きょうの俳句

癌と闘う自分への応援詩
--志賀たいじ[花冠同人]の俳句ブログ

5月31日(水)の俳句 

2006-05-31 12:58:03 | Weblog
平らかに夜の離れゆくリラの花
鳥舞えば地にも靡きけり麦の青
青笹の葉擦れさやさや五月行く

リラの花が遅い北国の晩春?初夏を飾っている。飾っていると言っても当地の花は紫を帯びた紺青の目立たぬ種類が多く、近づく人をたわわな花と香りで惹き付ける。窓越しに見る路傍の数本のリラの花の夜明けの景を見て感動した、夜が地上から水平に離れて木々が蘇って行くかに明ける感じだった。

5月30日(火)の俳句 

2006-05-30 06:55:55 | Weblog
夕焼けの老いの口笛鳴らぬなり
積み置かる廃車の陰の草青む
ガ-ベラを売る義手の娘の明るかり
蒲公英の晴れし昨日の美しき

雨に萎んだ蒲公英の昨日が美しく、冷夏に蕾みの兆しがなく去年の紫陽花を思い出す。ない時に気のつく人間の愚かさである。ガ-ベラを買った妻と義手の店員の明るい会話に、井村さんと言う腫瘍で足を切除した内科医の"あたりまえ"という詩を思い出した。忘れぬ内にもう一度書き留めて置こう。

「あたりまえ」
こんな素晴らしい事を    
皆は何故喜ばないのでしょう
当り前であると言うことを
お父さんがいる
お母さんがいる
手が二本あって
足が二本ある
行きたい所へ自分で行ける
音が聞えて
声がでる
こんな幸せあるでしょうか
しかし誰も喜ばない
当り前だと笑っている
ご飯が食べられる
夜になると眠れる
そして朝がくる
空気が胸一杯吸える
笑える
泣ける
叫ぶことができる
走りまわれる
みんな当り前のこと
こんな素晴らしい事を
皆喜ばない
その有難さを知っているのは
それをなくした人達だけ
なぜでしょう
あたりまえ。

5月29日(月)の俳句 

2006-05-29 12:32:27 | Weblog
釜揚げの白子の生きし姿など
老いし子の目に安らぎも葬の夏
葛きりの程よき冷えがのど通る

釜揚げのじゃこは美味しいと抓む、茹でられる直前まで動いていた姿など考えるとなんて殺生な、人間は自分だけでは生きて行けず命を戴いて生きてる有難さをしみじみ感ずることである。

5月28日(日)の俳句 

2006-05-28 07:45:04 | Weblog
白薔薇の凭れるを知らずすっと立つ
煩悩を説かれ山門の青時雨
夏来る豊饒の海に戻らむか

隣家のご主人の母上が亡くなられ隣町のお寺へ通夜のお参りをした。読経後、浄土真宗の法話を聞き山門を出た所の大きな楓の下で青時雨を浴びた。

5月27日(土)の俳句 

2006-05-27 06:18:30 | Weblog
船音や蒲公英に暮れ時のきて
からからと帆立剥かれる貝の嵩
風薫る露地四つ角は子らの場に

春魚は薄漁と聞いたが地蒔き養殖の帆立貝の水揚げは順調との事、総ての魚種が悪いという事はない様だ。加工場では帆立の貝剥きに大童だがたどたどしい日本語が交う、中国人研修女工が多いのだろう。近道して露地を歩いてみる。いくらでも広い場所があるのに露地は子らの広場である。

5月26日(金)の俳句 

2006-05-26 11:53:00 | Weblog
卯の花の飛んで水面の雲に乗る
赤々と芍薬の占む目の高さ
花冷えや漁なき網の藻を落す

昨日までの低温が嘘の様な日差し、日の照る前から花全開の蒲公英の敏感さには感動した。小さな庭の芍薬の花の真紅が空間を独り占めしている。

5月25日(木)の俳句 

2006-05-25 16:30:51 | Weblog
草引いて葉窪の滴散らしけり
去年あまた紫陽花の珠兆しなく
早々と花なき村は昏れりにけり

先日萌えたと思っていた雑草が花畑に伸びて早くも引き抜いたら、昨日の雨を抱いていて雫が散って思い切り浴びてぢまった。かと思うと去年あんなに沢山花をつけた紫陽花がみどりを増してるが全然蕾みを持ちそうにない。水温が低く春漁も不振だと聞く。 冷夏の予想だがやはり異常である。

