太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

監視役

2017-07-05 07:29:20 | 日記
金曜日の夜、夫と一緒に、アラモアナのライブハウスに行った。

Vertical Horizon と  Everclear  と Fastball の3バンドのロックコンサートである。

ロックは好きじゃない私が、なぜ行くのか。

それもこれも、夫の監視役をしなければならないからだ。



3,4年も前になるが、同じライブハウスでロックコンサートがあった。

それはデスメタルといわれるジャンルの、私にはメロディも歌詞もない、

ただ叫んで雄たけびをあげ続けているとしか思えない音楽だ。

こういうもので癒される人たち(夫もね)がいるんだなぁと不思議。

そのライブには興味だけで行ったのだったが、耳栓をしても尚、あまりのうるささに辟易し、

別の場所で9時に待ち合わせすることにして、私だけその場を離れた。

ところが。

待ち合わせ場所にやってきた夫の様子がおかしい。

そこはセミ オープンのバーなのだが、私を探すでもなくカウンターに座った夫の顔は

うっすらと笑みが浮かんでおり、目がらんらんとしている。

ライブハウスでしこたまお酒を飲んだ夫は、そこに浮遊していた低級なものに憑依されてきたのだった。

人が集まるところ、お酒があるところには、誰かの体を借りてお酒を飲みたい輩がいっぱいいる。




夫の顔をした誰かの手を引き、車に戻った。

その状態で、運転するという。

とてもじゃないが運転させられないので、それを止めるといきなり怒り出した。

いきり立ち、汚い言葉を吐き続け、怒鳴り散らす。

「WHO ARE YOU??(アンタ、誰??)」

負けずに怒鳴り返すが、結局、夫の顔をした誰かに運転させて帰った。

家に戻って、肩と首の後ろをばんばん叩きながら塩をまいた。




ということがあったので、何がなんでも一人で行かせるわけにはいかないのである。

今回はデスメタルではなく、ひとつのグループは夫が持っているCDも聞いていて、知っている。

それでも耳栓をして、ライブが始まった。

確かに、メロディもあるし、歌詞もある、一応ちゃんとした歌だ。

会場には300人以上の人が総立ち(って立つしかないんだが)で、ノリにノッている。

夫は身長が高いので後ろの方に立っていたのだけれど、チビの私は人の頭と頭の隙間からステージがかろうじて見えるだけ。

そこに、夫と同じぐらいの身長の男がやってきて、私の前に立った。

ステージが見えなくてもいいにはいいが、誰かの背中を見続けるのは腹立たしい。

自分がそこに立ったら、誰かが迷惑じゃないかとは思いもしない、そういう想像力の乏しい人は好きじゃない。

私はわざと後ろから近づいてその男の横に立って、これみよがしに背伸びをしたり、

「前が見えないッ!」

と聞こえよがしに夫に叫んだりした(叫ばないと聞こえない)。

退屈なコンサートが、その男に報復するという目的ができたために楽しいものになった。

のもつかの間、その男は人込みをかきわけて前のほうに行ってしまった。



それにしても、みんな背が高いなあ。

夫は身長が2m近くあって、日本だとものすごく背が高い人だが、ここでは「高いほう」の部類。

女性でも180センチぐらいの人が結構いる。

152センチの私は、人に埋もれてしまう。

キョロキョロと人を観察し、夫がお酒を飲み過ぎないかチェックをし、知っている歌は楽しもうとノッてみて、

そのうち昼間仕事で8時間立ちっぱなしだった足が、疲れてしびれてくる。





「帰ろうか?」


夫の一言で、即、家路につく。

夫は、クランベリージュースにウォッカを入れたのを2回頼んだが、

私がまず先に少し飲んでから、ミネラルウォーターを足して薄くするという念のいれよう。

おかげで憑依もされず、無事に家についた。

「また今度なにかあったら、私の分もチケット買ってね」

「無理しなくていいよ、一人で行くし」

「いーえ、行かせられません」

「信じてないわけ?」

信じられるかっていう話。

過去のあれやこれや。

お酒に関してはまーーーーったく信じてない。










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スーザン

2017-07-04 16:18:38 | 人生で出会った人々
スーザンに初めて会ったのは、2011年の2月だ。

夫の叔母が、ギャラリーでおもしろい絵を見つけたと言って

その作品を作ったアーティストが書いた本を買ってきて、見せてくれた。

それが私がコラージュという技法を知った最初で、それを書いたのがスーザンだった。

実物を見たくてギャラリーに行くと、そこにワークショップの案内が置いてあり、私は迷わず申し込んだ。



ホオマルヒアという植物園の中のワークショップ会場には、既に10人以上の人が集まっていた。

もちろん知っている人などいない。

日本人は私だけで、それぞれに知り合いらしい彼らは楽しそうに歓談していた。

転校生のような気分で立っている私を見つけたスーザンは、両手を広げて言ったのだ。


「私、あなたが誰か知ってるわ!」


知っているはずなどない。私はスーザンの顔すら知らないのだ。

でもスーザンは満面の笑顔で両手を広げたまま近づいてきて、私を抱きしめた。

私はそれが嬉しくて、一気に緊張が解けた。




あれから6年。

今まで使ってきた、どの技法よりも難しいコラージュに魅せられた私は、ひたすらコラージュに取り組み続けてきた。

それを支えてくれたのはスーザンであり、他のコラージュ仲間だ。

行き詰った時、スーザンがくれる一言で突破口が開けた。

ひと月に2回、植物園の教室に集まって作品を見せ合い、指導を仰いだ。

