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懐かしい冬のランドク

2021年12月26日 | 読書
 いよいよ冬が来た、と今朝初めて思った。
 「寒い」「雪が積もっている」「雪が吹きつけてくる」この三拍子が揃わないと「冬」とは呼べない。もう何十年もここに住めば、それ自体が懐かしいのだ。




『俺たちはどう生きるか』(大竹まこと 集英社新書)

 大竹まことのイメージは、今はたまに見るTVタックルで団塊世代代表的な一言居士のようなものか。しかし昔シティボーイズでやっていた頃は、もっと「怒り」を表面に出していて面白かったという記憶がある。この本は「俺たち」という同世代に向けたものではなく、若者を対象とした思い出話という様相で、正直平凡だった。ただ冒頭に「風間杜夫」が取り上げられていて興味を持った。若いときに同じ劇団にいてつるんでいたとのこと。風間の舞台を観に行き、交友が再開したとある。私は、風間の一人芝居を二度ほど観にいったことがあり、役者の凄さを感じたことを覚えている。それに比べると大竹の場合はやはりTV人、その中途半端さが見え隠れする。芯のない生き方を隠さず書いているので、齢をとりだんだん素直になるのも悪くないと思えてくるのが救いか。


『正直に語る100の講義』(森博嗣  大和書房)

 この作家の書く小説は読んでいないが、こうしたエッセイ類はもう何冊か手にしている。この本は見開き2ページで1項目ずつ、「『正直』から生まれる成長論」「他人に委ねない創作思考論」などと章分けされ、提示される。ふむふむ、確かにその通りだ、と思いつつ風呂場読書をして100項目の半分まで読み、「いやあ、しかしこの人とは友達にはなりたくないなあ」と思った次の日、読みかけのページを開くと58項目に、こんな見出しが…。「『友達にはなりたくない』という表現の危うさ」…おっと!冒頭には次の一文がある。「単に好きか嫌いか、ということだとは思う」。そうなのだ、それをわざわざ自分でそんなふうに「変換」している。このようにズバリとえぐられる鋭さに恐れを抱く。とにかく、この一冊は「変換」について大きく刺激されたので、明日また改めて書く。



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