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経営感覚のある授業力

2007年06月04日 | 読書
 装丁がユニークである。いわゆる帯が表紙全体の三分の二以上の幅があり、全面写真になっていてキャッチコピーが書かれている。
『校長先生になろう!』(日経BP社 藤原和博著)    

 その帯にこんな言葉が記されている。

 現役の校長先生は、けっして読まないでください 
 ショックを受けますから
 
 惹句としては秀逸であるが、藤原氏の著書に触れている者とすれば、それほどとも言えない。

 この本のハイライトは、第三章(「一週間で校長先生になれる」という組み立て方なので、三日目にあたる)教育現場で使われる108のキーワードを取り上げ、そのノウハウを書いている「校長先生養成講座」である。
 「はじめに備えるもの」から始まり、「教育目標」「入学式、卒業式」から「プール」「クレーム処理」など、また「教育長」などという項目まである。現場の実務に関わる細かなことに関しての情報と藤原氏のそれに向かう姿勢が、マニュアル的に書かれてある。
 章の最後に「使用上の注意」として掲げているように、「自治体によって著しく異なっているテーマは扱ってない」としているが、それでもずいぶんと自治体による違いはあるものだなあと再認識した。

 藤原氏の見方の典型はいくつかあるのだが、注目したのは「66 授業の良し悪し」である。
 書かれてあることは、授業の評価のことと凡その観点なのだが、1ページ特設されて「授業力」指標(100点満点)が載っている。5つの観点と12の評価項目が示されている。

 観点1 生徒にとっての授業の魅力(20点)
 観点2 学校として、教科としての対策の有効(30点)
 観点3 和田中流の独自性(30点)
 観点4 成果への結びつき(20点)

 いかにも「経営感覚」だなあという印象を持った。
 現場教師が「授業力」として項目立てるとすれば、観点1を中心にしながら2と4が加味されることだろう。3の観点まではいけない。ちなみに3では次の三つが細かい評価項目となる。
 「よのなかとのリンク」
 「保護者 ・地域へのプレゼン」
 「私立を超えるポイント」

 このハードルの高さが持ち味であり、藤原氏のエンジンの中核部であるような気もした。
 いずれ、「公立の中学校」に焦点をあてた氏の動きも、来年3月で一区切りになる。その後、どんな展開を見せるか楽しみである。
 おそらく選択肢にはないだろうが、彼が小学校校長だったらどうするかと想像してみることも、ある意味「よのなか科」ではありそうだ。


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