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読書感想とロードバイク日記2

週末のお天気の日にロードで走っています。晴耕雨読ならぬ、晴れたらバイク、雨の日は読書の日々

引っ越し

2025年07月02日 | 日記
下記に移動しました。
概要 - はてなブログの
professor-s3873-RRのブログ
です。
今までのをどう引っ越しするのかよくわからん、のが問題。
とりあえず、書き続けています。

「平安女子は、みんな必死で恋してた」

2025年05月07日 | 日記
イザベラ・ディオニシオ(淡交社)

副題が、「イタリア人がハマった日本の古典」である。
よくもここまでいわゆる日本の古典を読んだのだろう。まず驚き。我が国の古典文学なんて高校の時にちらりと入り口をのぞいて作者と題名を覚えた程度なのに、なんとこのイタリア人は、ここまで読み込んで縦横無人に現代語訳(イザベラ流超訳)まで書いたものだ。

内容紹介は
『〈イタリア出身の著者がおくる、新しい古典文学の楽しみ方〉〈小野小町の本当の姿は?『竹取物語』に隠された意図とは?〉
イタリア出身、かつ日本に10年以上暮らす文学オタクの著者が、働く現代女性の視点から日本の古典文学を読みとくエッセイ。
1000年前、経済的に自立できなかった日本の女性たちは文字通り「命がけ」で恋をして、その経験を日記や物語として書き遺しました。彼女たちの恋愛は情熱的であり戦略的。
『枕草子』『和泉式部日記』『竹取物語』など、誰もが一度は教科書で習った有名古典作品を「個性的な女性たちが、恋に、出世に奮闘する平安オムニバス」として読みなおします。

・・・全く、別の視点で解説、背景も含め貴族社会の男女のありかた、男が女性のところに三夜通って結婚となるなど「夜這い?」の発祥か。よくぞ調査し研究してくださった、と感心。
・・・(インタビューで著者が)「イタリアの高校では、週に1度「ダンテ」という授業があり、彼の傑作「神曲」を3年かけて読んだ・・・それは、自分たちのルーツや文化を知り、現代に通じる、過去の人々の息づかいを感じる時間・・・」だったそうだが、これも相当に難しそうでイタリア人も古典で苦労しているね、である。
・・・また、彼女の超訳について出版社の解説では「・・・見どころはなんと言っても、イタリア出身の著者であるディオニシオさんが原文の横に付けた「超訳」だ。 《よそのオンナにちょっかいを出しているということは、もうあたしのところへ来ないつもりってことね?(チッ)》(「蜻蛉日記」の一部訳)」なんとまあ、現代日本の女子高生あたりが言いそうなセリフではありませんか。
・・・日本人も恐れをなす我が『古典』の数々をかように紹介した傑作本である。😁 


「おそろし 三島屋変調百物語」

2025年04月15日 | 日記
宮部みゆき(角川書店)

平成20年発行なのでだいぶ昔ですね。
いわゆる怪談ものなのでしょうが、テンポがよく楽しめる。

内容紹介は
『17歳のおちかは、実家で起きたある事件をきっかけに心を閉ざした。今は江戸で袋物屋・三島屋を営む叔父夫婦の元で暮らしている。三島屋を訪れる人々の不思議話がおちかの心を溶かし始める。百物語、開幕!  

著者について
●宮部 みゆき:1960年東京生まれ。87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。92年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治新人賞を、93年『火車』で山本周五郎賞を、99年『理由』で直木賞を、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞を受賞   』
・・・
第一話 曼殊沙華
第二話 凶宅
第三話 邪恋
第四話 魔鏡
最終話 家鳴り
と、五章に分かれているが、内容は続いており、最後でみんなつながって出てくるという趣向だ。

・・・続いているのは悪くないけど、最後がどうもしっくりしない。こういう解決にしないと落ち着かないのは理解できるが、少々話が”飛んでる”ような気がしてなじめない。前の4章だけでも楽しいのに。。。
・・・久しぶりの宮部みゆきである。
・・・最近は何となくSFっぽい傾向があって、しっくりこなくて遠ざかっていたが、江戸を舞台のお話は私に合っていて面白い。
・・・一番だと思っているのは『火車』。傑作でしょう。
・・・これは映画化されているようだ。見てないけど。
・・・しばらく百物語を読んでみようと思っている。😉 



「ともぐい」

2025年04月12日 | 日記
河崎秋子(新潮社)

面白い。
内地ではまたぎというのだろう。舞台は明治の北海道。
迫力ある話だ。鹿を撃つところや解体場面などよく書けている。
後半の流れや最後はちょっと理屈に合わない。

内容紹介は
『第170回直木賞受賞作! 己は人間のなりをした何ものか――人と獣の理屈なき命の応酬の果てには明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河﨑流動物文学の最高到達点!! 

