きょうの俳句

癌と闘う自分への応援詩
--志賀たいじ[花冠同人]の俳句ブログ

きょうの俳句【11/30(日)】

2008-11-30 07:59:03 | Weblog
近郊にラムサ-ル条約の指定を受けた湖沼や湿地を持つ、この地の空は渡り鳥の飛行ル-トなのは確か。あの声は白鳥と外に出てみると鳥影は既に山の端に、晴天の割に温かいと思いつつ見上げる先に白いものが。まさか風花では?と思い居つつ舞い落ちるの待つと一片の羽毛だった。

渡りゆく鳥一片の羽(は)をこぼし
夕日鶏(とり)突っ張って抱かれゆく
灯をこぼす入江の船に日の短か

きょうの俳句【11/29(土)】

2008-11-29 08:15:33 | Weblog
雪なくなった道路に今朝は霜柱の立っているのを久しぶりに見た。寒さの緩んだ日溜りに入院中では見られぬ景に出会う。でも日短かの午後には冷えが戻ってくる。やはり寒暖の激しい冬なのである。

冬すずめ心ゆるせば繁く鳴く
霜とけて土の湿りのやさしさに
短日にいま日ざかりの郵便車

きょうの俳句【11/28(金)】

2008-11-28 09:46:20 | Weblog
今日はわが護寺の年一度の報恩講、妻は手伝いに明けやらぬ朝六時前に、昨日一昨日同様お寺に向った。去年までは私も世話役を仰せつかって居たが、病気をした今年は内仏にお参りするのが精一杯。報恩講に始まり報恩講に終る一年の迷い多き私の念仏の日が今年も気持新たに始まる。聞くと年々お寺離れが進み御参りも減っているとか、他人の心の中まで入りきれぬ信仰の心離れが悲しい。

念仏の思い新たに報恩講(推敲)
念仏に始まる一年報恩講
雪しずり声明の響きよみがえる
雪吊りの張れば銘木ばかりなり

きょうの俳句【11/27(木)】

2008-11-27 09:22:49 | Weblog
久しぶりにゆっくりと寛ぐ我が家はいい。病窓から見る光景とは違うものが見えてくる。市内で朝の絞りたて牛乳を地産販売している農家があると聞み、立ち寄ってみると馴っこい乳牛が近寄ってきて心が和んだ。

風の子の林檎の頬あり寒空に
青空の深きところに冬の雁
雪晴れの寄り来る牛の瞳澄む

きょうの俳句【11/26(水) 】

2008-11-26 18:55:43 | Weblog
きょうの俳句【11/26】
夕方になって検査の結果、退院可能を知り、急遽帰宅した。雪が降っても小春の日差しに溶け、枯木がいつも濡れて潤いの見える景色だったが、一昨夜から翌朝に掛けての寒気には驚いた。内陸部は軒並み-20℃~15℃はざらで当地も-7℃の低温、11月としては史上最低の気温だそうな。晴空の放射冷却現象との事。一気に乾いた硬い冬景色になった気がする 。今日は幾分戻った気温に道路の雪も消えていた。

こつこつと音一つづつ夜冴ゆる
退院と決まりし窓に冬あかね
小魚を銜えしままの鱈届く

きょうの俳句【11/25】
ひょっとすると明日退院出来そう。ひと頃と異なり、医療も外来で治療出来るものは極力在宅治療の方針が明確になった様に思う。
入院中医療現場を見るにつけ救急診療などはぎりぎりの処で支えられている事をひしひしと感ずる。一国の宰相たる人の医療の現状を理解し得ぬ軽率な発言は残念に思う。
先月の出来事だった筈だが救急診拒否で脳出血死の妊婦の雑誌記事を読んだ。母子の絆を裂かれたこの子の健やかな成長を心底から祈らずに居られない。かって私も謡に打込んだ頃があるが、能「海士」は生母を知らぬ藤原房前大臣が故郷の海に現れた海女姿の母の幽霊から出生の壮絶な悲話を知る物語だ。子の誕生の喜びを知らず逝った母の深い愛の慟哭は誰の耳にも響かずに置かない。この事で医療体制が幾分たりとも整備されるならば、世の母子への深い愛へに殉死と思いたい。
<救急診拒否で脳出血死の母と子の記事をみて>
産声を聞けず逝く母逝く秋に
草の根に氷のこして水涸れる
雪溶けて白線確と露わるる

きょうの俳句【11/24(月) 】

2008-11-24 08:19:53 | Weblog
この処、少ない雪なのだが毎朝の新雪の景色には心洗われる思いがする。その日の気温や気流で湿った雪、乾いた雪で微妙に景色も変わってくる。小枝にびっしり赤い実を付けたナナカマドの湿った雪を振りはらう雀の群れに心なごむ今朝である。

歩を合わせはみ出ぬ様に傘の雪
涸れてゆく処を知らず冬の水
新雪の踏む足形に溶けはじむ
群れ雀紅き実揺らして雪はらう

きょうの俳句【11/23(日)】

2008-11-23 08:30:03 | Weblog
朝に薄っすら降った雪も、日が昇るころには青空となった昨日だった。景色を見たくて近郊を車で一周して貰う頃には雪は消えていた。なんと今朝はまた、一面の新雪である。

