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FF11&14『オス猫日記』

「オス猫」、Misericordeの活動記録(看板に偽りあり)他。
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アルタナの寵児たち 「詠うもの」

2006年05月06日 22時41分43秒 | 駄文
 ディヒター――「詠うもの」という名の自称・詩人について、その素性に詳しい人間は少ない。

「ディヒターかぁ。……地味だよな」
 格闘バカと称される少年の返答は、ちょっとずれていた。
「そういえば、結構謎だらけよね。まあ、シュトラールさんの知り合いだって言うし、悪い人ではないと思うけど」
 正直な物言いをする狩人の少女は、少々考え込んでいた。
「うーん。あれくらいの歳のヒュームにしては珍しいくらいに覇気がないよねー」
 何事か研究中だったタルタルの魔道士は、半ば上の空でそう答えた。
「意外と同類って感じもすんだよなぁ。とりあえず、見てくれより遥かに“できる”ぜ?」
 宿の用心棒もしているという同族の女性は、麦酒を呷りながらそう言った。
「過去を捨てた人間など、この稼業、そう珍しくもあるまい?」
 ヒュームの刀使いは、それ以上を黙して語ろうとはしなかった。

「――そんな感じで、誰に聞いても詳しいことは分からないんですよねぇ」
 聞き込みに使ったメモを片手に、彼を知る人物から聞き出した情報を伝える。
 そのどれもが曖昧で要領を得ない情報ばかりであり、ディヒターと言う人物の素性を知るには全体的に決定力不足なものだった。
 その結果に、今、自分の目の前に座ったニノさんが、腕を組む。
「むう。格別無理に他人の過去を暴こうなどとは思わぬが、こうも不鮮明じゃと逆に気になるのぉ」
 そう言って、ニノさんはメモをこちらから受け取る。
 聞き込みで得られた情報を一から読み返しているが、そもそもとして彼のことについて話を聞ける相手が少なく、情報の量自体大したものではない。故に、その読み返しもすぐに終わった。
「……情報不足。じゃな」
 やれやれ、とでも言った感じで椅子に腰掛けなおすニノさんからメモを受け取る。
 そのメモをぱらぱらとめくりながら、思いついたことを適当に述べてみることにした。

「ナーハさんが『同類かも』って言ってますけど、これってどういう意味でしょうかね?」
 ここ数日、酒場の隅に陣取って「退屈だ」と繰り返している同族の戦士を思い浮かべる。
 彼女の『同類』。彼女とロイさんは過去、ある傭兵LSに所属していたことがあるという。それについて言っているとしたら、ディヒターさんもまた、傭兵だったということだろうか?
「同業。ではなく、同類と言ったのじゃろう? ならば、単にそういう類のLSに属していた気がする。といった程度ではないか?」
 と、ニノさんが言う。
 確かに。傭兵LSなどの特定の技能者による「組合的」な組織というものには、どこかしら共通した雰囲気のようなものがある。と聞いたことがある。
「とすると、ディヒターさんも何らかの組織のようなものに属していたかも知れない。と?」
「さあのぉ。とりあえず、確たる何かが分からん限り、何もかも憶測にしかならんがの」
 そう言うと、ニノさんは立ち上がった。
 階段――二階にある部屋に向かうニノさんの背を見ながら、少し考える。

(仮にそうだとしたら、ディヒターさんはどんな組織に属していたんでしょう)

 と。

「これミセリ。わしゃ先に寝るぞ」
 ニノさんの声に、思考を終了させる。
 事実がどうであれ、今それを考えても仕方がないというのは、今さっきニノさんから諭されたばかりだ。

 階段を上る銀の髪を追い、自分も酒場を後にする。
 あるいは、彼の旧知であるというシュトラールなる人物に会えば、真実が分かるのだろうか。そんなことを考えながら。

 ともあれ。今の彼がすべてなのだろう。
 一歩を引いた傍観者。それが、自分から見た“詠うもの”である。






 はい。とりあえずネタのあるうちに書いておきましょう。

(ふむ。全キャラ分やるつもりか? だれるぞ)

 それもそうなんですけど。ひとりやったら一応皆やっておきたいじゃないですか。

(そういうもんかのぉ)

 自分はそうですねぇ。

 で、前回のは自分から見てもそこそこな出来だったわけですが、今回のこれは……微妙ですねぇ。

(前回のあれがまぐれじゃった。というわけじゃろ)

 そんな気がしないでもないんですよねぇ。最初書きたいと思ったように書けましたしね。前回のは。

 今回のこれも、最初は前回と同じようにディヒターにミセリが尋ねる形で、シャオかロイのでもやろうと思ってたんですけど。
 それだとあまりにも似たような感じになってしまって面白くないかな~。と、こんなんなりました。

(どちらが賢明かと問われれば……微妙なところじゃな。前回の形で上手くいけたかも知れんのなら、そちらの方が良かったかも知れんし、あるいはこちらにして正解だったかも分からんし)

 まあ、どっちかしか完成しない以上、比べようにも。って感じなんですけどねー。

(まあそうじゃな)

アルタナの寵児たち 「カイン」

2006年05月04日 23時33分24秒 | 駄文
 カイン=ドゥルヒ=ゼッツェンと言う少年を一言で表すとすると、どんな表現が適切だろうか?

