本屋で働いていたときに、ハワイ在住の日本人の女性のお客様が
日本の新聞系の視聴者が参加するサイトにハマっている、という話をしたことがあった。
聞けば、バスタオルを毎日洗濯するか、しないか、でもちょっとしたバトルになるのだという。
誰がどのぐらいの頻度でバスタオルを洗おうが、どうでもいいじゃないか。
自分と違うやり方に、自分の意見を押し付けたり、自分を基準にして批判したり、自分はダメかもと思ったりするのはばかげてる。
私だって、人がまったく気にならないわけじゃないけれど、人は人、と思えることが多い。
その傾向は、日本を離れてから強くなった。
しかし、そんな私でも気になって仕方がないことがある。
同僚のK、50歳男性独身。
人当たりがよく、人間的にはいい人だ。
でも、あるときヴィッキーが、血相を変えて私に駆け寄ってきて、言った。
「Kって、シーツを4年洗ってないんだって!!!」
「え、ベッドのシーツ?」
「そうだよぅー。4年だって、4年!!」
そして鳥肌がたつのか、両腕をさすった。
バスタオルを毎日洗おうが、週に1度だろうがどうでもいいが、
4年となれば話は別だ。
4年洗っていないのはともかく、そのことを平気で話すというのもどうか。
これでKが、清潔感あふれる好中年であれば、まだ救いはある。
けれど、顔には常に多量の吹き出物があり、足の爪は汚れて、たぷたぷとした体形で、髪の毛は脂性なのかしっとりしている。
体質なのだと思っていたけれど、4年もシーツを洗ってないからじゃないか、と思えてくる。
だからいまだに独身なのか、独身だからそうなのか。
夫が大学生の時、ルームメイトがニンテンドーばかりやっているゲーマーで
授業にも出ずにゲーム三昧していた挙句、退学になってしまった。
そのルームメイトは、退学になる1年ほどの間に1度もシーツを洗わなかったので、
人の形に脂が染みついていたらしい。
1年で、脂でできた人型か・・・・・それが4年だったら・・・
Kは人柄はいい。
でも、Kを見ると「4年かぁ」と思い、なんとなく距離をあけたくなってしまうのである。