きょうの俳句

癌と闘う自分への応援詩
--志賀たいじ[花冠同人]の俳句ブログ

きょうの俳句 /寒の月       

2007-01-31 15:42:10 | Weblog
里山の色して干柿届けらる
像作る吐息ゆき交い灯に白く 
氷像に彫刃閃く寒の月
さっぽろ雪祭りと同時に道内各地で冬祭りがはじまる。二月四日から始まる流氷祭りの氷像作りが始まった。職場ごとに終業後に氷点下の深夜遅くまで作っている姿に出来栄え以前に敬服する。

きょうの俳句 /寒日和       

2007-01-30 07:36:35 | Weblog
幅示す夜光ポ-ルの雪みちを
鹿狩りや禽声透るけものみち
ふた月を熟れし鮭寿しに寒日和
11月下旬に漬けこんだ鮭の飯寿しを取り出すと押揚がった水分が凍っているが醗酵臭から旨く漬かった様だ。押しが弱いと美味しくない。我が家の味が晴れて日の目をみる。お正月頃に他所では樽を開けるが比べられるのが嫌いな妻は日をずらして開けるが贔屓目なしに我が家のが一番旨い。

きょうの俳句 /干鮭   

2007-01-29 08:57:30 | Weblog
寒林の空一閃の鳥が裂く
狛犬の瞑るがほどに雪の降る
干鮭の音に膨らみ風に反(そ)る
風が吹くと何処からとなくからからと風が膨らむ寒干しの音が聞える。寒風に晒して作る乾鮭を"とば"と言う。鮭を食料に無添加で長期保蔵のアイヌ伝承の知恵だそうだ。戦後の添加物万能時代には余り省みられなかった干鮭が、最近は食の多彩化で珍味として見直されている。伝承の知恵にはそれなりの科学的な根拠があるのだ。

きょうの俳句 /氷海       

2007-01-28 08:51:16 | Weblog
バス停に雪晶煌めく真知子巻き
点滴の空白の間の垂氷視る  
音立てて航く氷海に跡青し 
病院の帰り、バスを我が家の近くの気象台前で下車して海を見ると流氷が直ぐ目前まで来ていて観光砕氷船が流氷を縫うように青い航跡を残していた。船上ではエンジンを全開して流氷を割る度に観光客の歓声が上がって居る事だろう。いよいよ関係者が鶴首していた冬の観光シ-ズンが始まった。

きょうの俳句 /白鳥     

2007-01-27 10:04:06 | Weblog
白鳥の心耳確かに閨のそら
風花の小さき六角晶きらかに
陽に寒し流氷近きを思わしむ
昨日が今期最低と思っていたら今日は更に寒い、最低-13℃最高-7℃の予報、点滴おえて帰りぎわの玄関先は-8℃だった。肉眼で沖に流氷が見える、接岸も間近いことだろう。風花が黒いオ-バ-に舞い降りる。くっきりと6角形の綺麗な雪の結晶が見える、低温の空を舞い落ちる間に成長して大きくなるのだろう。

きょうの俳句 /寒茜    

2007-01-26 13:47:24 | Weblog
寒茜風に明るさ残しけり
もっと鳴け海猫(ごめ)に欄干凍りいて
寒月の鉄に響きし靴の音
久しぶりに妻の夕方の買物の運転手をつとめる、街路の-7.3℃の温度表示の赤が寒々としていて、寒茜が綺麗。何時もは静かに一列に欄干に並んでいるゴメが今日は鳴いて煩い、彼らも寒いのだろうか。
晴れた夜は冷える、TVの明日の気温予報は最高‐6℃最低-12℃との事、でも平均では暖冬だと言う。近所の学生アパ-トの鉄の階段の音が今日は冴えて聞える、窓から覗く寒月が青白く冷たく見える。

きょうの俳句 /冬日       

2007-01-25 10:50:22 | Weblog
流氷を観し一会の火を囲む
しずけさに見え来る闇の雪のこえ
発作なく過ぎし冬日の影やわし
通院の途中流氷観光船乗り場に立ち寄ってみる。船は出ていて観光客も来ているが、まだ流氷が本体氷でなく端氷帯を観る程度だそうな。やはり札幌雪祭りの頃になるのだろうか。

