ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

2025年の医療・介護のセフティ・ネット(5)ー介護予防の効果に半信半疑

2008年12月13日 | ケアや介護
 2025年の医療・介護サービスのシュミレーションでは、介護予防の効果として、要介護者が要支援者になることの予防ができることになったとし、図のように、要支援から要介護に悪化した者の比率が、介護予防制度導入前後で、1年間で悪化比率が15.5%も低くなったとの結果が示されている。これについては追加オプションに含まれているが、その内容は半信半疑である。

 なお、2025年の医療・介護のシュミレーションでは、要支援であった者が、1年後に要介護2から5までの者を悪化と位置づけ、全体としての要支援者の抑制効果を3.6%程度であり、さらに2025年までに3%程度の抑制を仮定した推計となっている。

 まずは、要支援者で介護予防サービスを利用した者と利用しなかった者について、要介護度が良くなったり、維持した割合と、悪くなった割合の比較を、ある市が調査を行っていたが、その結果、介護予防サービスを利用しなかった者の方が、要介護度が良くなったり、維持している割合が高くなるという皮肉な内容になっていた。このことは、介護予防サービスを利用すれば、要介護度が悪くなるということではなく、介護予防サービスを利用しない者は、年齢的には若く、ADL等の回復可能な人が多く、そうした人は医療保険サービスで対応していることが、こうした結果の理由としていた。

 その意味では、要支援を要介護にならないよう支援していくためには、根本的に、利用者が意欲を出し、自分のやれることはできる限り自分でやり、さらにリハビリや健康づくりに等に積極的に参加してくれるようにあることが必要である。その上で、加齢とともに衰えていくという事実がある以上、介護予防に驚くような大きな効果を期待することには無理があると思っている。

 ただ、介護予防を推し進めていくためには、現状のケアマネジャーや地域包括支援センター職員への介護報酬が400単位(ケアマネジャーの場合はさらに低くなる)では、十分な仕事ができないと思う。このような報酬のため、家庭訪問は3か月に1回で良いことになっていることからでも、利用者の意欲を高めていく予防が難しい環境にあると言える。

 そのため、本気で介護予防を推進していくのであれば、高齢者の意欲をどのような手段を使って高めていくのかを、根本的に再検討することが求められている。

 同時に、今回の図に示した結果は、約3年前の介護保険制度の改正以降、要介護認定が全国的に厳しくなったことが影響しているのではないかと推測するがいかがであろうか。そのため、この結果を半信半疑として捉えている。

 本当に予防を考えるなら、お金をかけて、能力の高いケアマネジャーを育成し、実践してもらえる仕組みを作ることである。 

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