きょうの俳句

癌と闘う自分への応援詩
--志賀たいじ[花冠同人]の俳句ブログ

きょうの俳句

2009-04-26 08:51:33 | Weblog
草萌え----09'04.26----

口笛の交う少年と木の芽風
草萌える乳恋い指吸う山羊の仔に
草萌えの寄りくる山羊に陽がいっぱい

きょうの俳句

2009-04-25 09:12:54 | Weblog
春暁の音---09'04.25--

春暁の音いろいろに陽の色も
待つという楽しみ殖やし芽吹く道
 <追憶:花冷の津軽の花旅>
花冷えのたこ焼くるくる反りけり

一昨年の今日は妻と津軽の花旅のさ中にあった。花冷えの弘前城の夜桜の夜店でのたこ焼の見事な手捌きと美味しかった事がずっと語り草になっている。この処の冷えの戻りで桜前線は何処で足踏みしているのだろうか。

きょうの俳句

2009-04-24 12:09:31 | Weblog
別れ雪----09'04.24---

草萌えのリゾ-トチャペルに陽が一杯
陽を集め明日へ膨らむ北辛夷

靴裏にぐっと滲みくる名残り雪

三日前までの春の陽気は何処に戻ったのだろう。昨夜半の冷えは名残の雪を齎した。積雪何ミリかが、視界を変えている。道路の雪は足跡が消してゆく。野の雪も昼頃までに、冷えたまま陽の射さぬ雪は輝きもなく寂しく消えた。これが名残りの雪であろうか。

花冠が「俳句界」に広告や記事になる様になって俳句雑誌を続けて読んでみているのだが、読み易いことと読者の投句を見て、高橋両先生のお叱りを受けるかも知れぬが、お許しを得ず、今までは一度もない読者投句をして試みた。メ-ル一行詩投句欄なのだが、小生のレベルの次の拙い句が4句も佳作入選するのだから、水煙から受継がれた花冠のわが師の指導とレベルの高さを再認識した。我が花冠句友のレベルは相当高いと自信を深める可きだ。

干蛸の忘れしままに海明ける
螺子ひとつ歪みしを抜く春の夢
無事卒業す追伸に犬のこと
何ごとも流氷のせい煮凝るる


きょうの俳句

2009-04-22 13:38:19 | Weblog
春耕-----09'04.22-----

春耕やトラクタ-音の返りくる
五月空の窓一点と対座せし
引越の荷の影揺れて春あかね

ひねもす病窓からの景を楽しむ日々である。学生の引越しであろうか、小型の車に大きな荷物、ゆらゆら揺れながら行く夕焼けが、とても身近に感じられて詠んでみた。今はガラス越しに見つめる五月空の一点を見つめ続けている日々、何もない筈の空に色々の景が次から次と浮かんでくる。

きょうの俳句

2009-04-20 09:23:38 | Weblog
福寿草---09'04.19--

野に咲けよ福寿草は崖の端に
香花にまんさくの供えあり農の家
春禽の音階たかく空の青
膝掛の絣に偲う花津軽

晩鐘や辛夷ふくらむ芽木に風
春の陽や老々介助の日もありて
忘すれ置くメガネのあたり春陽射し

例年なら雪消の頃に目にする福寿草だが近く海を見下ろす崖の端に群がって咲いている。福寿草は他の春の花より蜜が少ないので、一足先に開花して蜂を呼ぶのだそうだ。自然界のなかで生きる厳しい摂理に心を奪はれる。今、蜂不足が農業の危機を呼び起こしているそうな。その原因が女王蜂不足なのだそうだ。何気無く食べる目前の果物や野菜にもと思うと不思議な気分である。その自然の摂理を乱すものが人類だとすると何としょう。

きょうの俳句

2009-04-16 09:50:31 | Weblog
花芽----09'04.16----

陽のさきの土割る花芽の勢いに
春暁のおぼろの中に陽の生まる
色褪せし鯉泳がせて木の芽風
 (去年より半月ほど早く燕訪来)
病窓に真っ直ぐ来たり岩つばめ
半熟の卵に弾み春のあさ

春光の布裁つ妻に影丸む
一夜干すキンキも木芽も風のまま
春雨に濡れるも有縁と門くぐる
トンネルを出て港の朝は春霞

きょうの俳句

2009-04-10 08:24:06 | Weblog
より白く----09.04.10-----

春浅き雲はほぐれて海へ飛ぶ
春暮れて鐘おんおんと牛曳かる
四月入るナ-ス白衣のより白く
春の風行きつくところ花芽吹く
春の納屋何を紡ぐや糸車
白砂に湿る重さよ琢木忌
春禽の音階たかし空の青
晩鐘や辛夷ふくらむ芽木に風
春の陽や老々介助の日もありて

症状の進行と副作用の手足の痺れでこのブログの書込みも少々支障が出始めた。今日ある自分を確かめ明るく病と闘う気力を奮い起たせるのがこの俳句、不便でも指一本で自分の思いを文字に出来るPCの有難さ、駄句であろうと17文字の一行に込める思いは強い。毎日は無理かも知れぬが、詠める限り続けてゆく。 

きょうの俳句

2009-04-09 08:56:13 | Weblog
蒔く種---09'04.09---


蒔く種の掌で温めもして土反す
霞曳きオイルの匂い河を航く
遠い日も重ねて友の花便り

久振りの自宅、まだ浅い春だが、あれもこれもと春を満喫したい。近々外来治療にするとの事だが患者としては微妙だ。手足の痺れが激しくこれ以上は生活に支障が大きくなるから、薬の副作用の原因の薬の点滴量を減らすとの事だ。すべて医を信じてお任せし、己は気力を失わぬよう努めるだけだ。

きょうの俳句【09'04.05(日)】

2009-04-05 08:10:42 | Weblog
日の射して木(もく)香りくる春普請
鳶一声明るき春の朝迎う
春陰や痺れ手を通す介護の衣

薬の副作用でこの処指先の痺れが強くなって来た。箸はまだ使えるのだが、シャツの釦が掛けられぬに、いらだって来る。妻が釦を使わぬ介護用のシャツを見つけてきて呉れた。有難いのだが気持の中では、まだ介護用品に余りお世話になりたくない気持が働く、人間とは勝手な生き物だ。

きょうの俳句【09'04.03(金)】

2009-04-03 08:01:43 | Weblog
麦青き斑れの畑の土黒く
はだれ野の黙の一樹を目じるしに
シネマの様に尾灯を送る春の雪

眠られぬままに9階の病窓より外を見下ろしていると、病院の裏門からあきらかに遺体移送車と思われる車が静かに出て行く。黒塗の車の尾灯が消えるまで合掌。病いと戦い抜いて同じ病棟の友の終の無言の帰宅であろう。自分に残された時間に映画"おくりびと"を見て以来何かと考えることが多い。

きょうの俳句【09'04.02(木)】

2009-04-02 10:04:02 | Weblog
柄杓の薄氷朝の陽をうけて
摘立ての蕗芽の香も揚げられて
摘みてなお拡がる蕗芽の早みどりに

4ケ日間ほど見ぬ内に家の前の野に蕗のとうが一斉に芽吹いた。法務省の空地なのだが売れずに野原になって久しい。町内の人が愛していたポプラの老木を伐って問題なったからであろうか、除草剤も使わず除草機で年に3回も除草するので、色々の草の花が見られる様にもなり、摘む蕗の芽も安心して食べれる。早速採りたての蕗の芽が蕗味噌と天麩羅にと春の色と香りを充分堪能した。