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叶わぬ乙女の恋心が眠る水源地 ~小国町 鏡ヶ池~

2011-10-25 21:59:59 | 水源地巡り

前回の記事で、ご紹介した小国町の黒豚屋さんからほど近い所に鏡ヶ池という小さな泉があります。

ケヤキの大木の根元から滾々と綺麗な水が湧き出すこの泉には平安時代の皇族のお姫様と高貴な貴族との悲恋にまつわる言い伝えが残されています。

 

その言い伝えとは。。。

 

時は平安時代、醍醐天皇の御世、少納言清原正高(清少納言の兄とも言われています)と、醍醐天皇の孫にあたる小松女院が恋に落ちました。

二人の熱愛ぶりはすぐに宮中の噂となり、怒った醍醐天皇は正高を豊後の国(大分県)へ、小松女院を因幡国(島根県)に配流してしまいました。

ところが、正高の事を慕う小松女院は、帝の命に背いて、流された因幡の国から侍女、従者を引き連れて豊後の国までやって来ます。

ところが、正高の消息を追って豊後の国の方々を探し回りますが正高は見つかりません。そして、流浪の末、肥後の国の小国郷のこの地にたどり着きました。ケヤキの大木から美しい水が湧き出る泉に目を留めた小松女院は、当時、女の命とされていた自らの鏡をこの泉に投げ入れ、正高との再会を神に祈りました。その健気な姿に心打たれた11人の侍女たちも小松女院にならって自らの鏡を泉に投じて二人の再開を祈ったのです。

これ以降、12枚の鏡が沈められたこの泉の事を村人たちは“鏡ヶ池”と呼ぶようになったそうです。

 

ところで、小松女院の切ない願いは叶ったのかというと。。。

その結果は余りにも残酷なものでした。

まず、この地を発った小松女院一行が小国郷の下城に辿り着くと、長旅の疲れから小松女院の乳母がココで力尽きて亡くなってしまいます。

以前、当ブログでご紹介した国の天然記念物“下城の大銀杏”は、その墓標に村人が植えたものなのだそうです。

さらに一行が深い山を踏み分け、やっとの思いで豊後の国、玖珠の小田村(現在、小田温泉がある所)に辿り付くと、正高の消息を知る一人の木こりと出会うことが出来ました。

しかし、その木こりの話で、正高は既に現地の豪族の娘と結婚しており、子どもまでいることがわかりました。

嘆き悲しんだ小松女院は、今更因幡の国に戻ることも出来ず、絶望の末、近くの三日月滝に身を投じてしまいました。これまで女院に従ってきた11人の侍女たちも女院を哀れに思いお供して滝に身を投じたのでした。

この事を後から知った正高は、嘆き悲しみ、女院と11人の侍女の亡骸を滝から引き揚げ、手厚く葬ったという事です。

 

少々、前置きが長くなりましたが、コチラが鏡ヶ池。。。柵の内側に泉があります。

 

 

 

中を覗くと、小松女院が願をかけて鏡を投じた頃と変わらないと思われるほど透明で綺麗な水が満々と湛えられています。

 

 

 

この泉の底の砂には今でも12枚の鏡が埋まっていて、その日の湧水の状態によって姿を見せたり隠れたりするそうです。12枚の鏡が全て姿を見せた時には恐ろしい災害が起こると言われています。

12枚の鏡のうち、平安時代からの物は3枚残っているだけなのだそうで、その3枚も今は博物館に収納されているので、現在泉の底にある12枚の鏡は全てレプリカという事です。

 

さぁ~。。。砂に埋もれた鏡が見えますかぁ?

キラキラ輝いている物は恋に胸焦がす現代のお姫様が投げ入れた恋の願掛けのお賽銭です。

 

それにしても、水源地を訪ねると何故か知らないけど泉の中にお賽銭が投げ入れてある場所が多い。。。一体、何のつもりなんでしょう?

水源地にお金を投げ込んだら、金属から出る毒でせっかくの綺麗なお水が汚染されてしまうでしょうがっ! 

良い子のみんなは、水源地には絶対にお賽銭を投げ込まないようにしましょう。

 

 

 

鏡ヶ池の由来が書かれた案内板も設置されています。

 

 

 

泉の隣には、コレも相当な歴史を感じさせる大黒様?が祀られていました。

 

 

 

さて、鏡ヶ池の他にもこの小国町には沢山の観光スポットがあります。

特に、こんな山深い地に何故?と思う位、平安時代から鎌倉時代に由縁する遺構が沢山残されています。

また、かつて小国杉の生産で栄えた時代の歴史を感じさせる建物が街並みの中に点在しています。

 

 

 

小国町の旧市街はとても静かな街並みです。

これから紅葉の季節を迎える小国の街並みを、時折聞こえるモズの甲高い鳴き声に耳を傾けながら、歴史的遺物を訪ねて散策するのも良いかもしれません。

 

 


コメント

--------これより以下のコメントは、2013年5月30日以前に-----------
あなたのブログにコメント投稿されたものです。

宮ちゃんNO1 [2011年10月25日 22:42]
こんばんは~ 宮ちゃんで~す!

