「ゲド戦記」
声の出演:岡田准一、菅原文太、風吹ジュン、田中裕子 他
声の出演:岡田准一、菅原文太、風吹ジュン、田中裕子 他
(ほんとは声の出演のところに「テルー」の声の新人さんを入れてあげたかったんだけど、漢字がなくてあきらめました。…どんな理由だよ!)
スタジオジブリの映画ですもの、機会を見つけて、映画館で見たいですよ、当然!
というわけで、こっそり行きました(ここに書いてる時点で「こっそり」じゃねえよ!)。
ゲド戦記って、いつだったかな、新聞記事で見ましたが、原作者の方のコメントとしてあんまり芳しくないようなのがありました。他にも、見た人からは、あんまりこう、諸手をあげて絶賛、てわけじゃないよなあってコメントも聞かれますし。あとねあとね、原作を愛読している小学生の女の子が「本の方が一万倍くらいおもしろい」と言い切ってたのもあったなあ(夕刊の連載記事にあったよ)。
おいらはこの映画、テルーの唄と「竜」のビジュアル(笑)と文太兄イ(兄イって!恐れを知らぬ暴言だ…)を楽しみに見ました。
結論。
テルーの唄は想像していたよりもずっと、心にずどん、ときました。
「竜」は「龍」ではなくて「竜」なんだよな、西洋のはな、と思いました。
文太兄イは、感情の抑揚が大きすぎず小さすぎず、きちんと理性を備えた賢人、という感じがしました。(でもおいらは「釜じい」の方が好き!)
オワリ。
…あ、終わっちった。
なんちゅーかな、詰め込みすぎてるな、と思った。挙句、話が中途半端にしか描けてないんじゃないのか?
まず出だしの、アレンが父親を刺すシーン、あれもなんだか、中途半端だったな。あれじゃ「刺されましたが生きてます、ピンピンしてます」っても通用するぞ?だもんでそもそもの「父親を殺した」という罪の大きさがボケてる気がした。いやもちろん、父親を刺した時点で大問題なんだけどな。さらに、その直前にアレンの姿が見えないと侍女達が言うのへ、王妃がいさめるところがあった、あれもとってつけたような感じがした。なんだろう、アレンをとりまく環境、たとえば王妃が後妻だとか?だもんでソリが合わなくて虐げられてるとか?実の父親は超多忙につき自分を構ってくれないとか?なんか分からないけど、そういうのも描くんだったらはっきり描いてくれよ!てかんじ。え、結局これは本筋に絡むことなの?どうでもいいことなの?ていうモヤモヤ感が、映画を見るのに邪魔でした。
テルーにしても、彼女がなんで人嫌いなのか、ていうことを、テナーの言葉での説明だけで終わってる。あれなら言わないほうがましだろうと思った。現実にもさ、いかにもわけありな人とちょっと知り合ったりしても、最初っからその「わけ」を知ろうとは思わないでしょ?「わけ」を知らなくても、知り合った関係を続けていくのに支障が出ることもないでしょ?そんな急に、ねえ。もっと親しくなってからなら分かるけどな。
人嫌いなのは、他人に接する態度でわかる。子羊を懸命に世話する様子から、ほんとはすごく優しい子だということもわかる。一人で涙をぬぐうシーンで、ああやっぱりこの子にもつらい背景があるなってのもわかる。
そんなんで十分だったんじゃないのかなあ。
テナーもさ。その昔、ハイタカに「墓所」から「光の中」へ連れ出してもらった、みたいなことを言うシーンがあったけど、「ボショ」って音で「墓所」って分かるのか?ていうかそっちが気になったんだけど?某所の聞き間違い?とかさ!それなら単に「あの場所から」とかってぼかしておいた方がいいんじゃないのか?
ハイタカと言えば!この映画「ゲド戦記」じゃん?で、ゲドっていうのはこの映画の主人公(だよね?)の名前で、別の名を「ハイタカ」という、くらいのマメ知識は予告編とかチラシで観客はすでに知ってるじゃん?
なのに、映画の中で「ゲド」って名前を呼んだ人、誰かいたか?「ハイタカ戦記」だと駄目なのか?原作との絡みもあるんだろうけど、それにしても、ねえ。
何がもったいないって!たとえばハジカ売りは内藤剛志、布地を売ってるまじないおばさんは倍賞美津子、王妃は夏川結衣…、みんなほんのちょびーーーーっとしか喋ってないの。ン勿体無いったらありゃしないってのよー!!
「死を恐れることは、限りある、一度きりの生を恐れること」というメッセージは共感するところもあるけれど、「恐れる」ということがきちんと掘り下げられていないなあと思った。だから中途半端ーな感じが残るんだろう。
そもそも、なんで「世界の均衡が崩れてきたのか」が、ない。
それはクモがいろいろやってたからなのか?それとも人間たちの所為なのか?
もし前者なら、え、じゃあこの世ってのは、いかな魔法使いだとしても一人がいいようにしてしまえるほど、ヤワなんだ?
さらに後者なら、じゃあクモ一人を倒したからって、クモが消えました、万歳ーwてわけにもいかんでしょう?
それでも、テルーが一人で唄を歌うところは、アレンと一緒に涙を流していましたともさ!!