】

2008-09-27 15:59:59 | Weblog
今回の入院は何処と無く体調の勝れぬ日が続いた。きょうは二週間ぶりの一日外泊許可。句帖にこの間に詠んだ駄句が記されているがボツにするのも惜しい。殆どが病窓からと3階の階上に設けられた庭の景であるが、悶々とした生活が表れている。入院記録にして置く。いい生活、心健やかなれば明るいいい句が生まれるとの師の教えは確かだ。また暫く休みます。

水澄める川ある街に橋いくつ
尖塔のクルスまぶしき残暑かな
秋うらら院内アナウンス繰り返し
立待の月明々と雲間から
秋暁や墨とろとろと流したる
病床に胡坐をかいて居待月
吾が尿の管流れ落つ闇の秋
船傾げ鮭網粛々揚げらるる
バスの影橋をはみ出し秋入り日
高階に蜻蛉止まるを知らざりし
病窓に秋の灯やさし土曜の夜
秋彼岸モヨロの杜の色錆びぬ
 ※モヨロ:先住民族モヨロ貝塚
街の灯の川に涼しき秋暑かな
風跡を水面に描き秋の海 
秋霖の先走りゆく橋のうえ
残る陽をいとしむ我と吾亦紅

きょうの俳句【9/15(月)】   

2008-09-15 06:36:32 | Weblog
<十五夜句会投句3句>
大波のゆがみて映す望の月
辻垣の木槿明るし望の夜
坂越えてまた坂ある里の秋ひと灯

戻り来し秋暑の空に乱れ雲
海風を掴みてりんどう崖に咲く
月の出を戻る漁船音しずか 
癌に病む囚徒の逝けり鳥雲に

久しぶりに車を運転しての農道、麦畑に落穂を啄ばむヒシクイの群れに出会った。騒々しいほどに鳴き合うのは旅立ちの近いことを意味するそうな。そう言えば、外泊の朝、同じ階に入院中の囚人のひとりが死亡した。看守にガ-ドされているが、長く同じ階の病室にいると癌に侵された3人の輪郭が浮かんでくる。一番年嵩の人が亡くなったのだろう。思わず歎異抄の一節を思いながら、合掌して擦れ違ったが、どうなっただろうか。
昨夜のお月さんは、久しぶりに満月の月見だった。丸く丸くするすると昇った月を映す海面が前線通過後の沖の波が大きなうねりとなって歪んで見えたのも珍しい十五夜だった。
連休の外泊許可期間はあっと思う間に終った。これから病棟に戻ります。また、暫く休みます。

きょうの俳句【9/14(日)】           

2008-09-14 11:09:44 | Weblog
新涼や昏るる街の樹灯を包む
昂りに眠りのゆれて夜の長し
暁の逆光まぶし秋を航く
草の露穂絮は裾を濡らしけり
吾亦紅陽に痩せし吾が影のなか
とんぼうの水辺の色に生まれけり
ひと風に海面たちまち秋の色

自宅に外泊し、以外に残暑と湿度の高さに眠りも浅い筈なのに早い目覚め、ひさしぶりに早朝の郊外を運転してみる。時折り強く吹く風が涼しい、やはり9月である。運転してみて昭和28年取得の免許はまだ錆びてはいない、すこし自信を回復した。今日は十五夜、雲はあるが晴れのお天気、昨日は月が昇るまでは海にも映えて見えていたが、直ぐ薄雲の中、朧に輪郭だけが解るお月さんだった。今日はこのままなら満月が期待出来る、芒を土産に採って帰る。 

きょうの俳句【9/13(土)】

2008-09-13 11:38:34 | Weblog
秋暑し澄む遠山の嶺青く
きらきらと川ある街よ秋麗
星走る長寿の母も十七年忌
外泊と決まりし夜長床(とこ)軋む
外泊のわが家への路秋のいろ
発つ朝の秋燕窓辺に落ち着かず

昨年春に厚生省承認の新しい療法なそうで、当院でも約1年で効果を十数例臨床確認している。新しい抗癌剤投与を受けて10日程になるが血液検査が続いて、造影検査も間もなくだろう。副作用も他の人より軽い様なので、この連休の検査のない土日を外泊許可を貰った。半月余の帰宅だが季節の変わり目をひしひしと感ずる。二~三日前の朝まで高層の病窓まで来て我々を楽しませて呉れていた燕が今朝もとうとう姿を見せなかった。やはり、あの落ち着きのない様子は旅への準備だったのだろう。時間を余す程の毎日、調べてみると当地方のスズメほどの小さな燕は春に来て当地方の湖沼や崖に巣を作り繁殖するショウドウツバメと言う夏鳥な事が解った。