きょうの俳句

癌と闘う自分への応援詩
--志賀たいじ[花冠同人]の俳句ブログ

きょうの俳句 /白百合      

2007-07-31 07:27:02 | Weblog
白百合の闇寄せつけぬ白さかな
起ち上がる駒の身震い牧に夏
赤々と土用の海より満つる月

昨日は土用丑の日、宵闇に東の海から昇る望の月は赤々と大きくて、まるで暗暁に昇る陽と紛うかと思うほど印象に残るものでした。

きょうの俳句 /土用入り       

2007-07-29 07:06:46 | Weblog
一斉に翔ちて影濃き夏野かな
舫い舟小さく揺れる土用入り
土用入る鰻は浜名と決めており
熟麦の触れ合う音の細きみち

野に出て緑濃くした青野を詠もうと思って佇んだとたんに、何処に潜んでいたのか一羽に続いて一斉に翔び立った鳥の残した夏日の影の濃さにお株を奪われた夏野になりました。

きょうの俳句 /夏休み       

2007-07-25 07:37:27 | Weblog
干梅の広げし表裏反えす
雨も好し緑の中に暮らし来て
草の名の覚えぬままに刈取りし
友の国訪うという子に夏休み

一番上の孫は同学の留学生の友の故郷大連を夏休みに訪れるから帰省はせぬと言う。「可愛い子には子には旅」である。大連のあと各地を旅すると言い、総て自賄いすると言う、いい経験になると思う。

きょうの俳句 /麦熟れる      

2007-07-21 06:33:42 | Weblog
空はあお大地焦がして麦熟れる
白南風の葉裏しらじら陽を反す
手花火の匂い纏いて家に入る

ついひと月位前まではみど一色だった畑が、今日峠から眺める麓は黄金に輝く麦畑、白花を配して淡い緑の薯畑、濃い緑色はビ-トかコ-ンの畑であろうか、まるでパッチワ-クを貼り詰めた様な景色は北の大地の夏を飾る風物詩のひとつです。

きょうの俳句 /水無月        

2007-07-19 06:59:12 | Weblog
紫陽花と呼ぶにひるみぬ緑なる
水無月の弦月西に昏れがたし
風鈴や子らみな家を離れたり

中越の被害地の雨はどうなのであろうかと思いつつ、北国の空を眺める。申し訳ないほど晴れた日の夕焼け空が綺麗だ。昨夕の西空低く上がった細い弓月の美しさに思わず息を呑んで暫く見蕩れていました。

きょうの俳句 /日々草        

2007-07-17 06:01:36 | Weblog
雨兆し牛は水辺に芹の花
曇天に押され翳ろい日々草
送り火の名残の川瀬水匂う

隣市に行った序でに古本屋に寄る。会津八一の"鹿鳴集"の外にも掘出物があった、新古本に曾って社会人の不惑の長男の学位論文を審査してくれた水産大学院の教授が宇田零雨主宰を継ぐ俳人だった驚きの句集と渥美清の俳句のことを掲載したエッセイ集である。寅ファンとしては見逃せず買う、"風天"なる俳号でアエラ句会で詠んだ句として載っていた。『お遍路が一列に行く虹の中/風天』があり、吟行句の『花びらの出て又入るや鯉の口/風天』も俳優・渥美清の片鱗を感じた。