「自省録」というのは聖書に次ぐロングセラーと言われる(わら)ローマ皇帝マルクス・アウレリウスの著書でありますね。
「グラディエイター」は、もちろん映画です。序盤で、マルクス・アウレリウスが出てきますね。主人公のマクシムスは将軍の役でお互いに大変信頼しているような設定になってます。
映画では、アウレリウスが本当はマクシムスを次の皇帝にしようと考えていたことになっていて、察知したバカ息子のコンモドスがアウレリウスを殺しちゃって、マクシムスは謀殺しようとしてその家族も殺して(謀殺には失敗してマクシムスに逃げられた)、自分が皇帝になったわけですが、もちろんまったく史実とは違います。
史実のほうは、アウレリウスの生存中にコンモドスを共同帝にしてますからね。そもそもアウレリウスは即位した時も弟を共同帝にしてます。
それはともかく、マクシムスというのは架空の人物なんですが、モデルはいないの?と考えると、やっぱ「自省録」にあっさりそれらしい人が出てきます。
「自省録」の第1章というのは、「~からは・・・を(教えてもらった)」という話が並んでいるのですが、その15で「マクシムスからは、克己の精神と確固たる目的を持つこと。・・・・」とあります。この「15」はマクシムスから教えてもらったことが書かれているわけです。
また、17は「神々からは・・・」になっていますが、その途中で、「アポローニウス、ルスティクス、マクシムスを知ったこと。」という記述があります。
このあたりを読む限り非常に信頼していた人物であると考えられます。
んで、この人はどんな人と思って(注)を見ると、
【クラウディウス・マークシムス。ストア派哲学者。マルクスにより執政官に任ぜられ、次でパンノニアの副総督(レガートス)、アフリカの地方総督に歴任する。】
んな感じです。
「執政官」ですが、wikipediaを見ると、ローマ帝国の執政官がずっと(毎年任命された分)出ています。マルクス・アウレリウスの在位は161~180(年)でその間に任命された執政官の中で見ると同じ名前はないのだ。
それで、それらしい名前を探すと、
172年の「セクストゥス・クィンティリウス・マクシムス」か、
173年の「グナエウス・クラウディウス・セウェルス II」か、
同年の「 ティベリウス・クラウディウス・ポンペイアヌス II」 あたりでしょうか。
ストア派の哲学の信奉者ではあるが、哲学者ではないという話もあるようです。
まあ、アウレリウス自身、哲学者になりたかったのに、皇帝になっちゃったので同じ哲学者をわざわざ執政官や地方の総督にするかね、という疑問もありますが、やっぱりそういう人物を信頼できたから執政官にしたとも考えられるし、まあ、自分が哲学者になれなかったので、同じ哲学者にも意地悪してやったとも考えられます(そんなわけない)。
正確なところは私にはなんとも。。。
といっても、本当にこの人がマクシムスのモデルなのか、これも正確なところはわかりません。まあ、どっかにそんなことが書かれているとか、リドリー・スコットがインタビューでそんなこと言ってるということは十分に考えられますが。
ところで、このクラウディウス・マクシムスという名前の人、他にも出てきます。
「トラヤヌス記念柱」というのがあるですが、これはローマの版図を最大にしたトラヤヌスの活躍の中でも一番にあげられるダキア戦役の勝利を記念して作られたものだそうですが、この記念柱でダキア王デケバルス2世をとっ捕まえているその人がパンノニア人第二騎兵大隊所属の「ティベリウス・クラウディウス・マクシムス」だそうであります。
もちろん、時代がちがうので別人ではありますが、これもマクシムスのモデルの一つであったかもしれませんね。
というわけで最後に映像。
Battle between Romans and Germans
ゲルマン人との戦い。スピード感がすごいっす。
Battle between Romans and Germans
おらの名前はマクシクス・デシムス・メリディウス・・・・
My name is Maximus Decimus Meridius, commander of the Armies of the North, General of the Felix Legions, loyal servant to the true emperor, Marcus Aurelius. Father to a murdered son, husband to a murdered wife. And I will have my vengeance, in this life or the next.
おまけで、この映画の基になったとも言われる昔の映画。
The Fall of the Roman Empire
「ローマ帝国の滅亡」


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