オレンジ色の紫陽花

携帯から軽快に綴るおいらの日々。
…だったのだが、ツイッターのまとめブログに変更。極稀にこっち単独の記事もある、かも。

「無事、これ名馬」

2008年05月21日 16時47分33秒 | ほぼ、文庫本 2008
無事、これ名馬/宇江佐真理/新潮文庫

時代劇を見るように読む、みたいな時代もの。
江戸は町火消しの組頭のところに、齢7つの武家の坊ちゃまが
「男の道をお教えください」と通うようになって…

この坊ちゃまが、お武家の跡取りにしては大層頼りない。
おねしょはする、泣き虫、下の妹には「たろちゃん」と呼ばれ、長兄の貫禄なんてどこへやら。
…でもかわいらしい!いじらしい!
彼がこれからどうなるのか(どうもなってほしくはないけど)、心配なような楽しみなような。

そう思って読み進んでいたら、後半になってどうも様子が変わってきた。
もちろんたろちゃんはそこここで顔をだし、話にも食い込んできてはいるんだけど、彼の知らないところでの大人達の話、も結構出てくる。
ていうか、はじめからそれが本筋だったのか?

で、読み終わってみたら、なんだか、組頭が主人公の話だったのかも、これ。
みたいな感じ。
なんかちょっと、だまし絵のような、いや違うんだけど、絶妙に話のアングルが変わってくるところが上手いなー、読ませるなー、と思った(っておいら何者だい)。
特に後半になって、お職(火消しの中でも組頭に次ぐ、いわば若頭、みたいな人)が殉職するあたりから話が急展開。あれよあれよ、と様子が変わる。

でも、なんだな、人の生き様というものは、思いもよらないところに思いもよらない仕掛けがあったり、ほんとに神様ってのがいたずらしてるに違いない、そう思わないとやってられない事も、一度や二度じゃないくらい、ある。
あるんだけど、それでもやっぱり、生きていくもんなんだよな。

そういえば、頭が思い描いた理想の最期、いわく
朝湯に浸かり、朝飯を食い、食後の茶を飲んだ後にばったり逝きたいものだ。
という、まさにそういう最期を迎えた人が、おいらのまわりに一人、思い当たる。
今月末に一周忌を迎えるNさんがそう。
おいらのばあちゃんとそちらのお母さんが従姉妹だったかなんだか、そういう繋がりの、血縁があるといえばあるんだけどないといえばない、でも昔ッから何かというとお世話になっていたおじさん。
そう思うと、この話の組頭、ちょっとNさんを彷彿とさせるかも。

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