読書感想とロードバイク日記2

週末のお天気の日にロードで走っています。晴耕雨読ならぬ、晴れたらバイク、雨の日は読書の日々

「告白」

2021年05月27日 | 日記
湊かなえ(双葉文庫)

ずっと昔の小説だけど、今頃やっと読んだ。
後味の悪いミステリだがこの構成がユニーク。最初から犯人が分かっているので、じわじわとそれぞれの心理状態が分かってきて、「復讐」も並外れた世界だ。
映画化もされていたのですよね。ドラマティックな展開です。

内容紹介は
『我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。選考委員全員を唸らせた新人離れした圧倒的な筆力と、伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度である。 

著者略歴
湊/かなえ
1973年広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。2005年第2回BS‐i新人脚本賞で佳作入選。07年第35回創作ラジオドラマ大賞を受賞。同年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し、『告白』がデビュー作となる  』

・・・評価も分かれているけど、次の意見は面白かった。参考まで引用します。『 読む人の多くを不快にさせるであろう傑作。それは本作で描かれている醜い人物の誰かの心性に恐らくあなたが似ているからだ。少なくとも私は数人の登場人物の心性に共感してしまい、それがいかに醜く場合によって人を傷付けるものであるかを赤裸々に突き付けられて気分が悪くなった。もちろん登場人物の誰にも共感出来ず、何だコレ、人間の醜さをことさらあげつらってるだけではないかと思う人もいるだろう。それでも、本作の登場人物達が決して特異な心性を持った異常な人達ではなく、どこにでもいる普通の人達である事はわかると思う。そういう普遍的な人間の醜さを一切の容赦なく描き切った本作の文学性の高さを私は評価したい。 』

・・・まあ、あり得ない事件だし、その後の展開だけど、テンポが良くて、分かっているところをちょっと飛ばし読みしながら、2日間で読了した。
・・・最後の「復讐」のやり方は、想定外だけど、犯人の悲しみの原点をここまで吹き飛ばすというのも、すっきりするけど後味は複雑です。
・・・巻末に映画を作った監督の感想があって、ウソがあるところなど面白い発想だと思いましたね。お勧めですがもう読んだ人も多いかな?😝 


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「あかちゃんトキメキ言行録」

2021年05月26日 | 日記
月刊『図書』に連載の時枝正さんの息子のともちゃんの話である。ともかくもこのお父さんは言語学をやった上に、現在は数学者としてスタンフォードにいるらしい。奥様がイギリス人で、したがってともちゃんの発話も日本語と英語。まだ幼児なのに言葉が豊富。やることも面白い。
多分、連載が終わったら単行本になるのでしょうね。
5月号のエッセイのタイトルは『七つ道具』で、ともちゃんの愛用の道具などが紹介されている。ときには難しい言語学の紹介があってついて行けないのは、こちらが凡人のせい。
将来どんな子(から大人)になるのかな。ともちゃんの未来に祝福あれ。😍 

・・・連載がはじまったときの評がウエッブ上にあったので紹介
「あかちゃんトキメキ言行録」と題して、ホモ・サピエンスが最初に発する「言葉」は何か、を考察している。歴史的実験としては、ヘロドトス「歴史」にあるらしいが、それは置いておこう。筆者の子ども「智ちゃん」について4pかけて書いているのが興味深い。通例は赤ちゃんは母を意味する単語を最初に発するらしいが、智ちゃんは如何に?この連載を始めたのが、言語学者でも人類学者でも文学者でもないところがミソかもしれない。数学者・時枝正が書いていた。 図書 2020年7月号 | 再出発日記 - 楽天ブログ (rakuten.co.jp) 
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「眼の冒険」

2021年05月26日 | 日記
松田行正(紀伊國屋書店)

副題が「デザインの道具箱」です。
分厚いハードカバーで図や写真がたくさんあって、楽しい。分かる話も分からない物も色々あるが、ながめているだけでも面白い。

内容紹介は
『(杉浦康平氏推薦)空間の秩序を生かす、端正なデザイン。独特の情報探索センサーをもつ松田流・空間制御の秘法が、解き明かされる。「牛若丸」のういういしい観察眼とさわやかな飛翔力の結合が、この書に魅力を添えている。―――――杉浦康平 デザイナーは「デザインの種」をどのように切り出してくるのか? デザイナーは「ものと形」の世界をどのように見ているのか? デザインの基本素材である点・線・面・立体……は、そのデザインによって形と意味が多様に変化する。第一線で活躍するグラフィックデザイナーが、絵画や写真、ポスターやイラスト、文字などを使い、その手法・見方の実例を一挙公開。豊富な図版を愉しく眺めるうちに、「こんな見方があったのか!」と思わず膝を打つことうけあい。また最終章では、視覚の動きとデザインの不思議な関係にもメスを入れていく。この一冊で、あなたの世界の見方が変わる、目からウロコのデザイン・エッセイ。図版約400点(内カラー110点)収録の美装本。 

