怖い系が苦手な人は、スルーしてね。
昨夜、夫と二人で居間のソファに座ってDVDを観ていた。
私が何かの気配を感じて、右のほうを振り向くと、右側に座っていた夫と目が合った。
「なに!?」
「いや、別に」
照明を落としてあるダイニングルームを、白くて丸い何かがスーっとキッチンに向かって横切ったのが見えたのだが、私はそれを言わずにいた。
でも夫は食い下がって
「ねえ、何??」
「何か見たように思ったんだけど」
「何かいたよねッ!横切ったよねッ!白かったよねッッ!」
夫も見たのか・・・
彼はたまーに、見えたり感じたりする人で、そういう目に見えない何かの存在を信じているというか、知っているんだけれど、それ以上のことはわからないので、なんだったんだろう・・という疑問だけが残る。
わからないのは私も同じで、だから話し合っても仕方がないから、互いにその見たものについて触れなかった。
私が1度だけ、はっきりと「見た」のは祖父だった。
祖父は88歳で他界したが、最後は自宅で療養していた。
その夜、祖父の状態が思わしくなく、かかりつけの医師も来た。
夜も更けてきて、祖父の状態も変わりがないので、私はお風呂に入ることにした。
浴室から戻る時、隣の応接間を誰かが歩いているのを見た。
応接間とダイニングの間は、アコーディオン式の扉があって、普段は全開にしてある。
ほんのりとした明るさしかなかったが、それが祖父であることは間違いがなかった。
祖父は、普段着の青い着物を着て、いつものように背筋を伸ばして、仏間のほうに向かって歩いていた。
私はそれを見て「あー、おじーちゃん元気になったんだなー」と思った。
しかしその数秒後、
「ンなわけない!」
だって祖父はここ半年ほどは寝たきりで、寝ているときには着物じゃなくてパジャマを着ていたんだから。
あわてて祖父の部屋に行くと、そこにはやっぱり呼吸器をつけた祖父が寝ていて、そしてそれからまもなくして息を引き取った。
不思議と怖くはなかった。
祖父はあの時、既に体から出ていたんだと思う。
生まれつき敏感で、いろんなものを見てしまう人たちが友人の中にいるけれど、
私は彼らの話を聞くたびに、鈍感でよかったーと胸をなでおろしたものだ。
昨夜の白い何かで既にビビっている私。
どうかどうか、このままずーーーーっと鈍感道を守り続けられるよう願っている。
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昨夜、夫と二人で居間のソファに座ってDVDを観ていた。
私が何かの気配を感じて、右のほうを振り向くと、右側に座っていた夫と目が合った。
「なに!?」
「いや、別に」
照明を落としてあるダイニングルームを、白くて丸い何かがスーっとキッチンに向かって横切ったのが見えたのだが、私はそれを言わずにいた。
でも夫は食い下がって
「ねえ、何??」
「何か見たように思ったんだけど」
「何かいたよねッ!横切ったよねッ!白かったよねッッ!」
夫も見たのか・・・
彼はたまーに、見えたり感じたりする人で、そういう目に見えない何かの存在を信じているというか、知っているんだけれど、それ以上のことはわからないので、なんだったんだろう・・という疑問だけが残る。
わからないのは私も同じで、だから話し合っても仕方がないから、互いにその見たものについて触れなかった。
私が1度だけ、はっきりと「見た」のは祖父だった。
祖父は88歳で他界したが、最後は自宅で療養していた。
その夜、祖父の状態が思わしくなく、かかりつけの医師も来た。
夜も更けてきて、祖父の状態も変わりがないので、私はお風呂に入ることにした。
浴室から戻る時、隣の応接間を誰かが歩いているのを見た。
応接間とダイニングの間は、アコーディオン式の扉があって、普段は全開にしてある。
ほんのりとした明るさしかなかったが、それが祖父であることは間違いがなかった。
祖父は、普段着の青い着物を着て、いつものように背筋を伸ばして、仏間のほうに向かって歩いていた。
私はそれを見て「あー、おじーちゃん元気になったんだなー」と思った。
しかしその数秒後、
「ンなわけない!」
だって祖父はここ半年ほどは寝たきりで、寝ているときには着物じゃなくてパジャマを着ていたんだから。
あわてて祖父の部屋に行くと、そこにはやっぱり呼吸器をつけた祖父が寝ていて、そしてそれからまもなくして息を引き取った。
不思議と怖くはなかった。
祖父はあの時、既に体から出ていたんだと思う。
生まれつき敏感で、いろんなものを見てしまう人たちが友人の中にいるけれど、
私は彼らの話を聞くたびに、鈍感でよかったーと胸をなでおろしたものだ。
昨夜の白い何かで既にビビっている私。
どうかどうか、このままずーーーーっと鈍感道を守り続けられるよう願っている。
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