きょうの俳句【11/26】
夕方になって検査の結果、退院可能を知り、急遽帰宅した。雪が降っても小春の日差しに溶け、枯木がいつも濡れて潤いの見える景色だったが、一昨夜から翌朝に掛けての寒気には驚いた。内陸部は軒並み-20℃~15℃はざらで当地も-7℃の低温、11月としては史上最低の気温だそうな。晴空の放射冷却現象との事。一気に乾いた硬い冬景色になった気がする 。今日は幾分戻った気温に道路の雪も消えていた。
こつこつと音一つづつ夜冴ゆる
退院と決まりし窓に冬あかね
小魚を銜えしままの鱈届く
きょうの俳句【11/25】
ひょっとすると明日退院出来そう。ひと頃と異なり、医療も外来で治療出来るものは極力在宅治療の方針が明確になった様に思う。
入院中医療現場を見るにつけ救急診療などはぎりぎりの処で支えられている事をひしひしと感ずる。一国の宰相たる人の医療の現状を理解し得ぬ軽率な発言は残念に思う。
先月の出来事だった筈だが救急診拒否で脳出血死の妊婦の雑誌記事を読んだ。母子の絆を裂かれたこの子の健やかな成長を心底から祈らずに居られない。かって私も謡に打込んだ頃があるが、能「海士」は生母を知らぬ藤原房前大臣が故郷の海に現れた海女姿の母の幽霊から出生の壮絶な悲話を知る物語だ。子の誕生の喜びを知らず逝った母の深い愛の慟哭は誰の耳にも響かずに置かない。この事で医療体制が幾分たりとも整備されるならば、世の母子への深い愛へに殉死と思いたい。
<救急診拒否で脳出血死の母と子の記事をみて>
産声を聞けず逝く母逝く秋に
草の根に氷のこして水涸れる
雪溶けて白線確と露わるる