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人間関係を練習する、後押しする

2007年02月20日 | 雑記帳
 秋田大学教育文化学部附属小学校の公開研究協議会の二日目に参加した。

 二日目のテーマは、「人間関係力」というものである。

 研究推進の中心となっているだろう京野先生は、人間関係力をこのようにとらえていると話していた。

「人間関係を自覚的に改善できる力」
 
 「自覚的」ということが、学習としてのポイントになるのであろう。
 子どもは小学校に入ってくる段階で、人とのつき合い方においてすでに大きな個人差を抱えている。
 性格や個性という言葉で括られる場合もある。そういう実態を受け止めて、学校で取り立てて指導していく意味は、子どもが自ら考え、動くことを抜きには考えられない。

 総合的な学習の時間の約三分の一を充てて、年間の計画を立てているとのことであった。
 ソーシャルスキル的な活動から応用小単元、そして発展的な総合単元という流れである。
 個人的には納得のいく説明であった。
 
 スキルという言葉が多く使われたからであろうか、分科会でも全体会でもやや批判めいた意見・質問があった。

「人間関係に、スキルはあるのか」
「スキルだけ取り出して行うことに、意味があるのか」
「教科学習の中で実現すべきではないか」 等々

 正論のようにも聞こえるが、固執すればかえって子どもが見えにくくなる。
何より参加者の多くは、子供たちの「人間関係」に関心を持ち、おそらく悩みを抱いてこの場に来ているのだろう。教室の人間関係が学習に大きな影響を及ぼしていることを肌で感じているのだ。

 パネリストの先生が、いみじくも言った。

「いい教材で、いい教授過程であっても、いい授業になるとは限らなくなってきた」
 
 ここには、子供の変質があり、そのことに対して私たちはもっと意識的になり、複眼的に教育課程を構築していく必要がある。
 その一つとして、総合的な学習の時間で「人間関係」を取り上げた付属小の提案性は大きいと思う。

 「言いにくいことも言える(相手の気持ちを察しながら)」ことが人間関係力の備わった一つの姿だとすれば、そのためには、練習も必要だし、誰かの後押しも必要だ。場面設定や言葉、表情選びなどたくさんのことを見取っていけるのは、やはり担任しかいないと改めて思った。


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