美島奏城  豊饒の海へ

豊饒の海をめざす、教育と文芸と風流に関する備忘録

『安岡正篤の人間学』

2009年01月06日 | 風流

  ずいぶん前に買ったまま積読になっていた武田鏡村著の『図解 安岡正篤の人間学』(PHP研究所)。

 図解シリーズは興味のある内容ならよく買うので、そのまま積読になってしまった。

 安岡正篤(やすおかまさひろ)は戦前からの碩学、泰斗である。知の黒幕ともいえる方だ。

  終戦の詔勅の作成に深く関わったり、「平成」の元号を考案したりしたとされる。元号の作成過程は極秘なので、安岡はこの件については何も語らず鬼籍に入った。

  多くの政治家が教えを請うたと言うが、自身は表舞台に出ることはついになかった。 

  安岡正篤に関する本はこれが3冊目であったはず。

  どのページも心に響くものだが、「六中観で自分の生活を反省する」という項には、「心を鍛える六中観を腹にすえろ! 対立するものを超越する心の技法として」として、以下の六つの言葉を掲げている。聞いたことのある言葉もあるが、それがどのように対立しているかを図解してあった。

 ①と⑥、②と⑤、③と⑤が対立項になるそうだ。      

           ① 忙中有閑
                (ぼうちゅうにかんあり)

 
 ② 苦中有楽
             ③ 死中有活
  
(苦しみの中に楽あり)                (死中に活路あり)

 

 ④ 壺中有天                 ⑤ 意中有人
  
(壺の中に天あり)                   (意中の人あり)

 

                ⑥ 腹中有書
           
 (腹の中に書あり)

 

  どのページもなるほどと思うことばかりである。しっかり読みとおさねば。