黒江哲郎(朝日新書)
ちょっとした「回想録」ではあります。
タイトルの付け方が上手い。”冷や汗”で、失敗談をのべるというスタイルが若い公務員には有益です。
第四章に「中央官庁の仕事は3K」というのがあって、昔はそれが当たり前でなんら疑いもなく過ごしていたでしょう。今は働き方改革で家庭とも両立させなきゃならん時代だ。
これを逆手にとった3K(企画、紙、切り口)それからPKOにつなげるなど上手い工夫ですね。
内容紹介は
『出版社内容情報
防衛省「背広組」トップ、防衛事務次官。2015年から17年まで事務次官を務め南スーダンPKO日報問題で辞任した著者が「失敗だらけの役人人生」を振り返る。自衛隊のイラク派遣、防衛庁の省移行、安全保障法制などの知られざる舞台裏を語る。
内容説明
歴代総理や大臣とともに政策決定の現場に立ち、舞台裏を見続けてきた一官僚による、激動の時代の貴重な証言。防衛省「背広組」トップとして安全保障政策の中枢に関わってきた経験と、数々の失敗から得た苦い教訓から導き出した、働く人たちへ贈る「仕事論」!
目次
第1章 不器用にもがいた部員、秘書官時代(いかにうまく挟まるか;「名刺変えろ!」の先制パンチ ほか)
第2章 結果を意識した課長、内閣参事官時代(官房長官に叱られた水難事故;「都庁へ机を持っていけ!」 ほか)
第3章 難問に体を張り続けた審議官、次長時代(公務災害(?)のギックリ腰
役所を代表して頭を下げる ほか)
第4章 経験値で勝負した局長、官房長、次官時代(中国軍艦がレーダー照射;ほろ苦の国会中継デビュー ほか)
第5章 南スーダンPKO日報問題(「個人データとして存在」の報告;「理不尽な批判」への憤りと焦り ほか)
著者等紹介
黒江哲郎[クロエテツロウ]
1958年山形県生まれ。東京大学法学部卒業。1981年、防衛庁(当時)入庁。防衛政策局次長、運用企画局長、大臣官房長、防衛政策局長などを経て、2015年、防衛事務次官に就任。2017年7月、辞職。同年10月、国家安全保障局国家安全保障参与に就任。2018年1月より三井住友海上火災保険顧問
藤田直央[フジタナオタカ]
1972年京都府生まれ。京都大学法学部卒業。朝日新聞入社後、政治部、米ハーバード大学客員研究員、那覇総局などを経て編集委員(日本政治・外交・安全保障)、法政大学兼任講師 』
・・・防衛庁への就職にお父さんが反対したというところは、よく頑張ったなぁと思う。いわば本人も言っているが「勘当」ですものね。
・・・二二四ページの「祝婚歌」家庭生活の必須の秘訣です。
・・・生まれ変わったらどんな職業を選ぶかの問いの答えが「やっぱり防衛省の役人」というのは納得。みなさんはどうですかね。
・・・直接知らないけど元の次官の守屋氏について省内で「妖怪になってしまった」という記述があったが、人間長く権力というか地位にとどまるとそうなるのかもしれない(同氏が昔入庁当時、国の防衛のため当時のマイナーな「庁」に入ったとき友人と頑張ろうと言った話を聞いたが初心がどこかに行ってしまうのだな)。プーチンだってそうでしょうね。難しいものだ。
・・・ちょっと面白かったのは出版社が”朝日”であること。意味はお分かり?
・・・ともあれ面白かった。中央官庁に関心のある方にお勧めです。