【2018-2019年8月後半】
グラネロ「どういうことですか、オーナー?」
カルロス「さっきも言ったように、君にはCAカラオラに行ってもらう」
カルロスはCAカラオラのMFでルーマニア代表のレヴァンテ・コマン(26)選手を移籍金22億円に加えて、トレード要員として、先週に契約したばかりのガルシア・グラネロを差し出すことをエストデーラと約束していた。
グラネロと契約した直後にカルロスはスカウトをCAカラオラに行かせた。
エストデーラ「ウチのMFを22億円で買い取りたい?!」
スカウト「それだけではなく、トレード選手を1人付けると仰っております」
エストデーラ「それはパサーリャか、それともマルディーニかね」
スカウト「いえ、ガルシア・グラネロというユース上がりの選手です」
エストデーラ「何だと?! 先週契約したばかりの選手。しかも、パッとした能力があるわけでもない。このエストデーラを舐めるな」
エストデーラは激怒した。
スカウト「お怒りになるのは分かります。ですが、代表が仰るにはハンデキャップをお願いしたいとのことです」
エストデーラ「ハンデキャップ?」
スカウト「CAカラオラの、特にエストデーラさんは、さすがだと。このままでは数年もしないうちにCAカラオラのリーグ1強時代が訪れ、それが何年も続くであろう。それだけでなく、大会最高峰と言われるヨーロピアンリーグ並びにヨーロピアンスーパーカップ。それだけにとどまらず全ての大会を優勝し、それが5年、いや10年と続けば、CAカラオラのサポーターは喜んでも、そうでないサッカーファンの心が離れ、サッカー人気が急落してゆくゆくは各国リーグなど大会は次々と消滅。世界の経済にも大打撃を与えると代表は見込まれて嘆いております。確かに使えない選手をトレード要員に出すなど常識では考えられませんが、CAカラオラが強すぎるが故に、一般レベルに過ぎない選手を引き取って頂くよう、お願いするしかないのです。ご理解ください」
勿論、これはカルロスの指示によるもので、本心ではない。
エストデーラ「なるほど、そういうことか。確かに君の言うとおりだ。いいだろう、そのグラネロとかいう若造を引き取ってやる。強すぎると言うのは罪だからな。がはははは、ビッグバーン!」
こういう経緯があり、カルロスはレヴァンテ・コマン選手と4年契約を結び、年棒1億7200万円で契約した。
グラネロは愕然としていた。こんなことがあるのか、と。更にカルロスの話によると。
カルロス「君がこのままクラブにいてもメリットは無い。スタメンになることは無いからだ」
グラネロ「それなら、なぜトップに上げたんですか? こんなことならユースのままで良かった。そうすれば、他のクラブから声が掛かっていたかもしれないのに・・・」
カルロス「その確率は低い。過去のユース選手も見ての通りだ。大半の者は5部や6部のクラブで苦労して生活している。1部で活躍することは稀で、これまで3人くらいしかいなかったように記憶している。2部もそのくらいだ。むしろ、これをチャンスだと捕えて欲しい。1部で活躍する良い機会だと」
グラネロは何も言えなかった。そして、カラオラCFのクラブハウスを後にしたのである。
グラネロ(必ず見返してやる)
スペインリーグディビジョン1・第2節
前年2部3位のヌマンシアに苦戦していた。54分にまさかの先制点を許し、点が取れない苦しい展開。
カラオラCF 1-1 ヌマンシア
(得点) 54分 ケリー・ヴァーニー(ヌマンシア)
90分 マルク・アントワーヌ・フォルチューヌ(カラオラCF)
(警告) 41分 マヌエル・カブレラ(ヌマンシア)
アディショナルタイムにフォルチューヌのヘッドで同点に追い付くのが精一杯だった。