きょうの俳句

癌と闘う自分への応援詩
--志賀たいじ[花冠同人]の俳句ブログ

きょうの俳句(1/30)~ 雪が降る         

2008-01-30 09:28:03 | Weblog
茹で卵きれいにむけて受験の日
乾きゆくものの囁き干鱈鳴る
<釧路川畔>
啄木碑あかりの中に雪が降る

啄木は北海道の函館、小樽、釧路におおきな足跡を残した歌人だが、釧路の在住期間はたった76日間なのだが、その丁度100年を偲んで色々催しが行われている。市内には二十余基の琢木碑があるそうだが幣舞橋縁の河畔はアイスキャンドルに包まれた。以前行った事があるので興味深く映像を眺めた。琢木がこの地に初めて降りた時の詠みとされる"さいはての駅に下り立ち 雪あかり さびしき町にあゆみ入りにき"を思った。

きょうの俳句(1/27)~ 流氷野          

2008-01-27 09:01:38 | Weblog
佇みてひとりの時間流氷野
大瑠璃に動く流氷風映す
ものの影その先に伸び寒月光
砕氷船乗り場はずっと街はずれ

数年後には街再開発で市街に近い港に道の駅を兼ねた流氷砕氷船乗り場が出来るそうだが、今は国道の突き当たりに船がみえるのに乗り場は迂回するので意外と距離がある。徒歩で向う観光客には気の毒だ。

きょうの俳句(1/25)~ 冬ざれ         

2008-01-25 13:15:13 | Weblog
北風に氷野となりぬ朝の海
氷原の海に一夜の夢かわる
冬ざれや懐炉ひとつの旅心

全国を横断した低気圧、予報の70cmの大雪と身構えていた皆が気が抜けた様な静けさだ。夜半の風は強かったが、積雪も10cm余り、流氷だけが接岸し海の様相だけが一変したが流氷と共生する市民にとっては折り込み済みの様である。 

きょうの俳句(1/23)~ 裸木       

2008-01-23 09:14:55 | Weblog
聴き終えし二胡の音のこす寒の月
裸木の老瘤隆とみなぎれり
寒干しの鱈乾く間なく凍りけり

知床に向う隣町は昔からの寒干しスケソウタラの産地、昔は各地で生産されたものだが、今では減って隣町が全国の80%を占めるという。昔の得意先でもあったので、今は風物詩となったニュ-スの光景にとても懐かしさを感じた。浜沿いにずっと設けた棚に提げると魚から垂れる滴は忽ち凍って仕舞う。強いシバレが入らぬと良い製品にならないのです。寒風に晒されカラカラに干せあがる頃、北国は春が兆します。

きょうの俳句(1/22)~ 寒の水      

2008-01-22 08:53:12 | Weblog
流氷へ窓の曇りをひろく拭く
語らいのよくも尽きせぬ冬籠り

寒の水摺る薄墨の筆おもし
大寒の声を聞くと葬儀社の訃報の折込が何故か多くなる。大抵はご高齢なので歳の順とは言い聞かせているが、かって隣に住んでいた家族、老母を残して40歳台で逝った娘の死には悲しみを禁じえない。お子に取っても母を失う人生最大の大事にセンタ-試験を受けることになった進学の夢は何としても果たしてやりたいものだと思う。逆境を乗り越えたとき若者は大きく強くなると信じている。

水煙08年2月号掲載予定作品 

2008-01-20 09:00:51 | Weblog
水煙08年2月号掲載予定作品

富士抄
唐辛子吊るす向うに水平線/志賀たいじ

作品七句①
風が風押す----志賀たいじ
唐辛子吊るす向うに水平線
さわさわと風が風押す今朝の冬
手庇にまだ見ゆ一羽冬の雁
落紅葉氷りし中にきらめける
寒空にナナカマドの実のみ赤し
落葉踏む足に伝わる固き実よ
奥の間も陽差しに満ちて冬ぬくし

きょうの俳句(1/20)~ 大寒  

2008-01-20 09:00:51 | Weblog
雪折れし枝に命の水にじむ
流氷の勢い秘めて現わるる
ああ大寒流氷の待つ人もあり
凍つ波の飛沫落としつ船帰る

日毎の寒さと灯油高に悲鳴を上げている市民。昔から大寒頃に流氷が招かざる人、待つ人、色々の人の思いをのせてが現われます。観光に関連する人達にとって温暖化の影響と唱える流氷の減少傾向と遅れを切実なこととしています。
当初、気象台は流氷初日を下旬後期に予想しましたが北風に乗った流氷は予想を大幅に裏切って早々と大寒にあわせる様に昨日現われました。今年から紋別観測所が無人化したため急な動きの観測は難しいのかな?改めて風に乗れば一夜にして海を変える流氷の勢いを感じました。

きょうの俳句(1/19)~  寒修行 

2008-01-19 08:40:08 | Weblog
流氷の近づく気配黙す波
枯葦の湖口へ潮さかのぼる
御詠歌や頭巾深かめて寒修行

<妻を亡くした友へ>
雪よりも白きみ骨を拾わむか

級友の細君が亡くなった。親子二代刑務官だった彼は明るく豪快な武道の達人であった。五年前脳溢血で倒れて以来半神付随の細君をずっと自宅で介護してきた。悲しみの内にも、最後まで我が家で看取った安らぎに満ちた思いも感じ取れた喪主だった。

きょうの俳句(1/18)~  寒蜆     

2008-01-18 08:33:12 | Weblog
寒蜆ひらかぬ貝に陽のそそぐ
冬凪や陽にひずむ潮かいくぐる

<阪神淡路大震災忌>
鎮魂の日の寒空は夕焼けて

震災が取り持つ縁とは不思議な事だが、我が家にはある様だ。取引先の一軒であった会社の復興への応援が親交を深める縁となり、現社長に請われて長男は今神戸の会社にいる。大阪勤務だった次男は最後まで消息がつかめず血眼になって捜した西宮の自分の部下が、今妻として和やかな家庭を築いている。遠く離れた地だったが今は身近な地の出来事なのです。