本を読まない宮ちゃんが・・・唯一長文を読むのは
まめ八さんのブログ・・・今日は短くて良かった~(失礼)
なるほど・・・歴史・云われが有るんですネ!
思わず・・・泉の底を見たら・・・キラキラ光るモノ?
エッ~・・・雅かそんな昔の鏡が光ってる?(笑)

そう言われると・・・日本だけじゃなく世界も
水の有る所に・・・お金が?何でだろう??
お賽銭???確かに・・・水は汚れちゃうよね~(爆)
10円玉入れちゃ~ダメだよね!

モズ・・・秋に越冬の為のはえにえ・・・
甲高い声・・・秋を感じますネ!

ビックなトトロ [2011年10月26日 0:13]
こんばんは~~

いや~~
歴史は奥が深いですね。。。
建物や名所一つでいろいろな歴史が刻まれていますね。
まめ八様のブログで熊本をいっぱい勉強させて頂いています m(_ _)m
私も地元探検の必要性を感じさせて頂きました。
私は今住んでいる所は結婚してからですので、チビ達と勉強がてら探索してみます。(笑)
まめ八 [2011年10月26日 19:31]
宮ちゃん、こんばんわ。
いつもコメントを頂き、有難うございます。

いやぁ~いつも長文でスミマセン。<(_ _)>
でも、このブログが宮ちゃんが読む唯一の長文ならコチラとしても気合を入れて書かないといけないな!っと決意を新たにしているトコロです。!(^O^)
水源地や噴水、池などにはよくお金が投げ込んでありますが、アレって水神様へのお賽銭なんでしょうかネ?
でもトレビの泉にも沢山のコインが投げ込んであったし。。。
噴水などは掃除すれば済むことですし、その水を飲む人などまず居ないでしょうから良いとしても、水源地にお金を投げ込むのは止めて欲しいですね。
10円玉を投げ込んだコップの水を好んで飲みたいと思う人はいない訳ですから。。。!(^O^)
そんなお金があるなら募金箱か賽銭箱に入れるべきです。
まめ八 [2011年10月26日 19:43]
ビックなトトロさん、こんばんわ。
いつもコメントを頂き、有難うございます。
自分が住んでいる地域の歴史をひも解いてみるってとても楽しいですよ。!(^O^)
普段見慣れていた道やチョットしたドブ川が意外と歴史上重要な事件が発生した場所だったり、教科書でしか知らなかった人物が数百年前にそこを歩いていたことが解ったり。。。
少なくとも自分が住んでいる場所で、別の人が別の時代に生きていた事だけは確かなので、その時代に想いを馳せる事によって遠い世界であった歴史が身近なものに感じられて不思議な感覚になります。また、それが自分の住んでいる地域を愛する気持ち(=故郷)というものにつながっていくのではないでしょうか?
子どもさんも3~4年生になると自分が住んでいる場所の歴史の勉強がありますので、親子で歴史探訪をやってみると新しい発見があって楽しいかもしれません。
EP82-SW20 [2011年10月31日 22:11]
こんばんは。

悲しい物語ですね(^^;)
でも、このような物語をお子さんに語ってあげるのも良いかもしれませんよ(^^)

水源地というより、祠があればお賽銭は付き物ですよねw
やはり「供養」という意味合いなのではないでしょうか?
金属からの放出されたイオン・・・多分それほど体に影響するレベルまで溶け出さないのでは。
10円玉は殺菌作用があるそうですがw
まめ八 [2011年11月1日 15:11]
EP82-SW20さん、こんにちわ。
お仕事、随分とお忙しいみたいですね。
風邪が流行しているみたいなのでくれぐれもご自愛下さい。

ところで、泉へのお賽銭なんですが、10~20位なら問題ないのでしょうが、量が物凄いのです。“塵も積もれば山となる”という諺もありますからコレは無視出来ませんヨ。
第一、金属成分が溶け込んでしまうと水の味も変わってしまいますからね。。。
しかも、泉の大部分には脇にキチンと賽銭箱が設けられている訳ですから、何も泉の中に投げ込まなくても良いと思うのです。
何よりお金って沢山の人が触れるものなので直接の害はなくてもあまり気持ちの良いものではありませんよね。
EP82-SW20 [2011年11月8日 20:45]
再度こんばんは。

なるほど、お賽銭箱があるのに投げ込まれていて、しかも半端な数でないと…
確かに水質に悪影響を及ぼしますね(^^;)

まめ八 [2011年11月13日 22:45]
EP82-SW20さん、こんばんわ。
連コメ、有難うございます。
遊水池へのお賽銭。。。気持ちはとても解りますし、悪意があっての事ではないという事も解かるのですが、水=地域住民の生活用水であるという事を少しだけ考えて貰えればいいなって思いました。!(^O^)
ただ、お賽銭を投げ込む人は殆どが、恋に胸焦がす若い女性という事なので、そうした心の余裕がないほど意中の男性を想っているのかも知れませんネ。(*^-゚)v
想いの先である男性が羨ましくもあり、女性の若さと健気さにほのぼのとした気持ちにもなりますよ。(^0^*


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