すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

ドッグでひたすら活字

2017年06月01日 | 読書
 2年ぶりの宿泊ドッグ。この期間ほど読書に没頭できる時間はない。テレビやネットも最低限にして、待合室の椅子や個室のベッドで活字を追う。硬軟混ぜて持ち込んだが、やはりこういう時は小説がいいようだ。内視鏡を入れられても「あの展開は…」と気を紛らわすのに役立つ。ただし、医療ミステリは×だな。



2017読了59
 『戦後リベラルの終焉』(池田信夫   PHP新書)

 かなり個性的な論客である。プロローグが「私が左翼だったころ」であるところに現在の立ち位置が想像できる。政府、政党だけでなく新聞、メディア、進歩的文化人などについて批判の矢が止まらない。自分の目を通した戦後史という趣きもある。しかしそれはまた、文中にあるように「角度をつけ」た論評である。


2017読了60
 『リバース』(湊かなえ   講談社文庫)

 今年初めての湊作品。現在の新聞連載は読んでいない。この作品は珍しいことに、男性主人公でその視線で通して描かれる。正直少し物足りない部分を感じながら読み進めたが、最後の最後にさすがの展開、結末が待っていた。やはり巧みだなと思う。「リバース」(反転)と名づけられた意味を噛み締めながら読める。


2017読了61
 『爺の暇つぶし』(吉川潮×島敏光  ワニブックスplus新書)

 共に60代後半の著名人。演芸やメディアとのつきあいも多彩な方々なので、ある意味予想通りのアクティブな時間の使い方が披露されている。都会に住んでいればなあと思ってしまう記述は仕方ないところか。「暇」の捉え方はなかなか難しいが、「モテアマスよりモテアソブもの」という考えは言い得て妙と感心した。


2017読了62
 『満願』(米澤穂信  新潮社)

 短編6篇のうち4篇まで進んだところでドッグ終了。自宅に帰って残りを読了した。初めて読む作家は、あの星野源イチオシだったので購読してみた。さすがの「山本周五郎賞受賞作」であった。人間の「悪」「醜」「弱」の描き方が秀逸ながら、仕上げのタッチは意外とサラリとしている。長編も読んでみたくなった。

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