5月24日(水)の俳句 

2006-05-24 09:53:22 | Weblog
蒲公英の萎める朝の冷えし野に
ポプラ揺る枝のみどりを膨らませ
リラ花の匂えり白もむらさきも

ポプラの枝につけた小さな早緑の葉の揺れが美しい。風が膨らんで見える季節だ。札幌の初夏名物ライラック祭りも一昨日で終わったと言うが、当地は今が盛り、この肌寒はリラ冷えだろうか。

5月23日(火)の俳句 

2006-05-23 07:49:46 | Weblog
残り花のの字のの字に降りにけり
木漏れ日というも明るき若葉風
潮水に傾げて浅蜊洗らいけり
片爪の蟹おおきく泡を吹き来たり

漁業権が出来て最近は昔の様に何処でもとは行かず市民が自由に獲れる場所が決まっている。浅蜊貝も小さくなったが皆大漁の様だ、潮干狩も山菜摘みも大好きな長男の嫁さんも10Kgくらい獲ったろうか、両隣、知人に裾分けした。

5月22日(月)の俳句 

2006-05-22 08:02:35 | Weblog
葉桜のいろ濃き陰に蕊降りぬ
組み榾は菌を打たれり若葉影
目薬の沁みにひろがる夏の明け

ついこの前まで裸の雑木林に人影、立ち寄って見る。林は若葉が影を作っていて意外と明るい、そこで栽培用の椎茸菌を打たれた榾木が組まれ始めていた。 

5月21日の俳句 

2006-05-21 06:32:43 | Weblog
紅梅に触れてみたくて背伸びせり
明け易し今日を確かむ指体操

利き手を麻痺させた友を見舞い、夕べは彼の夢をみた。明瞭さは欠くが話は出来て、力の入らぬ手を包んで擦ってやると温もりが伝わってゆく様な気がした。
この頃の明けは早い、思わず目覚めた手の指を折って見るとこきこきと鳴った、今日も朝を無事迎え得た幸せを感ずるひと時である。

5月20日の俳句 

2006-05-20 13:53:23 | Weblog
散る朝のしずくの重し花の雨
春耕や援農のありし十五歳
寿と封ある書状風薫る
掛軸に鷺佇つ水辺夏座敷

やはり日曜を待てずに桜が散りはじめた。昨夜の雨は上ったが落花は一気に進みそう。中学のグランドでは運動会の予行中だが、仕種がどうも幼い。自分のその頃はどうだったろうか?    南ではそろそろ梅雨の便りの時期なのだが、一番年下の姪のジュンブライドの案内がきた。幸せになるのに季節は関りないのだ、諺の通り幸せになって欲しい。

5月19日の俳句 

2006-05-19 07:26:35 | Weblog
散るときを秘めて桜の今日を満つ
まだ固き辛夷の蕾のよそよそし
蒲公英の黄はみどり野にわが窓辺

目覚めに目薬を一滴、パソコンに向う。雨上がりの窓越しの野原のみどりが昨日より濃くなった。朝の陽に一斉に咲いた蒲公英の黄が眩いばかりだ、今日も一日いい日になりそう。

5月18日の俳句 

2006-05-18 07:05:39 | Weblog
やわらかき声して闇に夜釣舟
椎若葉老いても内に思うもの 
浜防風摘みて夕餉の酢味噌和え

遅い桜に目を奪われた日々だが、雑踏をさけて歩くと其処此処に初夏の気配も見られる。春ばかりでなく北国の夏もまた短くいつのまにか過ぎてゆくので見逃す季語も多いことに気付いた昨年だった。今年はできるだけ北国ならではの夏を探したい。

5月17日の俳句 

2006-05-17 06:14:30 | Weblog
人絶えて桜の火照り冷えにけり
満つはずの月奪われて花の宵
上の空とはこのことか花の中

昨日の27.3℃は全国2位の気温とか、連日の暑さに桜は満開、散るのが早いのも北国の特徴。休日まで待たれずの夜桜の花の宴や観桜に公園を行き交う人が切れない。 北海道の山桜はソメイヨシノより紅色が濃く、最も桜らしい色と思う。わが町の花が一番でもないだろうが皆もそう言っている。