私の人生2回目のアルバイトは、19歳の時だ。
美大の友達4人で夏休みに北海道へ行くことになり、その資金を調達するためだった。
大学の学生課の掲示板でアルバイトを物色したら、
欲しい金額と日程が合うのが木曽御嶽の旅館だったという理由で、軽い気持ちで申し込んだ。
7月の暑い朝、
1人は都合がつかなかったので、3人で旅行にでも行くつもりでワイワイと電車に乗り込んだのだった。
「時間があいたらさ、旅館街を散歩しようよ」
「射的とかピンポンとかあるかなあ」
「温泉あるよね、山だもの」
「温泉入り放題で、肌ピッカピカじゃーん」
悲しいぐらいのアホさ加減である。
誰一人として、木曽御嶽のことを調べてきやしない。
アホ3人が降り立った所は、こじんまりとした駅。
そこからバスに乗って旅館を目指す。
「なんかさー、途中下車の路線バスの旅みたぁい」
まだまだはしゃいでいたアホ3人だったが、
バスは容赦無く山道を上り続け、旅館街どころか建物すら見当たらない山の中で止まった。
バスを降りると、むせかえるような山の湿った空気と、聞こえるのは暑苦しいアブラセミの合唱だけ。
人の姿もなく、3人はしばらく呆然とした。
「ここで…いいんだよね?」
カバンから案内の紙を出して確認するが、
そこは間違いなく、目指す旅館があるバス停だ。
「歩いて10分だってさ」
「建物なんにもないけど」
「どこか道を曲がると旅館街なんじゃない?」
「秘境の隠れ家的なってヤツ?」
湧き上がる不安を騙し騙し、3人は歩き出したのだった。
(続く)
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美大の友達4人で夏休みに北海道へ行くことになり、その資金を調達するためだった。
大学の学生課の掲示板でアルバイトを物色したら、
欲しい金額と日程が合うのが木曽御嶽の旅館だったという理由で、軽い気持ちで申し込んだ。
7月の暑い朝、
1人は都合がつかなかったので、3人で旅行にでも行くつもりでワイワイと電車に乗り込んだのだった。
「時間があいたらさ、旅館街を散歩しようよ」
「射的とかピンポンとかあるかなあ」
「温泉あるよね、山だもの」
「温泉入り放題で、肌ピッカピカじゃーん」
悲しいぐらいのアホさ加減である。
誰一人として、木曽御嶽のことを調べてきやしない。
アホ3人が降り立った所は、こじんまりとした駅。
そこからバスに乗って旅館を目指す。
「なんかさー、途中下車の路線バスの旅みたぁい」
まだまだはしゃいでいたアホ3人だったが、
バスは容赦無く山道を上り続け、旅館街どころか建物すら見当たらない山の中で止まった。
バスを降りると、むせかえるような山の湿った空気と、聞こえるのは暑苦しいアブラセミの合唱だけ。
人の姿もなく、3人はしばらく呆然とした。
「ここで…いいんだよね?」
カバンから案内の紙を出して確認するが、
そこは間違いなく、目指す旅館があるバス停だ。
「歩いて10分だってさ」
「建物なんにもないけど」
「どこか道を曲がると旅館街なんじゃない?」
「秘境の隠れ家的なってヤツ?」
湧き上がる不安を騙し騙し、3人は歩き出したのだった。
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盛り上げておいて。。
あぁ、こんばんは眠れない(笑)
1回でおさめようとしたけど無理だったのよー