美島奏城  豊饒の海へ

豊饒の海をめざす、教育と文芸と風流に関する備忘録

日乘  檸檬忌

2007年03月24日 | 小説家

 

平成19年3月24日(土)一時強風&雨

 

  昭和7年の今日は梶井基次郎の命日で,彼の代表作の『檸檬』にちなんで檸檬忌と呼ばれる。行年31。

  己の非日常なる心象を,「えたいの知れない不吉な塊」と呼ぶ青年(まず梶井の分身と考えてよい)は,その心象を氷解すべく,本屋(丸善京都支店:知の権威の具象として)の画集の上に爆弾としての檸檬を置くといういたずらをする。
  

  端から見ればいい齢をした青年がいたずらをした,としか見えない行動を高尚な青春小説にまでに賞揚したわけだ。

  掌編なので高校の教科書にのったり夏休の課題図書になったりと今でも人気の作品である。
  また,檸檬のもつシンボル性に引かれる若者も多いに違いない。

 
昭和初期の丸善京都支店