ナス(茄子、なす、奈須比)は、ナス科ナス属の植物、また、その果実。
*原産地はインドといわれ、温帯では一年生植物で、日本には奈良時代に、奈須比として中国から伝わった。
*トマト、ジャガイモもナス科ナス属。
*野菜の中では、特に高温・高湿度を好む夏野菜の代表。栽培には多くの肥料が必要。
*地方ごとに固有の品種があり、長ナス、丸ナス、小ナスなどと呼ばれる。南北に長い日本列島では、一般に
南方ほど長実品種、北方ほど小実品種になる傾向がある。これは、寒い地方では栽培期間が短いことに加
え、冬季の保存食として漬物にするには小さい実の方が適していたためと考えられる。
★種類
(1)丸ナス・・・京都の加茂ナスが代表。大きいものでは直径10cm程になり、きめ細かい肉質で田楽などの
料理に向く。京都、大阪のほかに、千葉、新潟、高知などで生産されている。
(2)小ナス・・・長さ3cmほどの小さなナスで、辛子漬けで有名。山形の出羽ナス、民田ナスが有名だが、埼
玉でも多く生産されている。「竜馬」「はやぶさ」などの品種がある。茶せんに切って揚げる料理「茶せんナス」
に向く。
(3)水ナス・・・絞ると滴るほど非常に水分が多い。浅漬けに向き、大阪の泉州産が有名。「みず茄」「紫水」な
どの品種がある。
(4)長卵ナス・・・「千成ナス」とも言われる。関東圏で最も一般的で、長さ15cm程度、クセの無い中庸な味。
「千両」「早生大名」などの品種があり、全国で作られるが、岡山、群馬、茨城県が主力産地になっている。
(5)長ナス・・・九州と東北地方の太平洋岸で多く作れている。長さは17cm~30cm、実が柔らかく、焼き茄
子が美味しい。「筑陽」「黒陽」などの品種がある。
(6)長大ナス・・・九州の特産で、45cmにも達する。「床屋長大」「松山長」などの品種がある。煮ナス、焼きナ
スに向く。
(7)米ナス・大型大形の楕円形のナスで、ガクが緑色。もともとは中国の品種であったが、アメリカで改良され
た。肉質がしっかりしているので、加熱してもくずれにくく、油との相性も良い。「くろわし」「早生米国」などの品
種がある。
★なすの語源・由来・・・もともとは「なすび」と呼び、室町時代の女官に「おなす」と呼ばれるようになり、いつし
か「なす」という呼び名が一般化した。では「なすび」の語源は? これは夏にとれる野菜の実の意の「なつの
み」から「なすび」になったという説が有力。なお西日本では現在も「なすび」と呼ぶ。
★「親の意見と茄子の花は千に一つの無駄が無い」
一般にハチなどの昆虫が受粉を助けるが、もしハチが来なかったら、結実しないはずである。しかし、この場
合でもナスは結実する。何故か?ナスは自家受粉する。オシベは花糸の先端に付いている葯(花粉袋)を少し
ずつメシベに近づけていく。そして終には自分のメシベの柱頭に花粉を渡す。自家受粉は、遺伝学的には近親
弱勢などの危険を伴う可能性がある。また、ナスの花が下を向いてるのは、自家受粉しやすくするためだと
考えられる。遺伝学的危険まで冒してまでも、子孫を残せないよりましという戦略をナスの先祖達は選択した。
★ナスには、葉、茎、ガクに棘がある。ナスの目利きとして、ヘタ(蔕)についているトゲがチクチクするほど新
鮮といえる。では何故、トゲがあるのか?外敵から身を守るための名残りと考えられている。
(注)がく(萼)は、植物に対して使う。へた(蔕)は果実に使う。
折戸茄子(おりどなす)
●我が故郷、清水区三保・折戸地区で栽培される「折戸なす」は、徳川家康が愛したナスといわれ、現在は
久山東照宮にも奉納される。
☆由来・・・初夢に見ると縁起がいいとされる諺に、「一富士、二鷹、三茄子」がある。このことわざは、家康が
好んだ三つとされているが、「折戸なす」はこれにつながるナスといわれている。
三保・折戸地区は、温暖で日照時間も長く、砂地で作物の生育が早く、促成栽培発祥の地とされている。
☆栽培・・・折戸なすは、農業情勢の変化により明治時代に栽培が途絶えたが、2005年に国の研究機関か
ら種子を譲り受け、生産者と関係者が一丸となり復活に取り組む。
原種だけに形が不揃いで栽培が難しい。「折戸なす」は形が丸く、ヘタに鋭いトゲがあり、味も濃厚で、現代の
ナスにはない特徴がある。現在では、出荷は地元市場をを中心に5月中旬~12月頃まで行われている。大
手スーパーで購入できる。去年の生産量は、生産者6人が約15アールで約7トン、今年は8トンの予定。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます