太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

島国

2019-06-12 08:13:42 | 日記
職場によく来てくれる、日本人のツアーガイドのHさん。
知り合って3年近くになるが、
私の友人と、まったく違う職種の職場で何年も一緒に仕事をしていたことがわかった。
会うのはお互いに仕事中で、ゆっくり話をすることもできない。
お茶でもしたいね、と言い合うのだけれど、
まったく休みが合わず、家も遠いのでそれも叶わず。
それで、共通の知人だったことがわかるのに3年かかったというわけだ。
「さすが島国、世間は狭いねぇー」
と笑いあった。

島国といえば、
同僚達の殆どは、ハワイ生まれハワイ育ちだ。
彼女達は口を揃えて言う。

「誰かとつきあう前に、親戚関係をチェックしてからじゃないと付き合えない」

ちっさい島に(ちなみにオアフ島は静岡市より少し広いぐらい)
人々が何世代も住み続けていると、知らない間に親戚が増えてゆく。
実際、同僚の中の二人は親戚で、出入りしているツアーガイドは、
他の同僚の従兄弟だ。
それも、つい最近まで知らなかったというのだ。
どこかで、知らない誰かと繋がっている、それが島国。




私の密かな期待

2019-06-10 17:42:08 | 日記
オアフ島の、一般的なスーパーマーケットといえば、
SAFEWAYか、FOODLANDか、TIMESだ。
SAFEWAYは全米にあるが、FOODLANDとTIMESは地元のスーパーである。
地元のスーパーは、地元民の食生活に密着した品揃えだ。
そしてFOODLANDよりもTIMESのほうが、よりアジア系の食材が多い。
納豆も(冷凍だが)、味噌も、油揚げも里芋も、焼きそばだってある。
我が家に1番近いスーパーがTIMESなのは、私にとって幸運なことだ。
SAFEWAYは、いかにもアメリカのスーパーで、
スノッブな人々が好んで行く(白人が好きな店、と言われている)。
シュートメなどもその一人で、挽肉だけ買い忘れたといって
車で3分のTIMESを通り越して、10分かかるSAFEWAYまでいくのだ。

そのTIMESを、ドンキホーテが買収したと聞いたのは1年ほど前だ。
ハワイのドンキホーテは、日本食のスーパーマーケットである。
ホノルルにあるので、欲しいものがあれば休日に、片道45分かけて
行かねばならない。
TIMESがドンキホーテになったら、家から3分のところで
おいしい大福や、日本のお菓子や、日本式の豚の薄切り肉なんかが買える。
買収のニュースを聞いてから、その日がくるのを今か今かと待っていたが
TIMESはいっこうにTIMESのままで
いつまで待っても、ドンキホーテぽくはならないのだった。

時々、進物用の日本の缶入りお菓子が並ぶぐらいで、
アジアコーナーに、ポッキーに見せかけた韓国製のエセポッキーとか、
フィリピンぽいお菓子が並んでいる。
TIMESよ、どこへゆく・・・・
確かに、こんなところにドンキホーテができたところで、
喜ぶのは私ぐらいのものかもしれないけど。

ところが昨日、
食品庫にフーセンガムを発見した。

フーセンガム

夫が子供の頃によく食べていたお菓子のひとつで、
大人になって、アメリカ本土に住んでいたとき、
シュートメが荷物にフーセンガムを入れて送ってくれたという。
もちろん日本のフーセンガム。
包み紙の裏に印刷された絵を水で濡らして、肌に貼るとタトゥみたいにみえる。
ドンキホーテに行くと、時々夫は懐かしくてこれを買うのだ。
そのフーセンが、なぜ食品庫にあるのか。

「それがさ、TIMESに売ってたんだよーー!」

なんと、フーセンの隣に、ハーベストクッキーもあったという。
TIMESがドンキホーテに買収されたことも忘れていた頃になって・・
これを機に、TIMESは着々とドンキホーテになってゆくであろう。
という私の密かな期待は、再び大きく膨らむのである。






家族のヒミツ

2019-06-08 19:28:33 | 日記
昨年になるが、夫の両親がふるさとのインディアナ州に、姪の結婚式に
出かけたときのことだ。
1番の目的は結婚式だが、もうひとつ目的があった。
それは、シュートメ姉妹が、初めて腹違いの弟に会うというものだ。
家族のルーツを調べていた、2番目の叔母が、
ひょんなことから、父親に隠し子がいることをつきとめた。
彼らの両親は、ともに50代後半で亡くなっているから、半世紀もたっている。

その義理の弟は、インディアナ郊外に住んでいて、
写真を見ると、優しそうな中年のおじさんだった。
「姉妹ばかりだったから、男のきょうだいが欲しかったのよ」
「お父さんは真面目な消防士だと思ってたけどねえ」
叔母たちは、義理の弟と楽しく過ごしたらしい。
義理の弟の母親も他界しており、今となってはどんなことが起きていたのか
知りようもないが、もうどうでもいいことだろう。


私の親戚のおじさんが亡くなったあと、
おじさんに隠し子がいたことがわかった。
おじさん夫婦には子供がおらず、おばさんの兄の子供を養子にして育てた。
おじさん夫婦は、私達と1番近しくしていた従兄弟の家の裏に住んでいたから
子供の頃はよく遊びに行った。
葬儀のあと、隠し子とその母親が線香をあげに来たらしいのだけれど
その瞬間まで彼らの存在を知らなかったおばさんは取り乱し、
けして家にはあげなかったと聞く。
半世紀近く夫婦をしてきて、最後の最後に裏切られた気持ちがしたのだろう。
本当の子供を持てなかったのだから、悔しさはなおさらのことかもしれない。
「それにしても、あのおじさんがねぇ」
私は姉と何度もそう言って、顔を見合わせた。
加藤剛さんや、津川雅彦さん、三国連太郎さんに隠し子ならわかる。
しかし、おじさんはチビで薄毛で、田舎の役場の窓口にぴったりの風体で、
隠し子などとは最も遠いところにいるような人なのだ。
けれども、考えようによっては、そういう人だからこそ、
妙に生々しいのかもしれなかった。

