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思考を促進させた入門書

2014年10月23日 | 読書
 「2014読了」112冊目 ★★★
 
 『国語科授業づくり入門』(堀裕嗣  明治図書)


 堀さんの新刊、まあ今さら「入門」書でもないかという気持ちも湧いたが、私にとっては読む心地よさを感じられる著者であるから、即注文だった。

 冒頭の「第1章 国語科授業づくりの条件」にまず著者らしさが出る。
 「1 良い国語の授業って?」で問いかけ、私のようにスルーして次をめくった読者に対して「2 借り物を捨てよ!」と強く揺さぶる。
 半分は素直な読者の私は、「1」に返って、書きこみに真面目に取り組み、自分なりの「3条件」を書きました(笑)。

 この書きこみがその後の読みの主体性とつながっていくことは明白である。
 一つの仕掛けである。「1」だけならよくあることかもしれない。しかし「2」で追い込み、揺さぶりをかけることに、著者の授業展開にも似た妙味を感じる。


 ブログで読んだ内容、以前の資料にあったこともあり、比較的スムーズに読めた。そこは入門書らしい構成と言えるだろう。そこで校内研修用にと思い、久々に「図解」を試みることにした。

 手がけて気づくことがいくつか出てきた。
 図解は、本当に理解していないと難儀する。自分の理解力の足りなさは棚上げしながら、この本を章ごとの小項目でまとめようとしても無理だと気づく。

 つまり、本文に書かれている文言で言えば「言語情報のレベル分け」がきっちりと自分で出来ないと図解できないわけだ。
 図解の基本として使う「移動」「交換・売買」「協力」「統合」などを、教育実践として読みかえて作業を行うが、ちょっと考えてしまう部分もあった。

 図解の肝心なことの一つに「グループ化」があり、自分なりに本文中の文言を括って囲むことで、すっきり感が出た気がする。
 ちなみに、私がグループ化、重点化を図り、名づけたのは「授業の実際」「指導のポイント」「国語科の学力保障」「小集団交流のポイント」「スピーチ活動の例」であった。
 この作業を通すことは自分の言語能力が問われるし、また授業づくりの骨格も見えてくる。

 第4章の「思考促進」は「言語情報のレベル分け」から始まる。
 図解を手掛けると、まさしくそうだなと感じる。本文中の説明文読み取りの言語技術⑳にある「図解化」の価値を、実感できる読書となった。


 最終章の「力量形成」は、実に的確で唸ってしまう。
 こんなにタイトにポイントを突くとは、「国語科授業づくり人生の中間締め」…お見事というしかない。


 最後に一つの疑問。

 表紙にも「まえがき」にも「110の言語技術」とある。
 これは小項目の数ではなく、おそらく「第3章」の「8 話すこと」から「13 音読朗読」までに挙げられた言語技術を指すのだと思うが、数えてみても112である。
 何ゆえか。隠された秘密があるのか、自分の読み落としなのか。それとも購読層を意識して注目させる言語技術の駆使か。

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