[2月号・作品7句]
牧閉ざす牛の咆哮太く曳き
廃線の線路真っ直ぐに冬が来る
草の絮軽きものより風に乗り
入れ替える牛舎の藁の冬ぬくし
雲天の零せし雪の野をつつむ
水桶の重さは知らず薄氷
風花の光に重さなかりけり
[2月号・作品5句]
晩秋の牛半眼に昏れなずむ
ふり返る犬が前行く露のみち
ひと湿り来て山門の曼珠沙華
大根の泥滲みてくる夕刊紙
枯木立白樺だけが真っ直ぐに
[3月号・作品7句]
冬ざれや棒なる案山子燃やさるる
牡蠣を剥く生業の顔活きいきと
石塔に新雪まるく明けにけり
冬ざれの濃く単線に入りてより
極月の鮭は武骨に乾きけり
影を踏む音の軋めり冬銀河
寒風に翔びゆくもののみな素足
[3月号・作品5句]
一羽翔ぶあとに続きて沼涸れる
冬の川狭きになりてより迅し
落ちてより水面に燃える楓かな
大根の泥滲みてくる夕刊紙
枯木立白樺だけが真っ直ぐに
[4月号・作品7句]
雪捨ての己が影を越え嵩の影
小さき手に仔牛は白き息かける
寒林の足あと独りだけのもの
雪降って降っては山が遠ざかる
切花の桶せりせりと薄氷
寒林の奥に伐る音こだまして
果てるまで鶴番いゆく空のあお
牧閉ざす牛の咆哮太く曳き
廃線の線路真っ直ぐに冬が来る
草の絮軽きものより風に乗り
入れ替える牛舎の藁の冬ぬくし
雲天の零せし雪の野をつつむ
水桶の重さは知らず薄氷
風花の光に重さなかりけり
[2月号・作品5句]
晩秋の牛半眼に昏れなずむ
ふり返る犬が前行く露のみち
ひと湿り来て山門の曼珠沙華
大根の泥滲みてくる夕刊紙
枯木立白樺だけが真っ直ぐに
[3月号・作品7句]
冬ざれや棒なる案山子燃やさるる
牡蠣を剥く生業の顔活きいきと
石塔に新雪まるく明けにけり
冬ざれの濃く単線に入りてより
極月の鮭は武骨に乾きけり
影を踏む音の軋めり冬銀河
寒風に翔びゆくもののみな素足
[3月号・作品5句]
一羽翔ぶあとに続きて沼涸れる
冬の川狭きになりてより迅し
落ちてより水面に燃える楓かな
大根の泥滲みてくる夕刊紙
枯木立白樺だけが真っ直ぐに
[4月号・作品7句]
雪捨ての己が影を越え嵩の影
小さき手に仔牛は白き息かける
寒林の足あと独りだけのもの
雪降って降っては山が遠ざかる
切花の桶せりせりと薄氷
寒林の奥に伐る音こだまして
果てるまで鶴番いゆく空のあお