短日の軒灯もり出す午後三時
枯れ野路に大き青空ありにけり
門灯を消す静けさに今朝の雪


きょうの俳句【11/22(土)】

2008-11-22 14:48:01 | Weblog
きょうの俳句【11/22(土)】
今年の初雪は霙まじりの日の雪となった為か余り実感を伴わなかったが、その後の寒気の入り込みで夜来の小雪の病窓に朝にみる新雪に、毎日が初雪に出会った様な思いがする。今回は連休なので2日間の外泊、それよりも連休明けの検査次第で一応退院も出来そうだ。

新雪の陽に輝いて陽にとける
雲いち枚透かす冬日の影やさし
白黒に色を奪いて冬将軍
カ-ディガン白衣に羽織る真夜の影
寝付かれぬ窓ざわざわと雪に暁け
冬暁の連なる灯り河岸あたり


きょうの俳句【11/16】
馬力という言葉がある様に、ひと昔前までは農業や林業は挽馬は無くてはならぬ存在だった。農家も競って馬力のある馬作りに励んだ。挽馬の力比べが挽馬競争が娯楽だったが、後に公営ギャンブルとなったが、残っていた挽馬競争もいまや風前の火だ。今ではシ-ズンが終った挽馬の冬は休眠期間、人間同様に小春日和をのんびり楽しんでいる様だ。

青嵐の名の挽き馬に小春空
立冬の高階に空雲はやし
影を出て色とり戻す冬の蝶
小春日の手もしゃべり出す日溜りに

きょうの俳句【11/15】

2008-11-15 11:10:34 | Weblog
ひさし振りの今日一日だけの外泊である。病院を一歩出た景色はガラス越しに見ているより一層初冬の思いを深くしています。

再入院後詠句
秋天や医信ずれば迷いなし
秋雷の窓打つ雨のみぞれかな
海荒れて鮭陸寄ると笑む漁夫に
秋名残る漁り灯暁けの靄のなか
初雪の音なき風とわが息と(正子先生添削)
かたまって豚運ばるる霙れ道
小春日のわが影を踏み外泊日
枯れいろに光のフォルテ小六月

再入院前詠句
しばらくは夕日離さぬ秋の雲
秋深む君住む方(かた)へ雲ながる
黄落のそこだけ明るし散華みち
風来れば風待ちしごと黄葉の舞う
枯れ尽くし秋陽の薄し峡の里
縁側に何挽く臼ぞ秋深む
野仏の細き眼に笑み秋深む
秋の陽や老々介護の日もあらむ
秋深し星より低き眉月に

きょうの俳句【11/03】

2008-11-03 07:57:14 | Weblog
また入院と思うと、無性に外出したくなる。三連休に文化の日の催し、子らの為の科学と環境講座を覗いてみる。この地方では見る事の出来ぬ紙漉き体験が牛乳パックのリサイクルで行われていたが飽きずに見ていた。明日から暫しお休み。

地球儀に輝く子の瞳文化の日
波がしら紙漉き舟の掬いどこ
鉄塔を鳴らす木枯し潜りゆく
枯葉舞うわれも旅人パリのひと
句心に惹かれ今日も秋野かな
秋陽低し古帽浅めに入院す
年用意先ずは葉書に始まれり

きょうの俳句【11/02】

2008-11-02 07:46:23 | Weblog
また入院と言われた反動か、無性に外出したい。岬の近くの市営牧場の放牧も昨日で終了すると言うので、連れて行って貰った。青臭い草の香の肥えた牛馬が引き取られていた。長男の嫁が近郊の山で自生の椎茸を採ってきた、香り、味と言い自然のものは美味い。もう終わりの時期だそうな。母の里から新米に続いての柿が届いた、気持がうれしい。これまた獲りたてのまま、店先に並ぶ派手さがない一寸不揃いが良い、とても甘い。
今日も渡り鳥を見て感動している。新聞に拠ると北米大陸からシギがオ-ストラリヤまでノンストップで1万1ー4千キロを横断したのを衛星を使って確認したと言う。

採りたての椎茸かおる土瓶蒸し
果てしなく色なき道や鳥渡る
温もりが伝わり甘し里の柿
閉牧の肥えし牛馬に草匂う
閉牧や吾れ載る計(はかり)振る針に

きょうの俳句【11/01】

2008-11-01 08:25:39 | Weblog
告知を受けた時は遠いものに思えていた年準備を考える様になった。只、私の体力が当てにならぬ今年からは妻には心細かろうが、歳暮用鮭やら鮭寿しの仕込みなど、今から一つづつ妻が進めなければなるまい。今日年賀はがきを買い求めたがこれは私の仕事なのだが、また連休明け半月程要入院とのこと。暫くは入退院の繰り返しか。

仏華冷えて初霜月の色淡し
経写す今日あり明日の榾あかり
津軽三味の激しきリズム冬近し
湯気立たる煮薯懐かし眼のくもり