著者について
松田行正(まつだ・ゆきまさ)グラフィックデザイナー。書籍・雑誌のデザインを中心に活躍。現在、月刊誌『CONFORT』『デザインの現場』『10+1』『InterCommunication』『わたしの食卓』などのADをつとめる。ここ数年は、せんだいメディアテーク、大社文化プレイス、みなとみらい21の元町・中華街駅プラットフォーム、まつもと市民芸術館、富弘美術館などの建築のサイン・デザインも手がける。著書は『絶景万物図鑑』(TBSブリタニカ)、『MODERATO』『lines』『円盤物語』『円と四角』『code』『ZERRO』(以上・牛若丸)   』

・・・楽しかった。
・・・「この本の・・・魅力は、この図版の多さにある。文章を読む気がしないときも、読み終わった後も、手元に置いておきたい本だ」というネットの書評がぴったり。😊  

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「さよならドビュシー」

2021年05月25日 | 日記
中山七里(宝島社)

音楽小説としても読める。良い出来ですよ。
基本はミステリーですかね、やはり。
エンターテインメントとしては素晴らしい。以前読みかけて、期限が来たので返却せざるを得なかったが、今回は十分時間があった。この後、読むものが手元にないのがちょっと不安。

内容紹介は
『第8回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。選考委員が大絶賛した話題の感動作!
行間から立ち上るドビュッシー「月の光」や、ショパン「エチュード 10-1」の美しい旋律。ピアニストを目指す少女、殺人、そして驚愕のラスト!

ピアニストを目指す遥、16歳。両親や祖父、帰国子女の従姉妹などに囲まれた幸福な彼女人生は、ある日突然終わりを迎える。祖父と従姉妹とともに火事に巻き込まれ、ただ一人生き残ったものの、全身火傷の大怪我を負ってしまったのだ。それでも彼女は逆境に負けずピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する――。

(最終選考委員コメント)
「音楽青春小説と意外な結末の異種配合」 大森望(翻訳家・評論家)
「著者の奏でる超絶技巧に酔い痴れよ」 香山二三郎(コラムニスト)
「大掛かりなトリックが炸裂する、上質の音楽ミステリー」 茶木則雄(書評家)
「少女ピアニストの感動物語……で終わらない驚き!」 吉野仁(書評家)   』

・・・映画化もされているようだ。見所もあるね。
・・・最初から、もしかするとという犯人像が見えてきて、「どんでん返し」とすればそれしかないか、などと不埒な読み方をしてしまった。ミステリーファンの悪い癖かもしれない。やれやれ。音楽好きにもお勧めです。ずっと前の本だから読んだかたも多いでしょうね。😍 
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「帰郷」

2021年05月25日 | 日記
堂場舜一(中公文庫)

鳴沢了のシリーズです。
最初の舞台である新潟に父の葬儀で帰ったという設定。なんとなく懐かしいかと思って読んだ。

内容紹介は
『「刑事として生まれた男」VS「捜一の鬼」
堂場瞬一史上売上NO.1シリーズ第5弾!

新潟県警捜査一課長だった父が死んだ。葬儀の翌日、一人の男が了を訪ねてくる。殺人事件の被害者遺族である彼の目的は、父が遺した唯一の未解決事件の再捜査であった。遺品の備忘録に綴られた捜査への執念、犯人と名指しされた男の存在、そして謎の記号――。「捜一の鬼」と呼ばれた父を超えるため、了は再び故郷に立つ。解説・加藤裕啓

著者プロフィール

堂場瞬一
一九六三年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。二〇〇〇年秋『8年』にて第一三回小説すばる新人賞を受賞。著書に「刑事・鳴沢了」シリーズ、「警視庁失踪課・高城賢吾」シリーズ、「刑事の挑戦・一之瀬拓真」シリーズ、「汐灘」サーガの他、『犬の報酬』、『白いジオラマ』、『奔る男 小説 金栗四三』(以上中央公論新社)、「警視庁追跡捜査係」シリーズ(ハルキ文庫)、「捜査一課・澤村慶司」シリーズ(角川文庫)、「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ(講談社文庫)、「ラストライン」シリーズ(文春文庫)、『インタビューズ』(河出書房新社)、『チームⅢ』(実業之日本社)、エッセイ集『弾丸メシ』(集英社)などがある。  』


・・・三部構成だが、第二部のところで真犯人が推測できてしまった。その後は活劇風な展開。ちょっと興ざめだった。
・・・このシリーズは、主人公の周りの物語が読みどころでもあるので面白いのだが、一番は最初の『雪虫』だろうか。😮 



上記内容は本書刊行時のものです。


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