博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

熱気球イカロス5号

2010年07月09日 | 思い出
 『文明の生態史観』、『知的生産の方法』などのベストセラーを生んだ人類学者の梅棹忠夫先生が7月3日に逝去されました。90歳だったそうです。私は1993年に梅棹先生に一度だけお会いしたことがあります。実は私にとって梅棹先生は『文明の生態史観』の著者としてよりも、梅棹エリオさんのお父さんという印象が強いのです。私が高校2年生の時、『熱気球イカロス5号』(中公文庫)という本を読みました。それは一人の高校生が面白くない学校を中退して友人達と日本で初の有人熱気球を作り上げて飛行に成功するまでの物語でした。1969年(昭和44年)の実話です。進路や勉学に迷っていた当時の私はその物語にいたく感動しました。その主人公が梅棹エリオさんで、梅棹忠夫先生のご長男です。エリオさんは最初に入学した京都の高校を中退し、その後入学した高校も落第して、勉強を放り出して九州の屋久島を旅行中に熱気球の計画を思いつくという破天荒な生き方に引き付けられました。10代後半に勇気を頂いた書物です。ネットを検索すると、同じように同書を読んで感動したという記事が結構多くヒットします。
 ずっと気になっていたのはエリオさんのその後です。熱気球はその後、スポーツとしても日本で定着しました。しかし70年代以降エリオさんが何をしているか全く情報が入らなくなりました。同書では確か「ずっと無職でやっていく」という元祖フリーター宣言のようなことが書かれていたので尚更でした(手元に同書が無いのでうろ覚えですが)。私が大学に入学した後、ずっと指導を受けた恩師も私と同じことを考えていて「彼はどうしているんだろうね」という話を時々していたことを覚えています。そんなこともあって1993年に梅棹忠夫先生にお会いしたときに「エリオさんはどうされていますか?」という質問を我慢するのが大変でした(ネットで検索すると今は団体職員をされているそうです)。

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