読書感想とロードバイク日記2

週末のお天気の日にロードで走っています。晴耕雨読ならぬ、晴れたらバイク、雨の日は読書の日々

「黒い薔薇」

2021年09月29日 | 日記
フィリップ・マーゴリン(早川書房)

県立図書館では置いてなかった(多分、廃棄されたか?)。1998年の出版なのでその可能性もあるだろう。
いわゆる法廷物だが、ミステリーの要素が強くて、さほどリーガルサスペンスの法廷場面ばかりということはない。
確かに、二転三転、どうなっていくのか予測不可能な展開で途中で止まらなくなってしまった。少々、無理なところもあるけど、面白い。

内容紹介は
『ポートランドの弁護士ベッツィは破格の報酬で、建設会社の社長から、起訴された時には弁護するよう依頼された。その直後、彼は連続女性失踪事件の容疑者として逮捕されてしまう。十年前、ニューヨークでも今回と同様、現場に薔薇が残される失踪事件が起きており、彼と二つの事件との関係が疑われたのだ。やがてベッツィの身辺に危険が迫り、裁判の行方は混迷を極める。二転三転するダイナミックな展開の傑作サスペンス。   』

ネットの書評の賛辞『数多くのサスペンス小説によく言われる「徹夜本」あるいは「ジェットコースター本」、『黒い薔薇』は確実にその類の小説です。 』
・・・まさにその通り。ミステリだから内容に踏み込めない。しかし、この構成は見事。州の法制度のあり方も勉強になる。
・・・法廷場面も苦にならない。もっとも昔の法学部生だもの、私。
・・・最後のところは、もうちょっと公的機関を信頼してまかせる方法も現実的でしょう。
・・・アメリカの怖さは、もしかするとこういう人間?もそこらにいるかもしれないと思わせるところがある。絶対に自分を守るための武器を手放せない原因でもあると思う。残念ながら。
・・・ともあれ、お勧めです。😊 
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「天使のナイフ」

2021年09月27日 | 日記
薬丸 岳(講談社)

後半から二転三転ストーリー展開が慌ただしいけど、面白く読める。
ミステリとしての構成はよくできている。

内容紹介は
『生後五ヵ月の娘の目の前で妻は殺された。だが、犯行に及んだ三人は、十三歳の少年だったため、罪に問われることはなかった。四年後、犯人の一人が殺され、檜山貴志は疑惑の人となる。「殺してやりたかった。でも俺は殺していない」。裁かれなかった真実と必死に向き合う男を描いた、第51回江戸川乱歩賞受賞作。

著者について
薬丸 岳
1969年兵庫県明石市生まれ。駒澤大学高等学校卒業。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞。その他の著書に『闇の底』『虚夢』(ともに講談社文庫)『刑事のまなざし』(講談社)、『ハードラック』(徳間書店)などがある。今後の活躍がもっとも期待される作家の一人。  』

・・・テーマは少年法からみで、重い話です。確かに法律上は保護主義と厳罰主義の論争だったが、今は年齢も下がって厳罰の方向に行っている。被害者の立場はほとんど考慮されていなかった時代から、今はどの程度になっているのか。
・・・後半の種明かし?のところが、かなり恣意的な感じがして、落ち着かない。だからこそ、ミステリとして深刻にならず、面白く読めているとも言えるのではありますが・・・どうでしょう?😜 



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「少数株主」

2021年09月22日 | 日記
牛島信(幻冬舎)

小説っぽくないのですが、同族会社の株を何らかの形でもっておられる方には参考になる話が展開する。お役立ちです。
後半のロマンス話?は無理に小説の形を求めるとこんな展開になるのか、という印象。

内容紹介は
『同族会社の少数株は凍りつき、放置されている。「俺がそいつを解凍してやる」伝説のバブルの英雄が叫び、友人の弁護士が手を組んだ。そして、日本解凍が始まった!株を自由に売り買いされない法律をいいことに、やりたい放題のオーナー経営者。圧倒的な理不尽に追いやられる、少数株主を救済する―。

著者について
作家&弁護士 1949年生まれ。東京大学法学部卒業。東京地検検事、広島地検検事を経て弁護士に。現在、M&Aなどで定評のある牛島総合法律事務所代表。
97年に『株主総会』(幻冬舎)で作家デビュー。この作品はベストセラーとなった。主な著書に『株主代表訴訟』『買収者 アクワイアラー』『MBO マネジメント・バイアウト』『社外取締役』『逆転 リベンジ』(以上、幻冬舎文庫)『利益相反 コンフリクト』(朝日新聞出版)。エッセーに『「雇用」が日本を強くする』『日本よ、いったい何を怖れているのか』(幻冬舎)
牛島総合法律事務所代表として、多くのM&Aやコーポレートガバナンス関連の案件を手掛ける。97年『株主総会』(幻冬舎)で作家デビュー。日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(CGネット)理事長。上場会社など4社の社外役員を務めている  』