著者紹介
「河﨑 秋子(かわさき・あきこ)
1979年北海道別海町生まれ。2012年「東陬遺事」で第46回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)受賞。2014年『颶風の王』で三浦綾子文学賞、同作で2015年度JRA賞馬事文化賞、2019年『肉弾』で第21回大藪春彦賞、2020年『土に贖う』で第39回新田次郎文学賞、2024年『ともぐい』で第170回直木三十五賞を受賞。他書に『鳩護』『絞め殺しの樹』『鯨の岬』『清浄島』などがある。現在、「小説 野性時代」(電子雑誌)にて『銀色のステイヤー』を連載中。 」

ネットの感想を引用したい
「想像を絶する圧倒の筆力。眼前迫りくる光景は真に迫っていく。時は明治、北海道・白糠の山奥。獣臭と、対峙する生命の営み。狩るものと狩られるもの。研ぎ澄まされた本能。細く長く息を続けて待つ瞬間。”生きる者が己を傷つけたことに正しく憤っている”と。
赤毛は俺なのか。
輪廻転生。心が奪われる。   」

・・・でもね、腑に落ちない結末だね。みなさんどう思います。
・・・直木賞など、小説家になる入り口論だ、という意見があったが、この著者は完成している上に、(たの作品は読んでいないので何とも言えないけど)本作は、迫力ある作品で完成度が高いと思う。😎 

「開業医の正体」

2025年04月09日 | 日記
松永正訓(中公新書ラクレ)

タイトルの”正体”は、暴露本みたいですが、中身はまっとうな小児科・小児外科の医者のお話で、開業医がどのような考えで患者を診ているかが分かる良い本です。
確かに普通のタイトルじゃあ誰も気が付かないけど、おやっと思って興味半分で手に取るということはありそうな一種ひっかけタイトルですけどね。編集者の勝ちです。

内容紹介は
『クリニックはどうやってどう作るの? お金をどう工面しているの? 収入は? どんな生活をしているの? 患者と患者家族に思うことは? 上から目線の大学病院にイライラするときとは? 看護師さんに何を求めているの? 診察しながら何を考えているの? ワケあって開業医になりましたが、開業医って大変です。開業医のリアルと本音を包み隠さず明かします。開業医の正体がわかれば、良い医者を見つける手掛かりになるはずです。 

著者について
松永正訓 松永正訓 Matsunaga Tadashi
1961年、東京都生まれ。87年、千葉大学医学部を卒業し、小児外科医となる。 日本小児外科学会・会長特別表彰など受賞歴多数。2006年より、「松永クリニック小児科・小児外科」院長。13年、『運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語』で第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。著書に『呼吸器の子』『小児がん外科医   君たちが教えてくれたこと 』『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』『いのちは輝く わが子の障害を受け入れるとき』などがある。

ネットの書評を引用すると「・・・著者は作家兼業の医師で、小学館ノンフィクション大賞に輝き、『1文が書ければ2000字の文章は書ける』という文章術の著書まであるほどだから、文章がうまい。
ゆえに、本書は実用書的な側面もありつつ、エッセイとしても読み応えがある。一例を挙げれば、最後の項目「開業医が虐待を発見したとき」などは、見事な一編のエッセイになっている。
それでいて、実用書的な機能もきっちり果たす内容になっている。
開業医を目指す人にとっては最高の「開業入門」になるだろうが、それはまあ、読者のごく一部だろう。
私も含めた大部分の読者にとっては、かかりつけの開業医との賢いつきあい方を教えてくれるという意味で実用的なのだ。 ・・・・」

・・・その通り。小児科ばかりではなく大人の場合も”かかりつけ”の医者を見つける要諦だろう。
・・・本を書くのは本業以外の才能もあるってことですよね。
・・・作者も入院したことがあって、患者側の気持ちもわかっているというのは良いこと。奥様の看護師としての話も役立った。
・・・庵ろな意味でおすすめです。😊