読書感想とロードバイク日記2

週末のお天気の日にロードで走っています。晴耕雨読ならぬ、晴れたらバイク、雨の日は読書の日々

「将棋の子」

2024年05月06日 | 日記

大崎善生(講談社)

今は藤井君が大活躍。以前は羽生さん。
この厳しい世界を、生き残れなかった奨励会をやめた成田英二を中心に書いたノンフィクションだ。
感動ものだけど、システムとして天才少年を集め、でも辞めたあとのことは自己責任という厳しさは何とかならないものなのか。
でも、著者の温かい目が、少し救いになっている。

内容紹介は
『奨励会……。そこは将棋の天才少年たちがプロ棋士を目指して、しのぎを削る”トラの穴”だ。しかし大多数はわずか一手の差で、青春のすべてをかけた夢が叶わず退会していく。途方もない挫折の先に待ちかまえている厳しく非情な生活を、優しく温かく見守る感動の1冊。第23回講談社ノンフィクション賞受賞作(講談社文庫)

青春のすべてを一手一局に!
天才たちの夢と挫折の物語   』

・・・ネットでの書評(ネタバレあり。読んでから以下読まれたし)
『・・・年齢制限があり、1年に2人しかプロに成る事の出来ない将棋界で、志半ばで挫折し奨励会を大会した少年達の、その後の人生を追ったドキュメンタリーだが、主人公である「元天才少年」成田英二の惨め極まりない人生がとても生々しくて感慨に耐えない。
 下世話に言えばマザコンだが、最愛の母と一緒に上京しプロを目指して戦う成田。だが、成田が勝てなくなり壁にぶつかった頃、母親は不治の病の宣告を受ける。同じ頃一緒に上京していた父親も突然の病死。どうしても言えなかった奨励会の退会を母に告白した成田が、母との最期の日々を送る辺りから感涙ものだ。・・・
 成田は、数百万円の借金を抱えて、社会の落伍者が逃げ込む寮付きで住み込みのトンデモない職場で働いていた。何しろ月2日の休日で働いて、手取りは1万円くらいと言う、ブラックと言うのもはばかられるような環境だ。・・・
 成田は人妻と恋仲になり、その人妻も彼を慕って離婚したが、遠く離れた場所に引き裂かれて長距離電話する金もないと言う。著者の差し出す携帯電話で恋人に電話して現況を説明し、連絡を取る金すらないと号泣する成田。30歳手前まで将棋一筋で生きて来て挫折した若者の、あまりにも残酷な末路である。・・・
 だが、これが生きていく支えだと成田が見せたのは、奨励会を退会した時に貰った記念の将棋駒だった。こんな地獄のような毎日でも、将棋を恨んだり、将棋指しに成る夢を追って浪費した人生を後悔したりは一切ない、それどころか羽生善治と同時代で一緒に戦ったことを誇りに思って生きていると言う成田。・・・
 この本は誰にでも勧められる内容ではないと思う。成田の生き様はいくら何でもひどくて、普通ならとても感情移入出来ないのではなかろうか。・・・
 だが、小学校から大学まで将棋部一筋で将棋の魅力に取りつかれた私のような人間にとっては、どんなひどい目にあっても将棋が好きだと言う成田のような、敗北した奨励会員たちのエピソードはこの上なく胸を打つのである。』
・・・以上は、将棋好き(以上)の方の感想だが、それだけに将棋の魅力を語っていると思う。
・・・確かに「誰にでも勧められない」本だが、ノンフィクションとしては一級品っだと思う。😊  



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