ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

地域でのネットワーキング論 ?(最終回)<地域福祉論とネットワーキング方法>

2008年10月11日 | 地域でのネットワーキング論
今回で不連続の連載「地域でのネットワーキング論」の最終回にしたい。
社会福祉士のカリキュラム改正で、地域福祉が主流を占め、それを中核に科目編成されている感が強い。ある意味、「現代社会と福祉」と「地域福祉の理論と方法」を合わせて、社会福祉原論を構成していると考えられる。

一方、地域福祉論は脚光を浴びており、この分野での研究者が多いと思われるが、原論的な要素が強いだけに、具体的なコミュニティ・ワーク、コミュニティ・オーガニゼーション、地域でのネットワーキングといった方法へのアプローチが弱い気がしてならない。なぜなら、個人へのコーディネーション方法と地域へのネットワーキング方法が確立されて、始めて地域福祉論という原論を語ることができるからである。

そのためには、コミュニティをアセスメントし、住民と共にプランを作成し、実施し、モニタリングしていくことを、至急、先駆的な実践に学びながら確立していく必要がある。これを、現実の先駆的実践では、個別支援をベースにして、そこから地域の課題を導き出すことが多いと推測できる。それは、それとして社会福祉の専門家であれば、誰でもが初歩的に実施できるものとして確立していかなければならない。一方、地域の調査等を介して、地域の課題を見い出し、地域の仕組みを作り上げていき、最終的に個別での支援や問題発生予防ができる方法についても理論化とその実践を作り上げていかなければならないと思っている。

私は今回の連載で「地域でのネットワーキング論」と呼んできたが、それは。ある意味では、ケース・マネジメントの対概念としてコミュニティ・マネジメントという用語で整理することもできる。同時に、地域社会を対象とするマクロ・ソーシャルワークであるともいえる。あるいはマクロに加えて、メゾ・ソーシャルワークとされる「組織(organization)」もアセスメントし、プランを作っていくことも含めて、今後の検討が待たれる。そして、具体的な見える形で、支援のプロセスが示され、現場で活用された事例が頻繁に紹介される時代を迎えていかなければならない。

そして、ネットワーキングについては、住民の参加により、地域でのセフティ・ネットを構築していくものでもある。ただし、住民の参加がうまく進めていなければ、住民監視の仕組みになりかねないことも心しておかなければならない。

 私は今までケアマネジメントについて研究してきたが、ここからは、個別事例から入って、さらに地域のネットワーキングに結び付いていくことがあるということは論じてきた。下の図は、よく使われるケアマネジメントの三つの類型化であるが、包括モデルでは、個別支援を前提にして、地域のネットワーキングにまで機能が広がっており、現在多くなされている地域のネットワーキングは広義のケアマネジメントともいえるし、ケアマネジメントの連続としても捉えることができる。そのため、個別事例からではなく、地域全体を捉えることからのネットワーキングについても理論と実践をすり合わせながら創造していく必要がある。

 私も、現在こうしたネットワークに関心をもち、いくつかの調査を行い、研究を行っている。そのため、この連載は終了するが、調査から得られたものについては、逐次ブログを通じて報告していきたいと思っている。

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