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尺度比較は何のためか

2009年06月23日 | 読書
 『日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか』(光文社新書 古荘純一著)を読んだ。

 こうした調査結果についてはある程度の予測がつく。類したデータなどもいくつか目にしたことがあるし、幾度となくマスコミでも取り上げられたと思う。
 しかし、著者の用いたQOL(quality of life)尺度による調査は、多面的に生活や学習に対する意識全般をみるもので、非常に説得力があった。
 こんな表現のところで、どうしても私は考え込んでしまう。

 自尊感情を下げる教育システムと、下げる教育システム

 わが国との比較対象として提示されたのはオランダ。
 この国がとった教育施策にも触れられていて興味深い。そしてそれと似たようにことがはたしてこの国で可能か、と考えると望みは薄い気がする。
 しかしまた、誰しもがこの迷走にも似た教育のあり方をよしとはしていないだろう。
 何が問題で、どう進むべきか、この本の中にいくつかのヒントがあるようにも読み取った。

 その内容はともかく、一つなるほどと思ったことがある。こうした調査ものであるが、子ども対象だとあまり考えもせず簡単に実施している自分たちがいることに気づく。
 著者の投げかけたこの言葉は、案外重い。

 大人の知性や社会性を測って各国で競わせる尺度などはありません。(中略)ところが、子どもたちであれば、同じ尺度で比較することが容認される。


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