ずいぶん前に買ったまま積読になっていた武田鏡村著の『図解 安岡正篤の人間学』(PHP研究所)。
図解シリーズは興味のある内容ならよく買うので、そのまま積読になってしまった。
安岡正篤(やすおかまさひろ)は戦前からの碩学、泰斗である。知の黒幕ともいえる方だ。
終戦の詔勅の作成に深く関わったり、「平成」の元号を考案したりしたとされる。元号の作成過程は極秘なので、安岡はこの件については何も語らず鬼籍に入った。
多くの政治家が教えを請うたと言うが、自身は表舞台に出ることはついになかった。
安岡正篤に関する本はこれが3冊目であったはず。
どのページも心に響くものだが、「六中観で自分の生活を反省する」という項には、「心を鍛える六中観を腹にすえろ! 対立するものを超越する心の技法として」として、以下の六つの言葉を掲げている。聞いたことのある言葉もあるが、それがどのように対立しているかを図解してあった。
①と⑥、②と⑤、③と⑤が対立項になるそうだ。
① 忙中有閑
(ぼうちゅうにかんあり)
② 苦中有楽 ③ 死中有活
(苦しみの中に楽あり) (死中に活路あり)
④ 壺中有天 ⑤ 意中有人
(壺の中に天あり) (意中の人あり)
⑥ 腹中有書
(腹の中に書あり)
どのページもなるほどと思うことばかりである。しっかり読みとおさねば。