きょうの俳句 /御神渡り     

2007-01-24 14:17:35 | Weblog
不揃いの林檎っ児らに雪遊び
向ってはまた流されて冬鴎
氷上の呻き起き立つ御神渡り
通院だけが一日掛りの外出の機会、道すがらの様子が気になる。市内のお寺の門が閉めてるので何事と思ったら、寺庭では併設幼稚園児の雪遊び中だった、北国の子らはこうして逞しく育つのだ、そう言えば孫達は冬も乾風摩擦をやってましたね。隣家の息子さんが厳寒の中撮ってきた塘路湖の御神渡りの労作を見せられ以前同行した時のことを思い出した。この近くでは屈斜路湖でももう見られる頃な筈。

きょうの俳句 /流氷

2007-01-23 09:07:23 | Weblog
流氷に閉ざさる間々を漁に航く
伸ぶ髭に白さの目立つ寒の朝
咳きこみぬ絡みし痰のしつこさに

通院以外家から暮らしが続いているが、まだ漁船が出て航く音が聞える。流氷は風次第だが恐らくはあと10日もせずに漁場も流氷に塞がれてしまい、オホ-ツクの漁は眠りに付くだろう。昔はこのまま街も死んだ様に静かになったが今は違う、冬の流氷観光シ-ズンが始まる。

きょうの俳句 /玉子酒   

2007-01-22 18:03:49 | Weblog
     
[オンライン新年句会投句]
どんど火に雪山真っ赤に燃え上る
枝々に霧氷の綺羅の静かなり
梟の虚空まさぐる闇のこえ

梟声の虚空を探る闇のなか(推敲)
湯豆腐のおぼろの中を掬いけり
冬晴れの岬しらじらと海に浮く
今期最低気温の夜の玉子酒
道東には最大の梟シマフクロウが生息してるが目に触れた事がない。先日偶然夕暮れ幽かに耳にしたのが梟声だと言う。絶滅危機種で図鑑でしか見たことがないが、アイヌも森の神とした処をみると中々人の目には触れる事は少ないのだろう。新年句会の句を推敲してみた。

俳誌『水煙』2007年1・2月号掲載作品

2007-01-20 09:27:53 | Weblog
俳誌水煙2007年2月号掲載作品

南天抄-------
初雪はひんやり水の匂いして /志賀たいじ

作品7句Ⅰ/鮭の寿し-----
初雪はひんやり水の匂いして
笹の葉を選びて漬けり鮭の寿し
冬近し深耕の土くろぐろと
どの角も月に繋がる十三夜
日高路は駿馬ばかりの牧さやか
立冬の海より生まる薄ぐもり
初氷陽に煌めいて陽に消える


俳誌水煙 2007年1月号掲載作品

作品7句Ⅰ/万朶の露----- 
黒牛の乳房の触れて草の花
ずっしりと南瓜に引力生れけり 
ひとときの万朶の露の輝ける
触れるもの風のほかなく花芒
どの軒も大根干しあり路地の風
暮早き月ほのぼのと牛曳かる
宵寒の予報に雪初む朝かも

水煙作品―――高橋正子選-----
満月のひかりを攫らう花穂波
冬支度嶺の白さに急かさるる
ひたひたと草々に沁む秋気かな
湿原の靄の触れゆく沢桔梗
野辺送る風に白けく秋の草

きょうの俳句 /流氷初日    

2007-01-19 08:32:26 | Weblog
掃うものなき樹に寒の夕映える
冷え冷えと流氷初日になりにけり
翔ぶ鳥のことさら白し寒の朝
今日は少し体調が良いので窓から外を見ていると今まで見えなかったものが見える様な気がします。気温が緩んでるのに体感温度がじわじわと沁みると思ったら、流氷が肉眼でみえる「流氷初日」を迎えたと気象台より発表があった、外にでれないのが残念。平年より二日、去年より五日早いと言う。