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勝負する者の厳しさ

2016年11月03日 | 雑記帳
 秋田のバスケファンは今少し落胆したり、戸惑ったりしているかもしれないなあ。一つは開幕したBリーグにおけるハピネッツの低迷。昨年までと相手は違うとはいえ、期待を持って観戦している人たちは悔しがっているだろう。もう一つは、県民にとって特別であったはずの「能代工」が特別と言えなくなったこと。



 過日Bリーグ戦であの田臥選手が16年ぶりに能代を訪れたことが報道された。そう言えばと思い出したことは、彼が高校3年のときだ。能代工が高校3冠を達成した年、まさしく絶頂期と言っていい時期だった。勤務している学校の高学年の子たちを連れて、その能代工バスケ部の「練習」を見に行ったことがあった。


 それは、40代以上の本県教員にとっては懐かしの「ドリームアップ事業」の一環だった。「秋田の日本一を見よう」というテーマを掲げて、県内にあるモノ・コト・ヒトを直接巡る企画を立てた。課外活動としてバスケに取り組む子たちだったので、あの能代工の練習を見ることは一番の楽しみだったに違いない。


 私もあのスター田臥を見られるのかと、いそいそと引率として同行した。ところが肝心の彼と監督は、日本選抜メンバーとして遠征に発った少し残念な日となってしまった。しかしその練習は今でもしっかりと思い出せるほど、無駄なく引き締まった時間だった。子供たちとの交流も準備してくれて、頭が下がった。


 他校が力をつけ、競り合うことは望ましい。しかし心の隅に絶対王者であってほしいという気持ちも正直残る。もちろん、そんな部外者の勝手な思いとは関係なく、一人一人は今日もまた真摯な思いでボールを追い続けている。その時間の総数がどれほどか想像すると、今さらながら勝負する者の厳しさが胸に迫る。