ずいぶん前に、新聞の記事で、夫を亡くした人の投稿を読んだことがある。
その人の夫はとてもその人を大事にしてくれて、申し分のない夫だったそうだ。
ところが、亡くなったあとで遺品の整理をしていたら、
知らない女性と一緒に映した写真が何枚も出てきた。
年齢の変化を見ると、十年以上にわたっているようにみえる。
年に何度か、仕事で出張に行くことがあったから、
そのときに会っていたのかもしれない。
それを見つけた時、その人は、嫉妬よりなにより、その写真に写っている女性は
夫の死を知らないだろうから
なんとかして知らせてあげなければと思った、という。
隠れて浮気をしていたことをなじるには、夫はあまりにも完璧な夫だった、
とその人は書いている。

それを読んだとき、単によくできた奥さんだなあと感心したが、
あれから10年あまりがたち、今の私は別の思いがある。
その人は、煮えたぎる嫉妬を乗り越えて、
こうありたい自分を必死に演じているのではないか。
死んだ夫を責め、相手の女性を呪ったら、これまでの幸せな結婚生活が
すべて無為になってしまうと恐れたのかもしれない。
相手はもう死んでしまっているのだから、自分がみじめにならない方法を
その人なりに見つけようとしていたのかもしれない。


家族には、多かれ少なかれ、ヒミツがあるものである。





6月が来たら、あの季節

2019-06-07 13:27:11 | 食べ物とか
6月の声を聞いたら、わくわくする。
そろそろアレが出てくる頃。
私が1年待ちわびていたものは・・・・

ライチ

6月になると、スーパーや、ファーマーズマーケット、道の路肩で
ライチが売られ始める。
オアフ島で売っているライチの殆どは、ハワイ島のHILO産だ。

皮の表面に、歯で切れ目を入れる。
その切れ目から、皮がきれいにペリペリとはがれてゆく。
はがれてゆくその間にも、たっぷりの果汁があふれてくる。
ぷるんとした白い果肉にかぶりつくと、
ああもう至福のとき。

果物全体、なんでも好きだけれど、
何が1番と聞かれたら、一瞬パパイヤと迷ってからライチ、と答える。
いつからライチがこんなに好きになったのだろう。
日本に住んでいたときには、ライチは名前だけは知っていたけれど
お菓子にライチ味がある程度の認識で、本物は見たこともなかった。
職場に来るツアーガイドの人が、
日本に行ったら冷凍コーナーにライチがあったので、喜んで買ったのだけど
食べてみたら、小さくて固くて梅干みたいで、
パッケージを見たら「中国産」だった・・・と言った。

HILOのライチは、本当に美味しい。
6月の頭から7月までの1ヶ月が、ライチのシーズンで、
それを過ぎると来年まで待たねばならない。
日本だと、夏でもリンゴや柿が食べられるけど。
だから、この1か月の間に、ファーマーズマーケットに通ってライチを買い
冷凍庫で凍らせて、少しずつ食べる。
食後に、3つほど出して、シャーベットになったライチを食べる。
あとをひく美味しさなので、つい、あと2つ出して食べる。

6月にハワイに来たら、ぜひライチを食べてほしい。





ルーツ

2019-06-06 02:59:13 | 日記
夫の母親側の親戚の間では、自分のルーツを調べるのがブームになっている。
きっかけは、シュートメの妹がドイツに行ったときに
先祖を探るために何日もかけて歩き回ったことにある。
夫の母親側の先祖はドイツ、フランス系で、父親側はドイツ系。
それで私の苗字は、ドイツ人の苗字だ。

そのあと、DNAを調べてもらってルーツを知る、ということに発展した。
シュートメは4人姉妹の長女で、
2番目の叔母が真っ先に調べてもらったら、DNAの50%がスカンジナビア人だった。
それを聞いた一同は、腹を抱えて笑った。
なぜなら、その叔母は姉妹の中でも最もはじけていて明るく、
まるでアニメ『ちいさな海賊ビッケ』をそのまま大きくしたような人なんだから。
(ビッケを知らない若い人は御免ね)
我もわれもと姉妹がみんな調べたら、
同じ両親から生まれているのに、スカンジナビア人だったり、
スイスだったり。
ヨーロッパ大陸は繋がっているからなんだろうが、
いろんな人種が長い年月に入れ替わるうち、ひょんなところで濃く出たりするのかも。
私はそれを眺めていたのだが、
「シロもやってみなよ」
と叔母の一人が言う。
「えー、だって日本は島国だし、どこまで行っても日本人でしょうが」
「わからないわよぅ。
日本人だって最初は大陸から来たんじゃないの?」
そういえば、そうだ。
調べたら、モンゴル人とかだったりするのかも。
モンゴル人のお相撲さん、まるっきり日本人に見えるしな。

 
私は、自分がモンゴル人でもアイヌ人でもなんでもいいし
知りたいとも思わないから、きっと調べることはないと思う。
DNAを調べる会社は盛況だそうで
それだけ多くの人が自分のルーツを知りたいと思っているのだろう。