きょうの俳句

癌と闘う自分への応援詩
--志賀たいじ[花冠同人]の俳句ブログ

きょうの俳句【12/29(月】  

2008-12-28 18:30:03 | Weblog
冬天と交わり落陽果つ海に
年詰まる吾れに仮寝の静養日
回想:宇和島の旅
冬ぬくしじゃこ天もまた香うばしく

私の方はスケジュ-ルが終えたので2日前から大晦日のために今暫し静養することにした。色々の景を思い出しては句にするのだが、どうも私の回顧の句は迫力に欠ける。

きょうの俳句【12/28(日】 

2008-12-28 07:56:16 | Weblog
静かなり湖の芯より凍てはじむ
繭玉やホ-ムステイの子の部屋も 
年用意良くも悪くも終える日に

例年より暖かさが続いた為なのでしょう、湖の結氷が遅れている。正月をこの地に過す人のために例年通り穴釣りを思う観光業者の焦りを払拭するかの様に急激な寒さは水の芯から凍って来る様だ。
ここ暫くは帰省の子らが揃う正月の体力温存のための静養日にすることにした。

きょうの俳句【12/27(土】 

2008-12-27 08:34:51 | Weblog
傾ぎては岬の老樹の北風(きた)に起つ
冬天の闇ゆるがして風渡る
虎落笛残り数える日の朝に
数え日の感謝で終えるスケジュ-ル

昨日からの強風に関らず、当地方は幸い積雪は少なかったが、一晩中虎落笛が鳴りつづけ明けた朝だった。

きょうの俳句【12/26(金】

2008-12-26 07:38:46 | Weblog
降る夜半の音なき音へ雪明かり
吹き返す風は枯野の陽をゆらす
吉日を心に留めて歳の市

入院中の早寝の習慣が身についたのか、自宅でも就寝は早い。長い夜の明けやらぬ午前四時は夜半の感じでいる。でもこの時間になると新聞が配刊になるのだが、雪降る中のひとの気配に窓の内障子を細く開けて見たがそこには影もなく街灯の雪明かりがあるだけだった。
今夜は大きく崩れる天気予報だが、当地は風は強いが、積雪は多くなさそうなので、ほっとしている。

きょうの俳句【12/25(木】  

2008-12-25 08:40:06 | Weblog
歳の花活けては贈る妻の暮
クリスマス関りもなく偲ぶ夜に
冬菊に近き座ひとつ焼香す

親友が家元師範の為、交友から続いて来た華道、教えるでもなく、道央都市で開かれる華展以外は只趣味に徹している妻の活花、忙しいひとへの歳の花を活けては贈る日が続いた。ここ十数年はアレンジメントも採り入れて中々洒落たクリスマスの花も贈っている。八十歳に手の届く老妻の若返りの一番充実した時かも知れない。健やかにと願う日々である。
知合いが亡くなった。斎場は偲ぶ人で一杯、前列に私を待つかの様に席ひとつがあり、懇ろに焼香させて貰った。体調のこともあり読経のあと、イブの夜の喧噪のなかを足早に我が家へ急いだ。

きょうの俳句【12/24(水)】

2008-12-24 07:54:50 | Weblog
子らの声膨らんでメリークリスマス
止めし水寒き音して深く落つ
今散りし枯葉を拾い掌のなかに

近くの雑木林の大樹に数えるだけ残る枯葉に"舞う風を選るか枯樹の残る葉に"と句を詠んだばかり、残る葉も人知れず果てるのだろうが、枯葉とて最高のパホ-マンスで終わりたいのだろうなど感傷的になっていたのだが、目の前で散るのを見た。思わず拾って掌の中で温めた。
東京の孫から、祝日に合わせて前倒しのクリスマスイブを送る様子、いきなりの英語に驚いた。

きょうの俳句【12/23(火】

2008-12-23 07:21:37 | Weblog
冬灯に影追う母と針と糸
こだわりて上向く丑に年の暮
年の瀬の獄舎に低く陽の入りぬ

気分転換に出来るだけ、外に出たいのだが、この処、病んでからは風邪引くことを恐れ家にいる事が多くソフワ-で何時もうつらうつらしてる気がする。冬至も過ぎたがまだ短日の午後は早く灯して仕舞い、まどろみつつ母の夢を追った。
国道を通ると川の向こう刑務所のも日短かの幾つかの灯が見える。裏の山々も枯木の山、日差しも一段と低くなった。獄中で年の瀬を過す受刑者にも家族はいるだろう、早く更正して温もりのあるお正月をとふと思った。


