読書感想とロードバイク日記2

週末のお天気の日にロードで走っています。晴耕雨読ならぬ、晴れたらバイク、雨の日は読書の日々

「バニラさま」

2021年12月15日 | 日記
山本文緒(文芸春秋)

騙されますぞ。
だいたい表紙が、かわいい女の子のほんわかした絵だし、タイトルが青春小説かマンガみたいだし・・・
6つの短編からなる小説集。

内容紹介は(出版社の紹介の引用)
『冴えない僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい
日常の風景が一転! 思わず二度読み!
痛くて、切なくて、引きずり込まれる……。
6つの物語が照らしだす光と闇

島清恋愛文学賞、本屋大賞ノミネート『自転しながら公転する』の山本文緒最新作! 
伝説の直木賞受賞さく『プラナリア』に匹敵るす吸引力! これぞ短編の醍醐味!

目次と簡単な説明(以下)
ばにらさま  僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい……。

わたしは大丈夫 夫と娘とともに爪に火をともすような倹約生活を送る私。

菓子苑 舞子は、浮き沈みの激しい胡桃に翻弄されるも、彼女を放って置けない。

バヨリン心中 余命短い祖母が語る、ヴァイオリンとポーランド人の青年をめぐる若き日の恋。

20×20  主婦から作家となった私。仕事場のマンションの隣人たちとの日々。

子供おばさん 中学の同級生の葬儀に出席した夕子。遺族から形見として託されたのは。

山本文緒さんからのメッセージ

 久しぶりの短編集です。
 表題作「ばにらさま」を書こうと思ったきっかけは、閉店間際の駅ビルを無目的な白い顔でふらふらと歩いていた美人さんを見かけた時でした。
 洋服を次々と物色していてもその目には何も映っていないように見えて、彼女はどんな人なのだろう、どんな時に心から笑うのだろう……と興味を持ちました。
 ステレオタイプと呼ばれる女の子達にも、内面にはその人しか持つことのない叫びや希望があるはず。そんなことをテーマにこの小説集を作りました。

 どの作品にも「え?!」と驚いて頂けるような仕掛けを用意しましたので、きっと楽しんで頂けると自負しております。
 よろしくお願い申し上げます。

山本文緒     』

・・・確かに「仕掛け」だらけです。しかし、よく分からなかったのは「わたしは大丈夫」。全然それが分からない。読み方を間違っているのかな。
・・・「菓子苑」は終わりの少し前に種明かしがあって、そりゃそうだわな。
変な女の子との変な関係がどうつながるか不思議な心配をしていた。
・・・お終いの二つはさほどの仕掛けもなく、ちょっとだるいかな?
・・・最高に良かったのは最初の「ばにらさま」でしょう。若い頃読んだら女子と交際するのは怖くなっただろうな。これは恐い小説です。😨 
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「田村はまだか」

2021年12月15日 | 日記
朝倉かすみ(光文社)

タイトルが「ゴドーを待ちながら」に似ていて興味を引いた。
小学校の同級生を待つ5人の物語が展開する構成だ。舞台がすすきのの小さなバーで札幌が舞台です。

内容紹介は
『深夜のバー。小学校のクラス会三次会。男女五人が、大雪で列車が遅れてクラス会に間に合わなかった同級生「田村」を待つ。各人の脳裏に浮かぶのは、過去に触れ合った印象深き人物たちのこと。それにつけても田村はまだか。来いよ、田村。そしてラストには怒涛の感動が待ち受ける。’09年、第30回吉川英治文学新人賞受賞作。

著者略歴
朝倉/かすみ
1960年、北海道生まれ。2003年、「コマドリさんのこと」で第三七回北海道新聞文学賞、’04年、「肝、焼ける」で第七二回小説現代新人賞受賞。’09年に『田村はまだか』で吉川英治文学新人賞を受賞   』

・・・最初の表題作だけでも十分面白い。
・・・途中ちょっと中だるみ感があったが、最期のところがうるっとします。
この作者はこういうお話が受けるのですが、「満潮」のような人間も書けるところがすごい。おすすめ。😃 




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「私物化される国公立大学」

2021年12月13日 | 日記
(岩波ブックレット)

世の中では関係者以外さほど関心があるテーマではないが、独法化以降の国公立大学の現状の一端がうかがえる。

内容紹介は
『近年加速する大学の「ガバナンス改革」。学長を中心としたトップダウン型経営は、教育現場に果てしない混乱をもたらしている。教育・研究の実態からかけ離れた独善的な改革が推し進められ、果ては学内制度や人事までが一部の人間の意のままに改められてしまう――。変わりゆく国公立大学のいまを、七つの大学の現場から報告する。 

はじめに……………駒込 武
第1章 大学が「私物化」されるとはどういうことか――下関市立大学……………下関市立大学の私物化を許さない教員有志
第2章 自由の風が止むとき――京都大学……………駒込 武
第3章 政治に従属する大学へ――筑波大学……………佐藤嘉幸
第4章 歯止めなき介入、変貌する大学――大分大学……………大分大学のガバナンスを考える市民の会
第5章 放逐される総長――北海道大学……………山形 定
第6章 教育界に逆行する教員養成「改革」――福岡教育大学……………江頭理江・喜多加実代
第7章 権威主義化する大学「経営」イデオロギー――東京大学……………田中 純
おわりに……………光本 滋
参考リンク集