・・・まあ、ただのノウハウ本では普及しないから小説という手はあるかもね。それにしても「小説」的😎 面白さは今回はないと思う。


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「つまらない住宅地のすべての家」

2021年09月16日 | 日記
津村記久子(双葉社)

色々な家庭がその地域にあって、話はあちこち飛ぶので、どこの家の話か混乱を来す。しかし、ときどき最初の各家庭の家族構成など見返しながらの手間暇、面倒を我慢しながら読み進む。
進むにつれ、展開が面白くなってくる不思議。

内容紹介は
『とある町の、路地を挟んで十軒の家が立ち並ぶ住宅地。そこに、女性受刑者が刑務所から脱走したとのニュースが入る。自治会長の提案で、住民は交代で見張りをはじめるが……。住宅地で暮らす人間それぞれの生活と心の中を描く長編小説。

(ブックレビュー:小説推理2021年5月号掲載)がある。

ネット上の感想を引用します。同じ印象を持っています。
『コンビニも近所にない郊外の住宅地の一角を舞台に、昔その地域に住んでいた女性が刑務所から脱走したことを契機に起こる物語が展開されます。10人以上の視点から物語が紡がれていくため、最初はいわゆる「相関図」を飲み込むのに少し苦労しますが、冒頭に舞台となる住宅地の地図がつけらているので、次第に各家の登場人物を把握できるようになります。
この小説にはミステリ小説にあるような大きな犯罪や謎はありませんが、近所に住んでいるだけの老若男女の関わりによって、各家が抱える問題や闇が少しずつ明るい方向へと変化していきます。
何より素晴らしいのは、ここにはまさしく市井に生きる名もなき人々しか登場しないのですが、彼らがそれぞれに生き辛さを抱えながらも隣人への思いやりを持っていることです。そしてその何気ない思いやりによって救われることが間違いなくある、そのことに気づかされることです。
日常の些末なことに悩んでしまい、そんな些末なことに悩む自分を嫌悪してしまう。そんな人々をさりげなく励ましてくれる優しさに満ちた小説です。 』

・・・意外や楽しめました。お勧めです。😋 


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「虎ノ門物語」

2021年09月10日 | 日記
木埜有(ジアース教育新社)

虎ノ門(旧文部省)OBが書いたユーモアあふれるエッセイ。
意外と知らない役所の内幕。いわゆるキャリアも実は奇人変人だらけ。その実態を面白おかしく活写する。

内容紹介は(出版社のHPから引用)
『昭和の時代に旧文部省(通称「虎ノ門」)にキャリア官僚として入省したOBの汗と涙と根性の物語。建前(?)は「全くのフィクションであります。無責任な噂話やでたらめを集大成。登場人物になんとなく心当たりがある方もおられるかもしれませんが、それは“他人のそら似”というもの。あるいは『オレのことか?』と思われても、それは錯覚です」(「はじめに」)。
 笑い話や裏話、ちょっぴり哀愁のただようエピソードを添えつつ、虎ノ門、霞が関の住人へ贈る激励と応援。文科省を知る人も知らない人も、日の目を見ない日本を支えるお仕事あれこれ、ちょっと覗いてみて下さい。
 ペンネーム木埜有(きの・ゆう)は「昨日言う」から。
  • 目次
  • 第一章 虎ノ門
  • 第二章 東京暮らし
  • 第三章 初中局
  • 第四章 大学学術局
  • 第五章 地方勤務
  • 第六章 役所の人事
  • 第七章 趣味
  • 第八章 あの時代の課題
  • 第九章 事件
  • 第一〇章 海外勤務
  • 第一一章 怪人列伝
  • 第一二章 政治家と記者
  • あとがきに代えて       』
・・・団塊の世代が就職したのは、昭和40年代。
 殺人ラッシュの銀座線や丸ノ内線での通勤(痛勤)、夜中までの国会待機中の麻雀と安酒を飲みながらの政策議論。優秀なのはノンキャリのみなさん。上司先輩に鍛えられ、地方勤務や海外勤務。順風満帆とはいかない人事の悲喜こもごもを垣間見つつ、「ツクツクポスト」と鳴いているキャリアの生活。恋(「三年坂の恋」)とお見合い(「妻を娶らば」)の鬼門を回避しながら、省内外の「怪人」に驚き「偉人」に感激する(「怪人列伝」)・・・そんな日常を活写する。
・・・今の霞が関は、官邸主導の(忖度)下働きで政策提言もできずその上国会(議員)に振り回されて疲弊するばかり。この働き改革のご時世に「ブラック」な職場とされ人気も落ち込む。
・・・全体がユーモアに満ちあふれ、著者の人柄、鑑識眼、好奇心、センスは敬服に値する。よき時代?の旧文部省職員の公私の“実(虚)像“を描く傑作だ。おすすめです。😍 



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