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ミカタをふやす本

2014年02月22日 | 読書
 「2014読了」25冊目 ★★★

 『学校がよくわかる本Ⅲ 授業篇』(大西貞憲  PLANEXUS)
 
 
「学校を応援する人のための」と前置きがあるシリーズなので、保護者対象かなと思い積極的に手は伸びなかった本だ。
 しかし、研究会受付に並べられていたので、ちょっと手にしてみたら、案外面白いかもという気にさせられた。

 「授業」と「学級経営・生徒指導」の二章立てで、項目は20と10の計30、それぞれの項目が4ページで構成されている。

 1ページが趣旨で、2,3ページが見開きで事例①と②、そして4ページ目が「大西流の読み解き方」で解説とまとめが記されている。

 大西先生の授業を見る目の確かさ、分析の鋭さは、前著『大西流・授業の見方』で感服したが、今回の著はその具体的場面展開(の一部)と言っていいだろう。


 ここに書かれてある事例(よりベターな形で示されているのは②)の考え方はいろいろな意味づけができる。
 しかし、中心となるのは、学級集団「全員」の「学習意欲」を「持続」させていく手立てと言っていいのではないか。

 そのために、どこに目をつけ、どんなふうに導くかというヒントが満載である。
 キャリアのあるなしに関わらず参考になるだろう。

 教員であるならば、事例①と②の違いについて大西先生の「読み解き方」を読みながら、実際場面への適用を考えたい。
 自分なりにいくつかの原則を確認できたり、見いだせたりすれば、それは確実に教室に活きる力になるのではないか。

 例えば私なら、まず「教師の言葉は個に向けられながら、常に全体に発せられる」という点を一番強く浮かび上がらせる。
 そして、「挙手や発言を促す時の教師の目」を想像してみる。
 個々のうなずきや視線を感じ取れる目があってこそ、この②の流れが具体性を帯びると思う。

 日常的に授業をしている現在ではないが、こうした具体的な提案のある場が示されると、優れた教師の模擬授業を見たときと同様に、授業ゴゴロがくすぐられる。


 あとがきで、大西先生が怖いこと?を書いている。

 この本を読まれた方は、授業を見る目が厳しくなるかもしれません。教師の足りないところが今まで以上に見えるかもしれません。

 そうだろうなあ。この本を手にするほど教育に関心が高い人たちなら、趣旨を読み取ることに苦労はしまい。
 そして、そうした方々を味方につけるほど心強いことはない。

 そのためには、そう、まずこの本を手にとってみることですね。

 授業の見方をふやす本であり,教師の味方をふやすための本でもある。

2 コメント

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書評ありがとうございます (大西貞憲)
2014-02-24 21:51:29
拙著へのうれしい評価、ありがとうございました。
このように取り上げていただくと、元気が出ます。

ご紹介いただいた本は、保護者だけでなく若手の教師にも読んでもらいたいと思って書いたものです。
とはいえ、先生のご指摘のように、個々のうなずきや視線を感じ取れる目があってこそ、使える内容なのですが.。
「子どもを見る力」は、若手にアドバイスしたからといってなかなか身につくものではありません。
若手の指導で一番心を砕くところです。
授業中の子どもの様子を一緒に見て、「今子どもが何をしているか」「その意味するものは何か」を考えてもらうことで、身につけてもらおうとしています。
効果のほどは、個人差が大きいという当たり前の結論なのですが。

いつか先生のお話をじっくり聞かせていただく機会を持てることを願っています。
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Unknown (spring)
2014-02-25 04:37:52
ご丁寧なコメント,ありがとうございました。
この本をもとに,職員とじっくり語りあっていく研修ができれば,面白いだろうなと感じました。
今までにあまりないタイプの本のように思えましたし,自分なりに読み解くのも楽しかったです。
まだまだいろいろな切り口があり,またページを開く機会があると思っています。
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