スーザンは太陽のように、まわりを照らす。

明るくて、気が強くて、楽しいスーザンは、みんなをハッピーな気持ちにするのが得意だ。

そして何より、芸術を愛した。

油絵画家であり、陶芸家でもあり、コラージュ作家でもあるスーザンは、実際すばらしいアーティストだ。




今年の2月、コラージュに使う紙を染めるワークショップをやる予定が、スーザンが体調を崩して延期になった。

1月のワークショップの時には元気だったが、首に痛みがあるといって検査をした結果、背骨にガンが見つかった。

私は毎日、スーザンに奇跡が起こることを祈り続けたのに、

昨日、スーザンは眠るように逝ってしまった。



スーザンがいなくなって、気づいた。

スーザンに褒められたくて、私は作品を創っていた。

「私、これ大好き!!」

その一言が聞きたくて。

私がコラージュを売るようになったとき、

「もう独り立ちね、あなたを誇りに思うわ」

と言ってくれたけれど、私はずっと生徒のままでいたかった。

きっと奇跡が起こって、また作品を見てもらえると、私のどこかでは能天気に信じていた。

涙も出ない。

悲しみも寂しさもない。ただポッカリあいた穴に、風がひゅうひゅうと吹いている。







ありがとう。




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私が小躍りした訳

2017-07-03 07:42:53 | 日記
数日前の新聞に、ドンキホーテがタイムズを買ったと出ていて

私は思わず小躍りした。

ドンキホーテというのは日本食品を多く扱うスーパーで、日本のドンキホーテとは違う。(と思う)

ドンキホーテはホノルルとワイパフという場所にあって、

私が行くとすればホノルルしかないのだけれど、遠い上に、最近はその場所が鬼門であることもわかって

(車をぶつけたのも、レッカーされたのもソコ)

欲しいものはいろいろあるのに、一人では行けなくなってしまった。

もう一つ、マルカイという日本食スーパーもあるが、ここにも車でたっぷり30分はかかる。



タイムズというのは、68年の歴史を持つ地元スーパーで

我が家の近所といえる場所に唯一あるのが、タイムズだ。



ここでハワイのスーパーについて簡単な説明をしてみよう。

SAFEWAY(セイフウェイ)は、アメリカ全土にある大手スーパー。

全体に値段が高めで、アジア食品の品揃えは乏しく、『白人が好む』といわれている(ちなみにシュートメはSAFEWAYが大好き)。


Times(タイムズ)は地元のスーパーで、新鮮な魚が豊富でアジア食品もよく扱っている。


FOOD LAND(フードランド)も地元のスーパーだが、雰囲気でいうと

セイフウェイとタイムズの真ん中というところ。


WHOLE FOODS(ホールフーズ)は、オーガニックスーパー。

ここは、品質もいいのだろうが値段もそれなりに高い。うっかり魚を4切れ買ったら3000円ぐらいした。




タイムズはセイフウェイに比べると田舎臭いのだけれど、私はタイムズのほうが好きだ。

だからタイムズが近くにあってよかったと思っていた。

そのタイムスが、ドンキホーテになる!

ということは、車で数分のところに日本食のスーパーができるということで

ということは、もうホノルルまで行かなくても、いつでも日本の食品が買える。

薄切りの肉とか、シソの葉とか、日本のお菓子とか、明太子とか、キューピーマヨネーズとかが買える。

(タイムズにもキューピーは売ってるけど、1000円もするのだ)

これを小躍りせずにいられようか。


ただ、ホノルルと違ってこのあたりには日本人が少ないのが懸念。

小躍りさせておいて、オーナーだけ変わって店はそのまま、ってのはナシな。(ありがちなだけに)








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はいろこ

2017-07-02 15:09:17 | 英語とか日本語の話
職場で、私の名札を見たお客様に、わりとよく聞かれるのが

「なんて発音するの?」

である。

私の名前は HIROKO で、名札にもそう書いてある。

ローマ字で育った日本人の私には、どう読むもなにも、

ヒロコ以外にあるのかと聞きたいぐらいなのだが、他の国の人にはそうでもないらしい。

現に


「はいろこ?」


と聞かれたことも、1度や2度ではない。


チョコレートのGODIVAは、日本ではゴディバで、ここだとゴダイバになる。

(これを聞くたび、歌手のゴダイゴを思い浮かべてしまう)

家具のIKEAは日本だとイケアで、ここではアイキア。

HIやKIなど、Iがつく場合の多くは「AI」と発音しがち。

しかしテレビのニュース番組で、NATOのことを ネイトウ と言っていたのには、ちょい違和感があった。



私の名前は、呼びやすい名前ではないようだ。

ヒロまではいいが、それにコをつけるのが難しい。

夫の甥たちが子供の頃は、「へぅろぅこぅ」と呼んでいたし、

同僚の中にも、つい「ヒロ」と言ってしまう人もいる。

「でもさ、私よりいいじゃん」

と言う友人の名前は「やすえ」で、かなりの確率で


「ヤスイ」


と呼ばれる。

それでも、リョウコやリュウなんていう名前よりは断然いいというしかない。

りゃりゅりょは彼らがもっとも苦手な音だ。

呼びやすい日本人の名前は、アイとかモモとかユウとかだろう。




私の名前の発音を知った人が、

「すごくきれいな名前ね」

と褒めてくれることがある。

そう言われるのは嬉しいものだ。

そのたびに自分の名前が誇らしく、選んでくれた両親に感謝する。







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