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初雪~箱橇にしがみついた日

2018年11月23日 | 雑記帳
 ようやく、という思いがするのは待っていたからか。いや、楽しみに感じていたのは遠い遠い昔のこと。下手なスキーを履かなくなってからもずいぶん日が経つし、風景を撮るぐらいしか能動的な働きかけをしない今、白い季節を待つ理由とは何か。時の流れを目に留めたいだけか。


 大きく見れば、四季のはっきりする国に生まれて良かったとは思う。ただ、雪国に住む者にとってこの季節の厳しさだけは、辛い感覚でしかない。しかしよく言われるように、それがあるからこそ春が待ち遠しく、喜びが湧いてくる。平坦な暦日は楽かもしれないが、つまらない。



 さて、昨日研修で訪問した施設に箱橇(はこぞり)を見つけた。本県なら博物館や資料館等、展示している箇所も多いはずだ。箱橇に馴染みを感じる世代はおそらく私たちが最後と思う。保育園への登所を渋る幼い私を、母は箱橇に入れて送った。しがみついて離れない日もあった。


 防寒用のマントを被せられ、そのまま先生に抱きかかえられ連れていかれた時も多かった。粗末な箱橇の板の色や厚みなどともに今も脳裏に宿っている。そうした周りの大人たちの心は、現在の自分が肉親の幼い命に抱くものと似通っているか。情愛を抑えながら強引に引き離す。


 泣きべそをかきながら保育所生活を送った後は、小・中学校が大好きというパターンで過ごし、高校は…となるとまた波乱で…。何故かこの時期になると、通学時が思い出されるのはやはり顔にあたる雪の刺激から連想するのか。冷たくなった素手に息をかける暖かさも覚えている。

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