きょうの俳句【12/22(月】  

2008-12-22 09:23:44 | Weblog
産まれんか隣の牛舎に冬灯し
過疎進むという集落冬至入る
カテ-テル付けしまま入る冬至の湯

昨日は冬至だった。今年は柚子の香を楽しむ丈の冬至湯ではなかった。カテ-テルをつけたまま冬至の湯を味わっている人はこの世にどれ位いるのだろうか。手術の履歴を示すような人工の管も、我が臓器を結ぶ分身と思うと愛おしくなる。そうして、存えて冬至を迎えれた喜びは言い表せないものがある。こんな嬉しい冬至の湯は他の人には味わえないだろうし、私だけのものだったかも知れない。

きょうの俳句【12/20(土】

2008-12-20 09:01:49 | Weblog
年つまり仔牛の産声つづく朝
雲おもく華やぎもなし冬入日
重き雪粉雪になりて夜狂う

昨日、近郊に出掛けた序でにいつもの牧舎に寄ってみた。この処年の瀬を控えて予定より幾分早いベビ-ラッシュだそうだ。このぶんだと元日は逆にゆっくり出来そうとの事。

きょうの俳句【12/19(金】

2008-12-19 07:29:55 | Weblog
水洟の染まるも薬のせいのこと
浄土めく蓮葉の氷池の面に
煩悩に滑る雪道踏み直す
 友への追悼句
巡るめぐる思いを詠めず雪催い

抗癌剤点滴後の副作用の身体のだるさは前回ほどでない。正月に掛るので年内は検査と他の科の診療を残すのみ。こうして家族や医療関係の皆さんに体力的にも精神的にも支えられて、お正月を迎えられる。この先のスケジュ-ルを色々書き込んでいるのだが、予定表がはみ出して欄外まで記入されている。例年なら型にはめられた様な年末予定表なのだが、今年の暮れは総てに要件毎に"誰々さん有難う"を添える事にしている。口では伝えられぬが心の中で反復している。

きょうの俳句【12/18(木】

2008-12-18 08:01:02 | Weblog
学び舎に洩れる窓の灯日の短か
寄合って潮風騒ぐ冬の岬
裸木のささくれてある温くもりに

昨17日は治療で夕方4時近く迄在院、19日昼過ぎ迄在宅で点滴。あとの予定表は安静と空白である。
16日年越し水産品の注文と昔世話になった社員の動静で年賀失礼が無い様確認を兼ねて、懇意の社員に電話した。何となく雰囲気の違いで会長の急逝を知った。葬儀に参加できぬ私の病状を伝え葬儀日程の連絡を依頼した。会長への年賀状へ私の病気の事添え書きしようかの迷いが束の一番上にあり、偶然が虫の知らせかと驚いている。
若くして家業を継いだ彼は、我が社の何倍のも規模だったが、同じ齢、学卒も水産、考え方にも共通点が多く気安さもあった。若造の意見など無視され勝ちの或団体の総会で共同購入の議事に彼の正論が大勢に流された時、私の調べで表面利点以上に大きなリスクを説いて廃案にした頃から一層接近した。今後の水産の有り方など意見なども交わし、私をよく理解してくれた。彼も幾度かの岐路を乗り越えて、今磐石に次世代に継承した姿にも生かされていたと思うとリ-ダ-となる人の片鱗を見た気がする。新聞に広告も記事を頑なまでに避け、今ある姿でつつしまやかに静かに送って欲しいとする遺志の葬儀だった。北海道水産をリ-ドした故人だけに私もそうだが今は疎遠になっても恩顧を受けた人、思い出の多い人も多いだろう。地元と現関係者丈で遺志を尊重した葬儀だが故人を偲び焼香は絶えないだろう。今日明日の静養日は彼を偲ぶ日にしたい。
『枯木立からりと空をあけ渡す』
17日の句はご遺族の皆様がつつしまやかな旅立つを望んだ父の心の広さを晴空にきっと感じて呉れるだろうと信じての一句。
『裸木のささくれてある温くもりに』
の句は若き在りし日の彼が殺伐とした早朝のセリ場で、セリ場に立つ部下を信頼しきった眼で温かく見守る姿に若い経営者と思われぬ大樹の風格を感じた思い出を詠み、追悼の思いを表した。