学び舎に洩れる窓の灯日の短か
寄合って潮風騒ぐ冬の岬
裸木のささくれてある温くもりに
昨17日は治療で夕方4時近く迄在院、19日昼過ぎ迄在宅で点滴。あとの予定表は安静と空白である。
16日年越し水産品の注文と昔世話になった社員の動静で年賀失礼が無い様確認を兼ねて、懇意の社員に電話した。何となく雰囲気の違いで会長の急逝を知った。葬儀に参加できぬ私の病状を伝え葬儀日程の連絡を依頼した。会長への年賀状へ私の病気の事添え書きしようかの迷いが束の一番上にあり、偶然が虫の知らせかと驚いている。
若くして家業を継いだ彼は、我が社の何倍のも規模だったが、同じ齢、学卒も水産、考え方にも共通点が多く気安さもあった。若造の意見など無視され勝ちの或団体の総会で共同購入の議事に彼の正論が大勢に流された時、私の調べで表面利点以上に大きなリスクを説いて廃案にした頃から一層接近した。今後の水産の有り方など意見なども交わし、私をよく理解してくれた。彼も幾度かの岐路を乗り越えて、今磐石に次世代に継承した姿にも生かされていたと思うとリ-ダ-となる人の片鱗を見た気がする。新聞に広告も記事を頑なまでに避け、今ある姿でつつしまやかに静かに送って欲しいとする遺志の葬儀だった。北海道水産をリ-ドした故人だけに私もそうだが今は疎遠になっても恩顧を受けた人、思い出の多い人も多いだろう。地元と現関係者丈で遺志を尊重した葬儀だが故人を偲び焼香は絶えないだろう。今日明日の静養日は彼を偲ぶ日にしたい。
『枯木立からりと空をあけ渡す』
17日の句はご遺族の皆様がつつしまやかな旅立つを望んだ父の心の広さを晴空にきっと感じて呉れるだろうと信じての一句。
『裸木のささくれてある温くもりに』
の句は若き在りし日の彼が殺伐とした早朝のセリ場で、セリ場に立つ部下を信頼しきった眼で温かく見守る姿に若い経営者と思われぬ大樹の風格を感じた思い出を詠み、追悼の思いを表した。