著者
駒込 武(こまごめ・たけし)
京都大学大学院教育学研究科教授。専門は教育史。台湾近現代史。「大学の自治の恢復を求める会」発起人。
〈執筆者〉
下関市立大学の私物化を許さない教員有志
佐藤嘉幸(さとう・よしゆき)
筑波大学人文社会系准教授。専門は哲学、社会思想。
大分大学のガバナンスを考える市民の会
大分大学学長の人事権問題に関するシンポジウムを契機に2019年設立。以後、全国的な大学のガバナンス問題に取り組む。
山形 定(やまがた・さだむ)
北海道大学工学研究院助教。専門は環境工学、自然エネルギー利用。北海道大学教職員組合委員長(2019.8~2021.7)
江頭理江(えがしら・りえ)
福岡教育大学教育学部教授。専門はアメリカ文学。「大学の自治の恢復を求める会」世話人。
喜多加実代(きた・かみよ)
福岡教育大学教育学部教授。専門は社会学。「大学の自治の恢復を求める会」世話人。
田中 純(たなか・じゅん)
東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は表象文化論。「2020東京大学総長選考を考える」教員有志代表。
光本 滋(みつもと・しげる)
北海道大学大学院教育学研究院准教授。専門は教育学、高等教育論。    』

・・・100ページにも満たない本である。一種、一定の考え方からの「告発」本的な趣であるけど、確かに最近の大学の事件としては、ここらあたりに原因がありそうだというのが窺えて面白かった。関心のあるかたにはお勧めです。😱 
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「満潮」

2021年12月10日 | 日記
朝倉かすみ(光文社文庫)

作者の傾向からはまったく外れたミステリー風な小説でしょう。だがこんな人間もいるのかと思って読んだ。
現実離れしているところもあるが、北海道の田舎から華やかさを求めて東京で暮らすと、若い女性の転落話風でもあるけど、成功譚でもある複雑な話。
彼女の過去と現在とを交互につづってその性格を描き出す手法は面白いけど、内容が重すぎて、石狩の花畔(ばんなぐろ)の地名には懐かしさも感じるけど、少々辛い。
仙台から出てきた地方の秀才くんの行き過ぎた恋がストーカーと化してしまう展開にも戸惑う。

内容紹介は
『人に迎合し、喜ばせることが生きがいの眉子。彼女の結婚式で配膳係のバイトをしていたコミュ障で自意識過剰な大学生茶谷は、美しい花嫁姿の眉子に一目惚れをする。そして眉子の夫に取り入り、彼女に近付いていく。眉子は必ず僕を好きになる―。眉子。茶谷。眉子の夫。絡み合う三人の関係は?眉子がかつて体験した、強烈な過去とは?真実と心の痛みは、徐々に明かされていく。ロングセラー『田村はまだか』の著者が放つ、震撼のサスペンス。

著者略歴 
朝倉/かすみ
1960年北海道生まれ。2003年「コマドリさんのこと」で第三七回北海道新聞文学賞、04年「肝、焼ける」で第七二回小説現代新人賞受賞。09年に『田村はまだか』で第三〇回吉川英治文学新人賞を受賞  』

・・・彼女の過去の西新宿の話は、ちょっとありそうで、東京の女子大などに進学させる親は心配になりますよね。
・・・後味はさほど良くないけど、つい読んでしまうのが怖い。😱 


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「ジョーカー・ゲーム」

2021年12月10日 | 日記
柳広司(角川書店)

以前読みかけたたが時間切れだったので、再度、挑戦。
戦前の多分、陸軍中野学校らしいスパイ養成機関の出身者が挑戦した事件の中編を集めたもの。なかなか推理が鮮やかで、現実離れしているが痛快。

内容紹介は
『五感と頭脳を極限まで駆使した、 命を賭けた「ゲーム」に生き残れ――。
異能の精鋭たちによる、究極の"騙し合い"!

結城中佐の発案で陸軍内に極秘裏に設立されたスパイ養成学校“D機関"。「死ぬな、殺すな、とらわれるな」。この戒律を若き精鋭達に叩き込み、軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関"の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く結城は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を上げてゆく......。
東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる、究極のスパイ・ミステリー。 

吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞に輝く究極のスパイ・ミステリー。

著者について

柳/広司
1967年三重県生まれ。神戸大学法学部卒業。2001年『黄金の灰』でデビュー。 2001年『黄金の灰』でデビュー。同年『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で第12回朝日新人文学賞を受賞。09年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞   』

・・・アニメや映画にもなっているようだ。だがこんな意見もある。「アニメ『ジョーカー・ゲーム』を観た人は絶対読んだほうがいいです。アニメは途中を飛ばしまくっているので「なぜこうなるだ?」と理由が曖昧なところもありわかりにくかったですが、原作を見れば納得いく点が多いからです。
この巻では、佐久間、神永、福本、蒲生のストーリーが収録されています。
この中に推しキャラがいる人は是非ご一読ください。文章の書き方も読みやすく、活字苦手な方でもスルスル読めます。 」

・・・痛快だしすっきり気分を求めるのに良いですよ。暇人におすすめ。😃 

・・・


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