「カイン? バカで充分だと思うけど。ギルの大切さをもう少し理解してくれると嬉しいわね」
 彼の仲間である、エルヴァーンの少女ならば、こう言うだろう。
「中々独創的な発想してて、面白いよねー。一回解剖して頭覗いてみたいなー、なんてね」
 小さな魔法学者は笑ってそう言うかも知れない。
「まぁ、見込みはあるんじゃねーの? 素手でやり合ったら勝てねーかもな」
 酒と戦いのことしか頭にないミスラの傭兵がそう嘯くのを聞いたことがある。
「己を曲げることを知らず――それ故に、強いとも言えるのかも知れんな……」
 寡黙な侍は酒を片手にそう呟いた。

「で、結局そんな感じの人なんですか?」
 オス猫を名乗るミスラの青年が聞いてくる。
 特にすることもなく、何となく一緒に昼食を食べていたら尋ねてきたのだ。カインとはどんな人物なのか。と。
 カインと特に近しいだろう人物の評価を告げれば、「なるほど」と頷いていた。視線や仕種を見ていた限りでは、興味は目の前に置かれた『山菜定食』に注がれていたようだが。
 そして、今。定食を口に運びながら、彼は私自身の意見を求めている。

 少し、考える。左手で撫でた顎からは、かすかに無精ひげの感触がする。思考していて、気がつくとこうしていることが多い。自分ではよく分からないが、もしかしたら私の癖なのかもしれない。
 今度ケーパ・クッパにでも聞いてみようか。と思いつつ、思考がずれたな。と思う。
 再度考えて、私は私の表現を口にした。
「――君に似ているかも知れないな。育った環境が独特だと、感性も独特なものになるのかも知れん」
 以前聞いた青年の生い立ちを思い出しながら、言う。
「?」
 言った意味が伝わらなかったのだろう。青年はきょとんとしている。
 まあ、意識して曖昧な表現にしたから、伝わらなくても仕方がないことかも知れないが。
「なるほどの」
 代わりに反応したのは、青年の隣に腰掛けた赤い眼の少女だ。
 色素の薄い肌や銀の髪。それとは対照的な黒づくめの衣装に身を包んだ少女は、先ほどから何を口にするでもなく気だるげに、こちらや青年、時折窓の外や店内の喧騒にも視線をやり眺めている。
 その少女は、どうやら私の言った意味を理解したらしく、ややげんなりとした視線を青年へと向けた。
「そいつは大変じゃな……お主等も」
 限りない実感と同情のこもった言葉。溜息が一緒についてこないのが不思議なくらいである。
「……何だかよく分かりませんが。大変そうですね」
 真面目な顔をして言ってくる青年に、苦笑。
 少女は額に手をやり、青年から視線を外した。
「お気遣い、どうも」

 これだから、どれだけ振り回されようと、彼らを憎めないのだろう。
 そんなことを思いつつ、ぬるくなった麦酒を一口あおった。

「……平和だねぇ」
「……まったくじゃ」

 窓から見上げた空は、青い。






 というわけで、師匠のところに掲載していただいている駄作『アルタナの寵児たち』のオマケ話みたいなものです。

(これに出て来る「ニノ」とわしは別物じゃから、そこだけは留意しとくようにの)

 でまあ、あちらに掲載していただいたものは、無駄に長いわりに話はぐだぐだしてて、おまけに登場人物のキャラ立てがまるでできていない。ということで、こちらのオマケ話ではその辺の補足とかを主にやっていくかと。

 あとは思いつきだけの短文とか。

(痛い話じゃがな)

 それを言われると自分何もできなくなってしまいますから……。

(現実を見つめることも、大事なことじゃぞ?)

アルタナの寵児たち 「日常」

2006年04月26日 01時29分49秒 | 駄文
 さて。しかしお前さんは何だってこんな外れの酒宿に入ってきたんだい。このクロイツェンにはもっと居心地がよくて、上手い料理が出て、値段だって安い宿がいくらでもあるだろうに。
 ……ほぅ。お前さん冒険者か。まあ確かに、ここの酒場にはどういうわけか色んな冒険者や冒険のタネが集まってくるが……。
 ん。おいジニー!

