きょうの俳句

癌と闘う自分への応援詩
--志賀たいじ[花冠同人]の俳句ブログ

きょうの俳句【7/31(木)】 

2008-07-31 08:49:33 | Weblog
訪ねくる野鳥あそばせ日の盛り
雨だれの遠のく朝の四葩かな
ひよどりの敏き低空鳥のみち
遠ざかる足音追いぬ淋し日は

 きょうの俳句【7/28(月)】 

2008-07-28 10:00:23 | Weblog
今の世に何故「蟹工船」や夏深む
花サビタ昏れつつ重く静もれる
花辞典確かむ擬宝珠むらさきに

今小林多喜二の「蟹工船」がベストセラ-なそうな。戦後の活字に飢えていた時代、発禁本だったのだろうか、ガリ版刷りの"蟹工船"を友人たちと密に回し読みした記憶が蘇る。若者の時代への閉塞感を吹き飛ばす何かを求めていた様な気がする、今の時代に共通するものも感じ取れるのだが、豊かさが染み付いた今の若者のハ-ドルはもっと高いかも知れない。

 きょうの俳句【7/24(木)】 

2008-07-24 08:50:41 | Weblog
土用凪の汐満ちはじむ砂の城
表札の古き墨の名夕焼す

我が家の表札は息子が初給料を手にした時に贈られたもの。江戸絵馬師で二科展会員だった故殿村進の作、側面には”千鶴万亀”とあり、息子の願いが刻まれている。昨日の夕日にひと際赤く燃えた表札を眺めながら闘病への思いを新たにした。

 きょうの俳句【7/23(水)】 

2008-07-23 08:14:54 | Weblog
船音の夕日に傾しぐ夏の海
ひまわりや風に揺る時夏の海
帰省子に家に繋がる海ありし
尿管を伝わる音と過ぐ夜雷

我が子が大学に就学し始めた頃は、まだ水産加工の仕事をしていたので、工場に隣接の自宅も海岸にあり、裏口は直ぐ海に繋がっていた。二人の子が帰省すると我が家は一気に夏が来た様相だった。その子らも今は子の親、老夫婦だけになり静かになった今の生活、海の見える高台に居を移したが、夏の海を見る度思い出す懐かしい日々である。 

きょうの俳句【7/20(日)】 

2008-07-20 12:59:38 | Weblog
歎異抄の栞りを外す夏の涼
白丁花と子ら声高に路地の暮れ
夏の野に小さき命の愛ほしき

14℃で寒いくらいの朝と、過し易い日中の気温20~18℃は植物には気の毒な低温。野花も例年よりも花芽が未熟に感ずるが亜麻が可愛らしい青紫の花を咲かしている。小さいなりに何とか咲かそうとする本能なのであろう、見ていて愛ほしくなる。昔は繊維を採る為、随分栽培されたが、やめた今は野生化して野の草にある。麻は季語にあるが亜麻はないのが不思議な位だ。低温は昆虫類にも影響ありそうだ。何とか持ち直して虫の音の豊かな秋を迎えたいものです。今の体調では余り遠く出歩けないだろう、状態に合わせての駄句だが詠めればいいと思っている。

きょうの俳句【7/16(水)】

2008-07-16 07:22:17 | Weblog
空晴ればれ夏の潮目の風青し

昨日は半日かかりの外来検査、待ち時間を久しぶりに入院病棟に知人を見舞う。最上9階から見るオホ-ツク海はすっかり夏の装い、青い海の陸から見える潮目が浮かび上がって美しく、そよ風に磯の香を感じ取った。検査の結果今日からまた抗癌剤投与が復活、2~3日はまた体調不調を覚悟。

きょうの俳句【7/15(火)】

2008-07-15 07:30:38 | Weblog
一瞬を海面に反し岩つばめ
孫も着るわが青春の白絣
夏霧のつぎつぎ消えて薯の花
病む者へ紫陽花の影和らけく
久々の予後の臓腑に鱧の皮

私の入院騒ぎで妻の仕立て直しが遅れていた浴衣が孫に桐下駄を添えて届けられたと早速写メ-ル。孫にも衣装である。一番上の孫は忙しく夏は帰省できぬ由。
夏休みに海外留学生と浴衣での催事があるらしい。私の若い頃の白絣を親子三代で着る事になり、何か青春時代を思い出し若返る気分である。

きょうの俳句【7/14(月)】

2008-07-14 06:23:31 | Weblog
懐かしき人にも出会う盆の墓
飾られて花に賑わう盆の墓
宿る樹に青葉時雨や群れ雀
夏草の野の花を覆う深さかな
夏の野に小さき命花愛し
聞き役に徹し扇子を持て余す
恩師よりの葉書絶筆となる夏

小学校の最後の恩師が他界なされた、私が病むことを同級生が知らせたのか先日見舞いの葉書を貰ったのが最後になった。患うこともなく老衰状態で逝かれたそうな。天寿を全うするとはこの事だろう。遠路ゆえ弔いにも参加できず、内仏に焼香し報恩感謝、冥福をお祈りす。
忘れかけていたが、郷土戦後史を守る会の人に拠ると、昭和20年7月14.15日は第2次大戦で北海道沖にきた米空母からの艦載機攻撃を受け、各地で多数の犠牲者を生じた北海道空襲の日だそうだ。記憶にはあるのだが、日が定かでなかった。昭和も遠くなりにけりである。