アメリカ本土からみえたお客さまが、
「ところで、ハワイじゃミルクはいくらするの?」
と聞いた。
ミネラルウォーターやジュースが入っているガラスばりの冷蔵庫の下段に、
コーヒーに使うミルクを入れてあるのを指さしている。
ミルクは1ガロン売りがポピュラーだ。
1ガロンはおよそ3.8リットル。
これが1ガロンのミルク。
日本で売っている紙パックの大きさもあるが、この1ガロンを買う人が多い。
アメリカ人は牛のようにミルクを飲むのか・・・・
夫は白人なのに、ミルクを飲むとおなかがゴロゴロするアジア人みたいな体質で、私はもともと
あまりミルクが得意じゃない。
ミルクを加工したもの、アイスクリームとかバターなどは大好物なのに、ミルクそのものはちょっと苦手。
だから、もっぱら我が家のミルクはアーモンドミルクやマカダミアナッツミルクといったナッツ系。
さて、その1ガロンのミルクの値段を聞かれた私だが、普段ミルクを買わないのでわからない。
近くにいた同僚が言うには
「8ドルから9ドルってところかなあ」
それを聞いたお客様。
「HOLY SHIT!(マジでーーーっ)」(あまりきれいな言葉じゃないよ)
目を丸くして、おおげさに叫んだ。
「本土じゃ2ドル以下よ。どうりでどこで何を食べても買っても高いはずだわ。
ハワイで暮らすのは大抵なことじゃないわね」
外から来た人たちは、口を揃えて同じことを言う。
私も、住み始めた頃は、なんでもかんでも高いので気分が滅入ったが
この中で暮らしていると、ほかと比べてもしかたがないし、こういうものかと諦めの境地になる。
そのかわり日本に行った時、なんでもかんでも安いので気分が高揚する。
12ロール入りのトイレットペーパーが、
400円以内で売っているのを見て思わず写真に撮った。
買って帰りたい衝動に駆られる。
ハワイじゃ同じものが
1800円はするのだ。
普通の店でそうなのだから、私と夫が百円ショップで1万円買いをしてしまうのも無理はなかろう。
1ヶ月ほど旅行に出かけていた義父が、おととい帰ってきた。
義父はツーリングクラブの仲間達と、カリフォルニアを半月かけてツーリングしてまわり、
最後の10日間を義兄や叔母のいるシアトルで過ごしてきた。
私は夏のシアトルしか知らないのだが、冬のシアトルは気分が滅入るらしい。
冬のシアトル= WET&COLD&DARK
ひたすら寒くて湿っていて暗い。
夜9時すぎても昼間のように明るい夏に比べ、冬は4時には暗くなり、
毎日のように雨が降り、指がかじかむほどに寒い。
義父はシアトルですっかり風邪をひきこんで帰ってきた。
家に戻るなり、開口1番。
「ああー。やっぱりいいなあーーーーーー!」
1年中、Tシャツ短パン素足でいられる気候と、明るい空、鳥のさえずり。
一晩でみるみる風邪がよくなり、翌日にはジムに出かけた。
私にも、わかる。
飛行機が空港に降りて、空港内を歩いている間はあまりよくわからないが、
外の空気に触れたとたん、足の裏がほんの少し地面から浮くような、体が軽くなったような感じがする。
対照的なのは日本で、空港内から足の裏が地面に吸い付くような感じになる。
夫の両親は二人とも、インディアナ州という、シカゴの下のほうの内陸部の出身である。
夏は日本の夏のように蒸し暑く、冬はすっぽりと大雪におおわれる。
歯科医になったばかりの義父が、研修でハワイに派遣され、研修期間ののち
いったんインディアナ州に戻ったものの、ハワイが忘れられなくて数ヶ月で再びハワイにきて50年。
余談だが、そのキッカケが、義父が帰宅途中に車が大雪に埋まってしまい、
遭難しそうになりながら歩いて家に帰ってきたときに決心したらしい。
「That's it! Sick of it,that's it!(ああもうこりごり!)」
とつぶやきながら雪の中を歩く若い義父を想像して、すこし笑える。
ハワイで生まれ育った夫は、外に出たいと思い、
外から来た人は、ここがいいという。
外から来た私も、日本のほうが断然、絶対、どうしたって暮らしやすいのは確かなのにやっぱりここがいいと思う。
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