「何だい? おや、見かけない顔だね。新入り?」

 どうもそうらしい。で、だ。こいつに一杯出してやってくれないか。
 あと、そうだな。ブラオ湖の博打魚が良いかも知れんな。新天地での運試しってやつだ。

「そうだねぇ……よし。こんなぼろ宿を選んでくれたんだ。お祝いに良いのを出してやろうかね――払いは当然アンタがもつんだろ?」

 む……。できるだけ「それなり」のやつで頼む……。

 ――ん? ああ、気にするな。ここのしきたりみたいなもんさ。これでお前さんに声をかけたのが俺じゃなくてナーハのやつだったなら、この店で一等良い酒を振舞ってもらえたんだろうが……。別に良いって? こういうのは気持ち、か。まあ、そう言ってもらえると助かるよ。
 ナーハか? ほれ、あそこ。あのでかいヒュームに絡んでるミスラのねーちゃん。あれがナーハ・フォルゲ。で、隣のでかいのがロン。まあ普段はあんなだが、ここらじゃそれなりに腕の立つコンビさ。……二人揃って得物振り回すばかりが得意で、バランスが良いたぁ世辞にも言えないがね。
 ナーハはともかく、ロンの方は顔も広いし面倒見もいい。ちっとばかし無愛想ではあるが、後で声をかけてみな。

「おーぅ、カイ~ン。お前も飲め~」
「いや、俺は酒は……」
「固いこと言ってんなよ。飲め飲め」
「ナーハさん。この間立て替えたナイフの代金、そろそろ払ってください」

 おぉおぉ。今絡まれてる黒髪のヒュームが居るだろ。あいつはカイン。見ての通りまだ若いが、そこそこ実力のある拳士さ。横に居るエルヴァーンの嬢ちゃん――シャオってんだが――もそうだが、シュトラールって冒険者について修行中なんだと。よくああやってナーハのやつにからかわれてるよ。
 ――あ~。今シュトラールはクロイツェンには居ないんだな、これが。野暮用……天晶歴以前の遺跡調査だかなんだかでジュノの方へ出てる。ま、ロン以上に愛想のないやつだから、居ても居なくてもあんま変わらんと思うがね。

「お? 新入りかな?」

 よお。ディヒターじゃないか。

「初めまして、と言うべきかな。冒険者……というよりは、それについて旅の話を歌にするようなことをやらせていただいている。
 ……さて。とりあえず――」

「おら! このナーハ・フォルゲ様の酒が飲めねぇってのかっ!?」
「おわ、やめろ! 祖父さんの教えで酒は――」
「うるせーっ!!」
「ちょっとナーハさん!」
「……静かにしろ」
「ナーハさん!」
「おら飲めぇぇーっ!」
「やめろぉぉぉーーっ!」

「――とりあえず。“あれ”に巻き込まれないように端に行ってるとしようかな」

 やれやれ。止める気はないんだな……。
 っと、気にするな。いつものことさ。ここに滞在しようと思ったら慣れないとな。

「――うむ。まったくもってその通りじゃ」
「慣れてしまえば案外気にならないもんですよ?」

 む。オス猫さんじゃないかい。いつもながらイキナリなご登場だね。

「初めまして。自分はミセリコルデというしがないオス猫です。で、こちらが――」
「この駄猫の飼い主をやっとる。ニノ=キルヒアイゼンじゃ。……よいか、くれぐれもここに居る輩どものようにはなるでないぞ」
「自分たちも新参なんですけど……ねぇ?」

 ま。かなり染まってるというか、溶け込んでるわな。

「誰がじゃ。まあよい。ケーパ・クッパのやつは居らんか?」

 あのちっこい賢者さんなら闇市で魔導書でも漁ってんじゃないのかい? あの騒ぎに参加してないとこを見ると、ここには居ないと思うが。

「ふむ……行くぞ、ミセリ」
「はいはい。それでは、また後程~」

 ……びっくりしたかい? まあ、ミスラ族の男なんてのは、そうそうお目にかかれるもんじゃあないだろうしな。
 ――メル・クーア? オス猫を名乗る冒険者か。……その話、さっきのやつに聞かせてやんな。面白い反応が見られるかも知れんぜ。



 さて、と。長くなっちまったが、そろそろ飲むとするかい?

 ――ん? 俺かい? 俺は……そうだな、“ヴィルト”とでも名乗っておくか。古語で“主人(マスター)”って意味さ。子供っぽいかも知れんが、こういったあだ名をつけるのが好きでな。はは。
 うん。こういう場合、俺の言うべき言葉はこうかもな――、

《ようこそ。夢と物の集う地、クロイツェンへ。――そしてようこそ。冒険者たちの集う宿、“風の止り木”亭へ――》








 はいはい。とち狂いましたよ。唐突ですよ。

(いきなりいじけるな。いじけるくらいならやるな)

 いや。ネタがなかったんですよ。

 で、そこに構想中のFF小説に関連した何かが降りてきまして。折角なんで。

(まあ、ここで発表したところで何にもならんのじゃがな)

 ブログじゃすぐ流れちゃいますしね~。

(かといって、こんな半端なもん他のところに押し付けるわけにもいかんしな)

 ですよねぇ……。