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希望を忘れない子らに―上月倫子バレエスクール公演

2007-07-22 23:44:50 | 舞踊
 上月倫子(こうづき・みちこ)バレエスクールの公演が神戸文化ホールでおこなわれました。
 今年でもう25回目を迎えた発表会です。
 いつもエレガントな舞台をつくるスクールです。
 今回はジュニア向けの創作「チルチルミチルの青い鳥」とシニアの「バルセロナの広場にて~ドン・キホーテより」の二本がプログラムの中心に置かれました。
 両方とも気もちのいい作品になりました。

 「チルチルミチルの青い鳥」は、春田愛さん、真来佐和子さん、山崎由加里さんといった助教師の先生がたが力を合わせて振り付けたそうです。
 こどもたちの中にいつも希望を忘れない心が根付いてくれるように、とそんな願いが作品の隅々にまでしみわたっているように見えました。
 いちばんちっちゃなダンサーは、あれは、さて、何歳くらいの子だったのでしょう。
 ストーリーのすじは、たぶんまだじゅうぶんに理解できていないでしょうが、ただただ踊るのがうれしくてならないというようすで舞台に飛び出してきたのです。
 なんともいえない喜びのざわめきが客席にひろがって、みんなの心がそのときどんなに動いたか、それがありありとわかりました。
 むしろおとなたちの心の中で大きな希望がゆらり動いたようでした。
 
 「バルセロナの広場にて」は原曲の「ドン・キホーテ」の中からダンスの場面を抽出(ちゅうしゅつ)して、それらをつないでいく形に再構成して上演しました。
 主役のキトリを春田愛さんが、そして街の踊り子を真来佐和子さんが務めるなど、先生格のバレリーナたちがしっかりと軸を固めて、稽古(けいこ)に励んだダンサーたちがエレガントなステージをつくりました。

 とくに印象深く感じたのは、おそらくスクールの誠実で懸命な舞台づくりがみんなに響いたからでしょう、ゲストの男性ダンサーたちの輝きです。
 キトリの恋人バジルは、人気者の恵谷(えや)彰さん(赤松優バレエ団)が踊りましたが、得意の高いジャンプで客席を沸かせました。
 エスパーダの川村康二さん(貞松・浜田バレエ団)は、持ち前の誠実なダンスでステージを引き締めました。
 上月倫子バレエスクールの宮村岳さんに、大平哲滋さん(フリー)、藤田崇光さん(赤松優バレエ団)、金子俊介さん(貞松・浜田バレエ団)を加えた街の若者“四人衆”は、なかなか粋(いき)な組み合わせで、ちょっと無頼(ぶらい)でしかし端正な男たちを実に見事に表現しました。
 なかでも金子俊介さんは高い気品があるうえにすばらしい切れ味で、恵まれたスタイルとあいまってこれからの活躍をたっぷりと予感させました。
 上月さんのゆるぎない審美眼が若者を引き立つ場に誘い出したといえるかもしれません。  


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