湊かなえ(双葉文庫)
ずっと昔の小説だけど、今頃やっと読んだ。
後味の悪いミステリだがこの構成がユニーク。最初から犯人が分かっているので、じわじわとそれぞれの心理状態が分かってきて、「復讐」も並外れた世界だ。
映画化もされていたのですよね。ドラマティックな展開です。
内容紹介は
『我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。選考委員全員を唸らせた新人離れした圧倒的な筆力と、伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度である。
著者略歴
湊/かなえ
1973年広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。2005年第2回BS‐i新人脚本賞で佳作入選。07年第35回創作ラジオドラマ大賞を受賞。同年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し、『告白』がデビュー作となる 』
・・・評価も分かれているけど、次の意見は面白かった。参考まで引用します。『 読む人の多くを不快にさせるであろう傑作。それは本作で描かれている醜い人物の誰かの心性に恐らくあなたが似ているからだ。少なくとも私は数人の登場人物の心性に共感してしまい、それがいかに醜く場合によって人を傷付けるものであるかを赤裸々に突き付けられて気分が悪くなった。もちろん登場人物の誰にも共感出来ず、何だコレ、人間の醜さをことさらあげつらってるだけではないかと思う人もいるだろう。それでも、本作の登場人物達が決して特異な心性を持った異常な人達ではなく、どこにでもいる普通の人達である事はわかると思う。そういう普遍的な人間の醜さを一切の容赦なく描き切った本作の文学性の高さを私は評価したい。 』
・・・まあ、あり得ない事件だし、その後の展開だけど、テンポが良くて、分かっているところをちょっと飛ばし読みしながら、2日間で読了した。
・・・最後の「復讐」のやり方は、想定外だけど、犯人の悲しみの原点をここまで吹き飛ばすというのも、すっきりするけど後味は複雑です。
・・・巻末に映画を作った監督の感想があって、ウソがあるところなど面白い発想だと思いましたね。お勧めですがもう読んだ人も多いかな?😝